くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

強盗の思うつぼ

2012-10-20 10:11:29 | 政治経済のことも考えよう
尖閣諸島をめぐる日中の対立問題で、
日本側の一部には、「日本にも悪いところがあった」とする、
信じられない自虐的主張があります。

「石原都知事の買取り宣言が寝た子を起した」
「政府が国有化をしなければ対立は起きなかった」
「過去の戦争を省みれば、中国が怒るのも当然」

このような主張をする人々が、
みな中国に媚びへつらって言っているわけではないようです。
それではなぜ、日本ではこのような他の国ではありえない、
自虐的な主張や論点のすり替えが起きるのでしょうか。

日本人は昔から「和」と「自省」を重んじてきました。
ちょっとしたもめ事は「お互いさま」として譲歩しあい、
大きな諍いになったときは、相手を糾弾するだけでなく、
「自分にも悪いところがあった」とお互いが認め合い、
解決の落としどころを見つけました。

それが狭い国土の中で身を寄せ合い、
人々が円満に生活していくための智恵だったのでしょう。
そして、そう振る舞える人が分別のある大人だと見られました。

したがって、日本人には「諍いごと」に対し、
「喧嘩両成敗」を美徳であるとする意識が染みついています。
「あっちも悪いが、あなたにも悪いところがある」
そう発言することが、いかにも公平で思慮深い、
大人の対応だと思い込んでいるのです。

もちろん、そんな日本独特の精神性が、
中国を始めとする諸外国との外交で通用するわけがありません。

そのような発言をする人々に対し、
彼らを売国奴とか、国賊などといって非難しても意味がありません。
なぜなら、彼らは中国に利することを主張しているつもりはなく、
ただ、「自分は思慮深い大人だ。強硬派は子供の対応だ」
と自己陶酔しているに過ぎないからです。

それでもその主張が、まだ的を得ていれば良いでしょう。
しかし、「国有化しなければ・・・」などといった主張は、
「あと5分早く家を出ていれば事故に遭わなかったのに・・・」
といったレベルの狭窄した願望と妄想でしかありません。

このようなことを大臣を務めるような政治家や、
有名な評論家・学者が平気で発言するのですから情けなくなります。

強盗に押し入られそうになっている家人に向かって、
「強盗に入られるようなことをしている方も悪い」
などとしたり顔で言うことの意味が理解できないのですから。



二度あることは三度ある

2012-10-18 23:16:37 | 政治経済のことも考えよう
復興予算の流用問題。

復興に使われるからと国民も我慢した復興増税。
人は自分の手から離れたお金には関心が薄くなるのか、
いまひとつ国民の怒りが伝わってきません。

いまさら言うのもなんですが、
「風が吹けば桶屋が儲かる」式の屁理屈を弄ぶのは、
官僚のお手のものとするところ。

水道の蛇口をさらに開くより、
ダダ漏れの鍋の穴を塞ぐほうが先だと言いながら、
いつも安易な借金と増税の繰り返し。

議員定数削減や公務員給与削減の議論はどこへ行ったのでしょう。

このぶんでは、
消費税増税の使途も官僚のいいようにされるだけです。


怒り心頭、ごもっとも!

2012-10-17 23:06:49 | 政治経済のことも考えよう
日本維新の会代表の橋下大阪市長が、
自身の家系をめぐる記事を掲載した「週刊朝日」について抗議し、
取材意図を確認するまでは、今後一切「朝日」の取材は受けないことを
通告したとのニュースがありました。

私は橋下氏の支持者ではありませんが、
今回の記事については橋下氏の怒りに深く共感しました。
新聞の朝刊で「週間朝日」の広告見出しを読んだだけで、
「なんて下劣な記事だろう」と感じたのを鮮明に覚えています。

自分の先祖の為したことや評価と、
現在の自分の価値とはまったく無関係です。
自分の先祖がいかに立派だったかを自慢する人間が愚かなように、
他人のルーツをあばいて貶めようとする人間には、
それ以上に知性の欠片も感じられません。

先祖が立派な殿様や政治家だったら、
いまの子孫も立派で信頼にたる、優秀な人だとでも言うのでしょうか。
先祖が被差別の出身者やヤクザ者だったら、
子々孫々に至るまで、立派な人間は出ないとでもいうのでしょうか。

「言論の自由である」
メディアはそう言うかもしれません。

しかし、大衆週刊誌が記事にするということは、
橋下氏本人だけの出自としてだけでなく、一般人である、
彼の子供や親戚の出自としても公にさらされるということです。
社会的な妥当性が認められる道徳観に照らせば、
明らかに公序良俗に反した行為ではないでしょうか。

そして何よりこの手の記事が醜いのは、
記事の向こう側に相手を貶めようとする記者の思惑が読み取れ、
どこにも正義が感じられないからです。


「三年間、新卒扱い」は救いになるか?

2012-10-16 22:53:39 | 政治経済のことも考えよう
「新卒じゃなくても、エントリーできますか?」

わが社の人事にも、就職を希望する若者から、
そんな問い合わせがかかってくるようになりました。

「卒業後、三年以内は新卒扱いとし、 新卒採用枠に応募できるようにすべし」、
という政府の雇用者に対する指針(2010年11月 雇用対策基本法)を受け、
徐々に「既卒三年=新卒扱い」とする企業も増えてきたようです。

就活する学生たちにはおおむね評判が良く、
また行政も、内定率の改善や就職できなかった既卒者の救済など、
近年の就活問題の解決につながる切り札として期待しているようですが、
ある人事担当者が水をさすようにぽつりと言いました。

「三年間、新卒枠で応募できるからといって、
 採用される可能性が三倍になったわけじゃないんだけどなあ・・・」

彼が言うには、次のようなことでした。

採用は資格試験のように、
一定の点数をとったら合格するわけではありません。
ましてや、抽選で決まるわけでもありません。

また、採用には会社によって一定の基準があります。
そして応募者のレベルが全体的に低かったからと言って、
その年の採用基準を下げることは絶対にありえません。

つまり、前年に採用されなかった者が、
今年は採用されるという可能性は、限りなく低いということです。

さらに、新卒でどこかの会社に入社していた若手社会人が、
二~三年目で退職して、別の会社の新卒枠に応募したらどうでしょうか。
もともと新卒で就職できるだけの実力があり、
さらにビジネスマナーなどの社会人経験を積んでいる応募者と、
まだ一度も社会人経験のない応募者との勝負の結果は、
火を見るよりも明らかです。

「新卒一括採用」方式の偏重が改められ、
さまざまな方式での採用機会が設けられるのは、悪いことではありません。
しかし、結局は本人の実力次第。

ルールを変えたからといって、
採用されやすくなるわけではありません。
「あまり甘く考えないほうがいい」とは彼の弁でした。


商売人の条件

2012-10-15 22:29:41 | 政治経済のことも考えよう
ソフトバンクが米携帯電話3位のスプリント・ネクステルと、
同社を200億ドル(1兆5600億円)で買収することで合意しました。
すでに日本の3メガバンクはソフトバンクに対し、買収資金として、
1兆5000億円規模の融資の方向で検討に入ったとも伝えられています。

1000万円程度の住宅ローンにさえ思い悩む庶民にとっては、
とても思い量ることのできない、とてつもない額の借金です。

そういえば以前、小さな化学繊維会社を経営する親戚が、
こんなことを言っていたのを思い出しました。

「商売に借金はつきもの」
「カネを借りて投資し、返済しながらまたカネを借りて投資するのが商売」
「何から何まで自分のカネでやろうとしたら、商売なんてできない」

要するに、借りたカネは返すのがあたりまえだけれども、
借金することを重荷に感じてしまうような人間は、
商売人には向いていないのだそうです。

これを聞いて、住宅ローンはもとより、
クレジットカードでの買物ですら敬遠するほどの借金嫌いの私は、
商売人は、勤め人とは人間の種類が違うと感じたものでした。

ときどき脱サラして起業したいという人を見聞きします。
商売の内容以前に、
成功の可否は意外とこんなところにあるのかも知れません。

ところで先のソフトバンクの孫社長。
ことあるごとにバッシングされることも多いようですが、
そもそも2兆円の借り入れのリスクを取ることができるような人間を、
一介の月給取りが理解できるわけがないのです。