大学を卒業し、30代半ばまでフリーターを続けていたある男性。
「そろそろ定職に就かなければ将来がヤバイ」と思い就活を始めました。
そんな彼が、ある大手飲食店チェーンの新規店舗スタッフの求人に応募しました。
そして面接で人事担当者から、どんな仕事をしたいかと聞かれ、
彼は「人事部門で採用や人材教育をしたいです」と答えたそうです。
模範解答があるわけではありませんが、少なくとも、
店舗スタッフの求人面接での問いかけに対する返答としてはトンチンカンです。
キッチンだとか、ホールだとか、また将来的には店長をやってみたいとか、
そんな返答を期待していた人事担当者は面食らったそうです。
その人事担当者は、最近の中途採用の面接では、
自分の立ち位置が理解できない若者が増えたと言います。
「やる気の現われ」で勢いあまったのではなく、
明らかに、自分が客観的に見えていないという意味です。
先の面接を受けた男性もきっと、
こぎれいなオフィスで、バリッとしたスーツを着て、
さっそうと仕事をこなす自分を思い描いていたに違いありません。
新卒学生や卒業後数年程度であればそれも良いでしょう。
しかし、彼は30代の半ばになるまで、
そんな希望を叶えるためのキャリアを積んできたわけでもなく、
何か自分で勉強をしてきたわけでもありませんでした。
残念ながら彼は、30代半ばの年齢であれば、
人事の専門知識や経験を積んだ転職希望者は、
世の中にゴマンといるということに気づいていません。
「自分のやりたい仕事に就こう」
「仕事はやりがいを尊重しよう」
「大切なのは自分らしく生きること」
そんな無責任な大人の言うことに感化された若者が、
定職に就かず、やがて定職に就けなっていきます。
そんな若者がこれ以上増えないようにできるのは、
いま子育てをしている親しかいません。