くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

いつまでこんなことを続けるの?

2012-09-06 22:11:22 | 総務のお仕事(いろいろ)
ある女性社員が、情けない声で総務へ相談に来ました。

不動産政治連盟というところから会費の督促の電話があり、
相手の口調が、当然支払うべき会費であるような言い方であったため、
電話を受けたその女性は会社に非があると勘違いして平謝りし、
「請求書を再送付してください」と言ってしまったといいます。

実はこれより先に、
会社の不動産関係部署にはその請求書が届いていました。
支払う意思がないので男性社員が放置しておいたところ、
事情を知らない女性社員が督促の電話を取り、
とばっちりを受けたというわけです。

不動産政治連盟は、不動産会社が加入する政治活動団体です。
宅地建物取引業を営むためには、宅建保証協会や不動産協会に加入し、
会費を納めなければなりませんが、同時に不動産政治連盟への入会を求められます。
(正確には政治資金規正法の関係で、代表者個人の加入の扱いです)

ちなみに「政治連盟」と名のつく団体は、
不動産に限らず、会計士不動産連盟や行政書士政治連盟など、
いろいろな業界にあるようです。

さまざまな政治連盟を通じて政治家に渡る政治資金は、
特定の会社に便宜を図ってもらうことが目的ではありません。
したがって賄賂にはあたりませんが、
政界と業界の結びつきに社会の目が厳しく向けられる昨今、
政治がらみへの支出を敬遠する会社は増えているようです。

かつては自動加入(強制加入)のような扱いでしたが、
さすがに今の時代では何かと問題があるようで、任意加入となりました。
しかし、入会勧誘や会費徴収の強引さはあいかわらずのようです。

その女性社員は「支払う」と答えてしまったことに責任を感じ、
「お断り」の電話を入れなければと思っているようなのですが、
電話の相手が横柄で責め立てるような口調だったため、
怖くなって総務へ相談に来たというわけです。

きっと不動産屋のオヤジにありがちな、乱暴な口調だったのでしょう。
「『反社団体』じゃないから心配しなくてもいいよ」 と言っても、
彼女は総務から電話してくださいと懇願します。
そこで総務の若手社員が彼女に代わって電話することになりました。

「当社では政治献金など、
 政治活動がらみへの支出は一切しておりません。
 これは会社としての方針ですのでご容赦願います」

「反社団体じゃない」と言いながら、
まるで反社団体を相手にしているような断り方でした。

そもそも入会もしていないのに、なぜ会費を請求されるのでしょう。
不思議に思って送られてきた請求書を見せてもらうと、
添付された依頼文にはこのように書かれていました。

「未入会の方は、協賛金としてお支払いください」

言うに事欠いて「寄付」とは!
呆れるやら、感心するやら。

最近の振り込め詐欺

2012-09-05 23:00:38 | つれづれなるまま
「母さん?俺だけど。
 サラ金でお金借りると、どのくらいかかるのかな?」

母親が驚いて問い返すと彼は、
酒を飲んでタクシーに乗り、小切手の入った鞄を置き忘れてしまった。
そのタクシーが遠くまで出てしまっており、今日中には戻ってこられないため、
自分がサラ金で立て替えるしかないと言います。

「バカなこと言わないで!
 そのくらい母さんが立て替えてあげるから」

母親は思わずそう言って銀行に向かったそうです。

これは最近聞いた、振り込め詐欺の手口です。
「鞄を置き忘れた」という手口の電話は珍しくありません。
しかし、この手口の巧妙なのは、単に「置き忘れた」というだけでなく、
「サラ金で借りようと思っている」というところにあります。

多くの人は「サラ金=怖い」という印象がありますから、
母親はとっさに「借りさせてはいけない」という意識が働き、
思わず「母さんが立て替えてあげる」と言ってしまいます。
「どうすれば・・・」という考える余地を与えません。

現金の受け渡し方法、あるいは振込先を聞いて、
どのくらいの母親がはたと我に返るかどうかはわかりません。
しかし、世の多くの母親が、まずは同じことを言うのではないでしょうか。

私はこの話を聞き、「会社の金を使い込んだ」とか、
「不倫相手を妊娠させた」などといった手口には騙されないだろう自分の母親も、
この手口なら、たぶんこの母親と同じことを言うと思いました。

ところでこの母親は、銀行まで来たところで我に返り事なきを得ましたが、
周囲からは散々に注意され、激しい自信喪失に陥って落ち込んだそうです。

わが子を想う親の気持ちが強ければ強いほど、
精神的なダメージも大きくなるのが振り込め詐欺です。
金銭欲にほだされて騙される出資金詐欺とはわけが違います。
わが子を想う親の気持ちにつけ込み、
人として最も自然で崇高な愛情を破壊する最低の犯罪です。

詐欺罪と組織犯罪処罰法でしか処罰できない現状をもどかしく思います。



不毛な過去自慢

2012-09-04 23:49:06 | つれづれなるまま
自民族の優位性を主張するものとして、
中国人(漢民族)の「中華思想」は有名ですが、
それに似たものとして、韓国には「韓国起源説」があるそうです。

さまざまな起源の主張は、日本やその他の国にもありますが、
韓国のそれは他国に比べて広く多岐にわたっており、
自民族の優位性の主張と、国威の発揚と密接につながっています。
その点で、漢民族の中華思想に近いものといえます。

ひとつひとつの起源説の真偽はともかく、
人も国も、先祖の功績を自慢することほど滑稽なものはありません。
先祖の功績が立派だから、その子孫も尊敬しろとでもいうのでしょうか。
先祖の功績は、いまのその人の価値とは何の関係もありません。

一族の出自や先祖の功績を自慢すればするほど、
いまの自分の価値を貶めているということに気づいていません。
そういう人や国(民族)とつきあうのは、とてもやっかいなことです。



「生意気」という批評

2012-09-01 22:25:31 | 子育て
「生意気を言うな!」
日常、わりと頻繁に言ったり、
耳にしたりする言葉ではないでしょうか。

私がまだ入社して間もないころ、
仕事の進め方について三年先輩の社員と口論になったことがあります。

最初は普通に議論していたのですが、
次第に白熱していき、やがて口げんかのようになったのです。
周囲では同僚がことの成り行きをはらはらしながら見ており、
先輩も後には引けないようでした。

そして激昂した先輩社員はとうとう、
「生意気なことを言うな!」と怒鳴りました。

するとすかさず、
そばで黙って聞いていた上司がその先輩社員に向かって、
おどけた調子で口を開いたのでした。

「はいは~い。おまえの負け~」

そして、きょとんとしている先輩社員いさめて言いました。

「おまえは先輩なんだから、後輩より立場が上なのはあたりまえだ。
 それが議論で説得できず、力関係を誇示してどうする。
 生意気という言葉を出した時点で、おまえの負けだよ」

「生意気」とは、
「自分の立場や年齢、能力などを考えない出過ぎた言動」だということです。
したがって議論の内容とはなんの関係もありません。

つまりその上司が言うには、立場の優劣や力関係を持ち出し、
 本題とは関係のないところで相手を言い負かそうとした時点で、
議論では勝てない(説得できない)ことを認めているということでした。

これは先輩と後輩の関係だけでなく、親と子、教師と生徒、
上司と部下など、あらゆる人間関係、そして場面で言えることです。

子供を相手にしているときや、後輩を指導しているときなど、
ついつい「生意気なことを言うな!」と言いたくなることがあります。

そのたびにこの上司の言葉を思い出し、
その言葉をぐっと呑み込むのでした。