定年を過ぎ、65歳になって放送大学を受講し始めた知り合いがいます。
このオジサンのすごいところは、その科目が「物理学」であるというところです。
普通、生涯学習で老後に勉強するのは、
基礎(学習の下地)がなくても、イチから始めやすい、
歴史学や民俗学、文学など文系の科目が多いものです。
しかし、彼は地方の普通科高校を卒業後、
すぐに上京して就職し、決して理系畑でなかったにもかかわらず、
「物理学」を選択してスクーリングまで受けています。
「せっかく勉強するなら、老いさき短いのだから、
過去のことよりも、現在や未来のことがいい」
そう言いつつ、彼は難解な教科書に頭を抱えています。
「どうせ老いさき短いのなら、もっと楽しいことをすればいいのに」
周囲がそんな憎まれ口を叩くと、彼はこう言いました。
「歳をとったらアタマとカネは使わなきゃ、長生きはできんよ」
なるほど言い得て妙と思ったのでした。