「生意気を言うな!」
日常、わりと頻繁に言ったり、
耳にしたりする言葉ではないでしょうか。
私がまだ入社して間もないころ、
仕事の進め方について三年先輩の社員と口論になったことがあります。
最初は普通に議論していたのですが、
次第に白熱していき、やがて口げんかのようになったのです。
周囲では同僚がことの成り行きをはらはらしながら見ており、
先輩も後には引けないようでした。
そして激昂した先輩社員はとうとう、
「生意気なことを言うな!」と怒鳴りました。
するとすかさず、
そばで黙って聞いていた上司がその先輩社員に向かって、
おどけた調子で口を開いたのでした。
「はいは~い。おまえの負け~」
そして、きょとんとしている先輩社員いさめて言いました。
「おまえは先輩なんだから、後輩より立場が上なのはあたりまえだ。
それが議論で説得できず、力関係を誇示してどうする。
生意気という言葉を出した時点で、おまえの負けだよ」
「生意気」とは、
「自分の立場や年齢、能力などを考えない出過ぎた言動」だということです。
したがって議論の内容とはなんの関係もありません。
つまりその上司が言うには、立場の優劣や力関係を持ち出し、
本題とは関係のないところで相手を言い負かそうとした時点で、
議論では勝てない(説得できない)ことを認めているということでした。
これは先輩と後輩の関係だけでなく、親と子、教師と生徒、
上司と部下など、あらゆる人間関係、そして場面で言えることです。
子供を相手にしているときや、後輩を指導しているときなど、
ついつい「生意気なことを言うな!」と言いたくなることがあります。
そのたびにこの上司の言葉を思い出し、
その言葉をぐっと呑み込むのでした。
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