昨日は、自治医大の苅尾七臣先生が講演されました。
血圧をコントロールする因子はいくつもありますが、今回は交感神経系が行きすぎた状況について詳しく説明いただきました。
このような状況の例を挙げると、昨年の東日本大震災の時、自治医大のチームで被災地医療活動を行った際に、被災者の方はストレスにさらされ普段より高い血圧になっていたとのことです。そのため心筋梗塞や脳卒中をきたす方も多かったそうです。苅尾先生自身も被災地で活動し夜を明かした時には180程度の高血圧になっていたとのこと。
身近なところでいえば、病院で血圧を測るときに普段よりちょっと高いというのも、プチストレスによる交感神経行きすぎ状態ということになります。
このような状況ではカテコールアミンという物質が多量に出ていますが、これが、一瞬であれば大きな問題はありません。しかし常時そういう状況にさらされているとやはり体に負担がかかってきます。
これらを緩和するための薬剤の選び方や処方のコツ、さまざまな薬を使ってもなお160以上の高血圧が続く方に関しての新しい外科的な治療法(秋以降に自治医科大学病院で出来そうかなということでしたが)の話など広い範囲にわたりお話しいただきました。
当院でも血圧は診察室だけでなく、自宅で朝目が覚めてトイレに行ったあとと夜間就寝前に測定していただくことを勧めていますが、さらに可能な方では24時間の血圧などを見て、自分の血圧のパターンを知っておくとよさそうです。まだ当院ではそのような機械を導入できていませんので、しばらくは絵に描いた餅になりますが…。脈拍数などもチェックポイントになります。
血圧ひとつとっても奥が深いですが、高血圧といわれる方々の中でもどなたがよりリスクが高いか、そのリスクを解決できるものは一つでも二つでも潰していくよう治療を行っていきたいと思います。
苅尾先生のお話は、すらすらというよりは朴訥としていますが、臨床家として非常にエネルギッシュに病態を突き止めようとしているのが伝わり、すごい方だなと思います。