昨夜は、医科歯科合同のカンファレンスに出てきました。
演者は松本歯科大学の田口教授でした。
骨粗しょう症でビスフォスフォネート(BP)薬というのがあります。
朝起きてすぐに飲み30分以上は飲み食いしない薬というと
”ああ、あれね”とピンとくる女性は結構いらっしゃると思います。
骨粗しょう症は70歳以上の女性に多く、80歳以上になって骨折を起こすと
そのまま寝たきりになってしまうことがあり、
頑張って骨折を予防したい病気です。
これまで、BP薬を飲んでいると抜歯の際に顎骨壊死を起こすとのことで
長いケースでは抜歯前3か月、抜歯後3か月と合計半年お薬を中止する場合がありました。
BP薬と顎骨壊死には因果関係があるのか、
そしてやめる必要があるのか、これが私の知りたかったポイントでした。
歯科のことはよくわからないので、
顎骨壊死というのが見た目どういう風になるのかも
イメージできていないレベルの知識でしたが、
そのあたりがすっかり見えてきました。
頻度としては年間100名程度の発症数で非常に少ないため
自然発生するケースと頻度にほとんど差はなく
骨粗しょう症に対して用いるBP薬との因果関係ははっきりしたものはないそうです。
そして、顎骨”壊死”とは言うものの、病態はほぼ感染による骨髄炎であり
感染予防(口腔内清掃で歯石除去したり、術前後で抗生剤を用いたり)をしっかりやればおおむね大丈夫で、難しい抜歯や感染しやすい患者さんの状態などいくつかの例外はあるものの、通常の抜歯であればBP薬の中止は必要ないとのことでした。
またインプラント治療のときに
BP薬を服用していると施行しないという考え方もあるそうですが、
むしろ演者の先生のところでは骨密度をあらかじめ測定し低い場合には
BP薬で少し回復させてからおこなうというスタンスをとって一名も顎骨壊死は出ていないとのことでした。
聞きに来られていた幸手歯科医師会の会長も、
”今後は治療が変わってくると思います。”とおっしゃっていました。
まったく専門外のカンファレンスでしたので
新しい知識がいろいろ得られ、また、最新の知見が分かり非常にためになりました。