今回の香港出張中、ホテルですることがなかったのでインターネットのユーチューブを見ていました。
たまたま見たのがマララさんの演説でした。
「1本のペンは剣よりも強い。」
世界各国から集まった500人の若者を前に、国連で堂々と演説する様は、とても16歳の少女には見えませんでした。
パキスタンの「アンネの日記」とも言われ、当時11歳の匿名の少女の書きこんだブログが話題になったそうです。
ブログには、女性が教育を受ける権利を否定し、学校の爆破や脅迫を繰り返すイスラム過激派におびえながら勉強に励む少女の学校生活がつづられていたそうです。
マララさんはその後、政府軍による攻撃でイスラム過激派が撤退すると、実名を明らかにし、イスラム過激派に立ち向かった少女として欧米メディアなどに大きく取り上げられ、おととしにはパキスタンの国民平和賞を受けました。
ところが知名度が上がると、イスラム過激派に狙われるようになってしまいました。
去年10月、通学バスでの下校中、オートバイに乗った2人組の男がバスを無理やり止め、座席に乗り込んできました。
「マララはどこだ」。
男たちはマララさんの左の額に銃弾を撃ち込み、一緒に乗っていた友人にも発砲しました。
犯行を認めたのは「パキスタン・タリバン運動」でした。
意識不明の重体となったマララさんは、その後、イギリスで治療を受け、奇跡的に一命を取り留めました。
ここにマララさんの演説内容を御紹介します。
▽私の回復を祈り、励ましのことばを贈ってくれた世界のすべての人々に感謝します。
「マララ・デー」は私一人の記念日ではありません。
みずからの権利のために声を上げる、すべての女性、少年、少女たちのための日です。
私はきょう、ここに声を届けられなかった多くの子どもたちの代表として立っています。
▽タリバンは銃で私と友人を撃ちました。
銃弾で私たちを黙らせることができると考えたのです。
でも彼らは失敗しました。
むしろ、多くの人々が声を上げるようになりました。
私は弱さや恐怖を乗り越え、力と勇気を得ることができました。
▽私は、自分を撃ったタリバンの兵士を憎んではいません。
彼らの息子や娘たちにこそ、教育が必要なのです。
大切なのは慈悲と非暴力、そして許すということです。
▽私たちは暗闇の中で光の大切さに気付き、沈黙を強いられたときに意見の大切さに気付きます。
そして、私は銃を目の当たりにして、ペンと本の大切さに気付きました。
「ペンは剣よりも強し」というのは本当です。
過激派はペンと本、つまり教育の力を怖がっています。
だからこそ罪のない学生や教師を殺したり、学校を破壊したりするのです。
彼らは社会が変わり、自由と平等がもたらされることを恐れています。
▽テロリストたちはイスラムの名を悪用しています。
イスラムは平和と博愛の宗教です。
すべての子どもには教育を受ける権利があり、それは義務だと教えています。
▽教育には平和が必要です。
しかし、世界にはテロや戦争のせいで学校に行けない子どもたちが大勢います。
また、貧しい子どもたちが児童労働の犠牲となっている国や、幼い少女が低年齢での結婚を強いられている国もあります。
▽世界の指導者たちに、平和と繁栄のため政策を変えるよう求めます。
すべての政府に、無料の義務教育を保証するよう求めます。
すべての政府に、テロと暴力に立ち向かい、子どもたちを守るよう求めます。
先進国には、途上国で女子が教育を受ける機会を広げるために支援を求めます。
すべての社会に、寛容さと、宗教や性別などによる偏見を無くすことを求めます。
女性の自由や平等が守られる社会は、きっと繁栄した社会となるはずです。
すべての女性たちに、勇気を持つよう求めます。
みずからの内なる力を受け止め、その潜在力を発揮してください。
▽平和と教育という目標に進む私たちを、誰も止めることはできません。
ことばで世界を変えられる。
その力を信じましょう。
そして、知識という武器を身につけ、団結してみずからの身を守りましょう。
▽親愛なる少年少女の皆さん。
私たちは何百万人もの人たちが、貧困と社会の不正、そして無学に苦しんでいることを忘れてはいけません。
学校に行けない子どもたちが何百万人もいることや、彼らも明るい未来を待ち望んでいることを忘れてはいけません。
▽文字を読めない人をなくし、貧困やテロと闘うために立ち上がりましょう。
本とペンを手に取れば、それが最も強力な武器となるはずです。
▽1人の子ども、1人の教師、1冊の本、そして1本のペンが世界を変えられます。
教育こそ、ただひとつの、そして最優先の解決策です。