大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

この道しかない

2014年12月18日 | 労働者福祉
『…安倍首相のメッセージがこれでもか、これでもかとテレビで流された。
「この道しかない」…そして圧勝した。

今の世相は「3だけ主義」
今だけ、カネだけ、自分だけ。
その弊害が世界中で起きており、もう手の施しようがない。
スイス銀行の調査によれば世界人口の0.7%が、世界中の富の41%を手中にしている。
テロの根源はここにある。
貧困と腐敗だ。

私たちの道はこことは違う。
私たちの道は明らかだ。
いうならば「連帯と協同主義」、「助け合い」「支え合い」の道だ。
そのことをみなさんと常に共有していきたい。

労働者自主福祉運動の語り部として勉強中だが、この歳になってあらためて不勉強を思い知らされる。
この中で4人の先人が紹介されている。
二宮尊徳、ガンジー、ケインズ、そして賀川豊彦だ。
4人に共通するのは自己犠牲の精神である。
すなわち人間の欲をどこまで自己抑制できるかだ。

賀川豊彦の研究中に気づいたことがある。
なぜこれほどの偉人が労働運動の歴史の中で霞んでいたかである。
二宮尊徳の研究でも気づいたことがある。
なぜ現在の教育界で嫌われているのか?…』


と、まあこんな挨拶を県労福協幹事会でいたしました。
文字にするといろいろと誤解を受けますので、今日は割愛しますが、いずれ整理して述べたいと思います。

ケインズ伝(10)

2014年12月16日 | 労働者福祉
「約束してきたことは進める義務がある。
集団的自衛権についても国民の信任を得た」
安倍首相はこう豪語しています。
消費税増税の延期について信を問うための解散総選挙の理屈が、勝った翌日からあっという間に変わりました。
選挙期間中に1万8千円を超えた平均株価も、あっという間に1万7千円を割り込みました。
どこかの誰かが儲かり、どこかの誰かが損したんでしょうね。

さて「ケインズ伝」最終回です。

こうした現代資本主義の危機に対して、過去ケインズが提唱した「国際精算同盟」案は、きわめて有効な手段です。
それは、現在の「ブレトンウッズⅡ体制」という名の国際通貨体制の持つ欠陥を是正し、金融不安定性の除去に立ち向かう方向、ならびに債権国が外貨を蓄積することで世界経済にデフレ圧力を防ぐ方向が示されているからです。

IMFの機構にはあきらかな問題があります。
設立の経緯からして米国がその主導権を有しています。
最大の出資国である米国は理事長を欧州に譲ってはいますが、事実上は拒否権を有しています。
債務危機に陥ったときのIMFの融資は、短期資金の融資という性格上のためか債権の回収ばかりに目が向けられ、債務国の再建のための融資になっていないという批判があります。
IMFは、ケインズの主張のように反景気循環的政策のために資金を提供するというより、景気減速に耐えている国々に緊縮財政を要求するケースがほとんどですからその批判は起こりえます。
IMFの手法は景気後退の中で、増税と支出削減を要求し、債務国の景気を悪化させました。
このような批判は、現在の国際金融システムが重大な岐路にあり、もう一度ケインズの構想を再検討して新時代の国際金融システムを築き上げなければならない証拠です。
そして、国際機関を運営している先進各国が自国主義の束縛から抜け出して、世界主義に立脚しない限り、問題は解決しないでしょう。

経済理論の第一の危機は、1930年代の大量失業の中に現れましたが、ケインズの革新的理論と政策のおかげで、我々は危機をなんとか乗り切りました。
ところが、それから数十年経過した今日において、都市が荒廃し、貧富の格差が増大するばかりで世界はめちゃめちゃな状態に陥っています。

ケインズの「一般理論」には、こう明記されています。
資本主義の欠陥は二つあります。
一つの欠陥は、雇用問題が十分に解決されていないことです。
もう一つの欠陥は、分配問題が十分解決されていないことです。
『大量の失業者が町にあふれて、人々の間で貧富の差が徐々に拡大しつつある。
これこそが資本主義の欠陥であるから、早急になんとかしなくてはならない。
だから「一般理論」を一気に書き上げたのだ』、とケインズは明確に述べています。

ケインズは「実務家」として実に多様な生き方をしました。
ケインズは普通の学者だったとは決して言えず、会社の社長でもあったし、財務省の役人でもありました。
バレリーナの奥さんと結婚しましたし、有名な美術品の収集家でもありました。
ケインズ自身は、こうして「複眼思考」で、実に多様な生き方をしました。
彼は金銭一辺倒の「経済人」ではなく、ゆとりがあり豊かな生活を目指す「生活者」だったわけです。
IMF(国際通貨基金)とWorld Bank(世界銀行)という戦後経済を支える国際的な枠組みを作り終えたケインズは、その創立総会に出席後、1946年4月21日、亡くなりました。


『参考文献』
マクロ経済入門‐ケインズの経済学‐(佐々木浩二)
現代に生きるケインズ(伊東光晴)
なにがケインズを復活させたのか?(ロバート・スキデルスキー)
危機の中でケインズから学ぶ(ケインズ学会)、ケインズ100の名言(平井俊顕)
ケインズは、今、なぜ必要か?(ケインズ学会)

ケインズ伝(9)

2014年12月15日 | 労働者福祉
「勝って勝手にやりたい解散」の思惑通りの結果となりました。
これで4年間はじっくりとやりたい政治ができます。
逆に言えば“やれない”言い訳は無くなりましたので、行き着くところまで走るんでしょうね。

本日の新聞記事ですが、2年前と比べてみましょう。
今回の解散総選挙の意味がよく分かります。
闘い方も含めてこれからの立て直しが急務ですね。


さて「ケインズ伝」の続きです。

1995年から2005年、金融危機直前の日本とアメリカを見ると正反対です。
為替レートが95年からドル高一直線になっています。強烈なドル高に動いた日本では円キャリートレードというものが非常に盛んになりました。
安い円を借りて、それを外国為替市場に売りますから、円は安くなります。
円安ドル高がこの時期に一気に進んだのです。
その副産物ではありませんが、他に様々な要因とともに、97年にアジア通貨危機が起こりました。
ドルが非常に強くなり、ドルに連動していたバーツが非常に強くなり競争力を失ったわけです。
97年の11月に山一證券が倒産し、翌12月からは日本の金融危機の真っ只中の時期に入りました。
一挙にドル高になったということの意味は、アメリカに資金が集められるということです。ドルに投資すると得だということで、極端な話ですが、アメリカがモノづくりを諦めて、お金を世界中から集めて金融の世界に動き始めたのが95年です。

2008年リーマン破綻の直後、FRBはアメリカのマネー・マーケット・ファンドから巨額の資金が流出していることに気づきました。
1時間か2時間で5千5百億ドルもの資金が流出していたのです。
財務省が窓口を開けて1千50億ドルの資金を供給したが、潮流を食い止めることはできないとすぐ気づきました。
電子的な取り付け騒ぎが起こっているのです。
そこで政府は資金供給を打ち切り、マネー・マーケット・ファンドの解約を停止し、1口座あたり25万ドルまでを保証してパニックを食い止めようとしました。
この措置をとらなければ午後2時には総額5兆5千億ドルが引き上げられていたと政府は推計していました。
そうなれば、アメリカ経済は崩壊し、24時間以内に世界経済が崩壊していたでしょう。
いまの経済制度と政治制度は終わりになっていたはずです。

危機を起こすことなく貿易赤字を持続できる唯一の国、それがアメリカです。
その理由は、世界一裕福で、ドルが基軸通貨として機能しているために、他の国が外貨準備金としてドルを保有したがったからです。
アメリカの繁栄は、ドルが基軸通貨であったからこそ実現できたものです。
集まったお金が、国際投資マネーとして暗躍して、2008年の世界金融危機となって破綻したことは周知の事実です。

ケインズ伝(8)

2014年12月12日 | 労働者福祉
海の向こうの香港では、選挙制度の民主化を求めて、若者たちがそれこそ命懸けで身体を張っています。

一方、投票日を2日後に控えた日本の有権者は、まったくの不感症。
どこまで投票率が下がるのか心配です。
大戦前の日本社会もこんなであったとどこかの誰かが呟いていましたが、この先どうなっていくのでしょうか?

さて「ケインズ伝」の続きです。

投機行為が野放しになり、資本主義は不安定性と不平等度を拡大させていきました。
金融市場は変質し、ケインズが望むものとは逆に投機化傾向を強めていきました。
グローバル経済の名の下に世界の金融市場を覆いだし、発展途上国に度重なる金融危機を引き起こしていきました。
世界の外国為替取引額は年間貿易額の80~100倍というとてつもない額になりました。
このことは財・サービスの貿易額にくらべ比較にならない額、貨幣が外貨という貨幣を買っていることを意味しています。
為替レートもそれによって動き、それがアジア諸国の通貨危機、中南米諸国の、そして通貨危機等を招きました。
投資銀行やヘッジファンドなどがそれを動かしている主体です。
こうした経済学には道徳的観念など皆無です。

2008年に発生したリーマンショックから世界経済は危機的状況に陥って、未だその処方箋を示せないでいます。
いつしか先進国資本主義経済は、どう舵取りをすれば経済を立て直せるかの方策を見失っています。
現在の資本主義経済が陥っている深刻な危機に対して、ケインズが提起してきた立論・提言が優れて今日性・現在性を有すること、そしてその視点からこの危機に対処していく方向性を見出していくことはすこぶる重要です。

この30年間の世界経済の動向に最も大きな影響力と方向性を与えてきたのは「ネオリベラリズム」であり、なかでもそれに支えられて進展した金融のグローバリゼーションであります。
これは一面で資本の自由な移動により、新興国経済の発展をもたらすことになり、世界経済の構造を大きく変えることになりました。
だが他面で金融のグローバリゼーションは、金融資本の利己増殖的行為を通じて資本主義システムを不安定・脆弱なものにしていくことになっています。
その象徴的出来事が2008年9月に生じた「リーマン・ショック」です。
証券化商品の暴走を止める手段はなくなり、シャドウ・バンキング・システムが肥大するなかで、メルトダウンが生じたのです。

ケインズ伝(7)

2014年12月11日 | 労働者福祉
昨日は同級生のお葬式。
残された亭主の顔を見て私のショックも増し増してきました。
早く逝ってしまった同級生も可哀想ですが、残された人たちも同様です。
かける言葉も見つかりませんでした。
誰もがいつか行く道ですが、だからこそ一つ一つを大事にしていきたいと思いました。

さて「ケインズ伝」の続きです。

ケインズによる経済学の基礎には、全体と部分、体系とその構成要素、マクロ経済学とミクロ経済学があります。
彼の理論においては、全体は、すべての個人の計画とは独立して、全体独自で作用するとしています。
ケインズの理論は「倹約のパラドックス」を提起しました。
「一人だけがより多くの貯蓄を始めれば、その人の貯蓄は増加する。
しかし、すべての個人がより多くの貯蓄を始めれば社会の総貯蓄が増加するというのは、もはや正しくない。
貯蓄の広がりは消費の減少、総需要の低下、生産の減少、失業の増加、そして貯蓄の源である所得の減少を意味する」
実際には存在し得ない理想化された前提や過程ではなく、現実的な前提と過程にもとづく分析がケインズの思想の基本的な特徴です。
こうしたケインズの「現実主義」的思想は、理論化と研究対象である現実との間の本物の結びつきを常に目指しています。

ケインズは経済学を道徳科学であると考えていました。

ケインズの株式投資に関する投資家としての興味深い考え方があります。
暴落で何度も大損失を被りますが、相場が下落するなかで株式を持ち続けるのは自己利益を超えて、義務だとこう語っています。
「相場が底をつけたときに株式をもちつづけていたことを、恥とは思っていません。
真剣な投資家は…下落相場で売り逃げるべきではないと考えています。
真剣な投資家には、保有する株式の価値の下落を、自分を責めることなく冷静に受け入れるべき時期があると考えています。
それ以外の方針をとるのは反社会的であり、信任を破壊し、経済システムの仕組みと矛盾します。
投資家は…主に長期的な結果を目標にするべきであり、長期的な結果だけで判断されるべきです」

ケインズが論じたとおり、考え方はきわめて重要です。
世界を支配しているのは、考え方以外にありません。
金融危機の根本原因は、経済学の理論的失敗にあります。
経済学の考え方が間違っていたから金融自由化が正当化され、金融自由化を進めたから信用が爆発的に拡大し、それが崩壊して信用逼迫が起こったのです。