大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

ケインズ伝(9)

2014年12月15日 | 労働者福祉
「勝って勝手にやりたい解散」の思惑通りの結果となりました。
これで4年間はじっくりとやりたい政治ができます。
逆に言えば“やれない”言い訳は無くなりましたので、行き着くところまで走るんでしょうね。

本日の新聞記事ですが、2年前と比べてみましょう。
今回の解散総選挙の意味がよく分かります。
闘い方も含めてこれからの立て直しが急務ですね。


さて「ケインズ伝」の続きです。

1995年から2005年、金融危機直前の日本とアメリカを見ると正反対です。
為替レートが95年からドル高一直線になっています。強烈なドル高に動いた日本では円キャリートレードというものが非常に盛んになりました。
安い円を借りて、それを外国為替市場に売りますから、円は安くなります。
円安ドル高がこの時期に一気に進んだのです。
その副産物ではありませんが、他に様々な要因とともに、97年にアジア通貨危機が起こりました。
ドルが非常に強くなり、ドルに連動していたバーツが非常に強くなり競争力を失ったわけです。
97年の11月に山一證券が倒産し、翌12月からは日本の金融危機の真っ只中の時期に入りました。
一挙にドル高になったということの意味は、アメリカに資金が集められるということです。ドルに投資すると得だということで、極端な話ですが、アメリカがモノづくりを諦めて、お金を世界中から集めて金融の世界に動き始めたのが95年です。

2008年リーマン破綻の直後、FRBはアメリカのマネー・マーケット・ファンドから巨額の資金が流出していることに気づきました。
1時間か2時間で5千5百億ドルもの資金が流出していたのです。
財務省が窓口を開けて1千50億ドルの資金を供給したが、潮流を食い止めることはできないとすぐ気づきました。
電子的な取り付け騒ぎが起こっているのです。
そこで政府は資金供給を打ち切り、マネー・マーケット・ファンドの解約を停止し、1口座あたり25万ドルまでを保証してパニックを食い止めようとしました。
この措置をとらなければ午後2時には総額5兆5千億ドルが引き上げられていたと政府は推計していました。
そうなれば、アメリカ経済は崩壊し、24時間以内に世界経済が崩壊していたでしょう。
いまの経済制度と政治制度は終わりになっていたはずです。

危機を起こすことなく貿易赤字を持続できる唯一の国、それがアメリカです。
その理由は、世界一裕福で、ドルが基軸通貨として機能しているために、他の国が外貨準備金としてドルを保有したがったからです。
アメリカの繁栄は、ドルが基軸通貨であったからこそ実現できたものです。
集まったお金が、国際投資マネーとして暗躍して、2008年の世界金融危機となって破綻したことは周知の事実です。