大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

ケインズ伝(7)

2014年12月11日 | 労働者福祉
昨日は同級生のお葬式。
残された亭主の顔を見て私のショックも増し増してきました。
早く逝ってしまった同級生も可哀想ですが、残された人たちも同様です。
かける言葉も見つかりませんでした。
誰もがいつか行く道ですが、だからこそ一つ一つを大事にしていきたいと思いました。

さて「ケインズ伝」の続きです。

ケインズによる経済学の基礎には、全体と部分、体系とその構成要素、マクロ経済学とミクロ経済学があります。
彼の理論においては、全体は、すべての個人の計画とは独立して、全体独自で作用するとしています。
ケインズの理論は「倹約のパラドックス」を提起しました。
「一人だけがより多くの貯蓄を始めれば、その人の貯蓄は増加する。
しかし、すべての個人がより多くの貯蓄を始めれば社会の総貯蓄が増加するというのは、もはや正しくない。
貯蓄の広がりは消費の減少、総需要の低下、生産の減少、失業の増加、そして貯蓄の源である所得の減少を意味する」
実際には存在し得ない理想化された前提や過程ではなく、現実的な前提と過程にもとづく分析がケインズの思想の基本的な特徴です。
こうしたケインズの「現実主義」的思想は、理論化と研究対象である現実との間の本物の結びつきを常に目指しています。

ケインズは経済学を道徳科学であると考えていました。

ケインズの株式投資に関する投資家としての興味深い考え方があります。
暴落で何度も大損失を被りますが、相場が下落するなかで株式を持ち続けるのは自己利益を超えて、義務だとこう語っています。
「相場が底をつけたときに株式をもちつづけていたことを、恥とは思っていません。
真剣な投資家は…下落相場で売り逃げるべきではないと考えています。
真剣な投資家には、保有する株式の価値の下落を、自分を責めることなく冷静に受け入れるべき時期があると考えています。
それ以外の方針をとるのは反社会的であり、信任を破壊し、経済システムの仕組みと矛盾します。
投資家は…主に長期的な結果を目標にするべきであり、長期的な結果だけで判断されるべきです」

ケインズが論じたとおり、考え方はきわめて重要です。
世界を支配しているのは、考え方以外にありません。
金融危機の根本原因は、経済学の理論的失敗にあります。
経済学の考え方が間違っていたから金融自由化が正当化され、金融自由化を進めたから信用が爆発的に拡大し、それが崩壊して信用逼迫が起こったのです。