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五十にして天命を知る

2015年11月11日 | 心理
今読んでいる心理学史によると心理学の前身は、古代ギリシアの哲学者に遡ります。
代表的な哲学者としてアリストテレス(紀元前384-322)が紹介されていました。
現在私たちが学んでいる心理学のルーツは西欧哲学にあることは確かですが、もっとわかり易い「人間研究」が東洋ではなされていました。
それが孔子(紀元前551-429)の創始した儒学です。
孔子の死後、弟子たちが記録した「論語」は今でも十分通用します。

心理学の前身は哲学ですが、そののち医学や生物学の影響も受けて、「理性主義」と「経験主義」のふたつの大きな流れをつくります。
「理性主義」とは、人間の理性には生まれつき、ある種の観念が備わっているという考え方です。
極論すれば年をとればそれなりになっていくということでしょうね。
代表的な哲学者のひとりが、仏のデカルト(1596-1650)です。
「経験主義」とは、人間の観念は感覚的経験を通して得られるという学習説です。
英の哲学者ロック(1632-1704)は、「心は生まれつきなんの特徴も持たない白紙である」と仮定していますが、白紙の上に経験が刻まれていくということですね。
どちらにしても心理学とは「人間研究」のひとつです。

それでは孔子の説いたこの人間の生き方はどちらの流れで説明できるのでしょうか?

それにしても人生80年時代になんとウンチクのある言葉でしょうか。
あの孔子でさえも、60になって人の言葉がすなおに聞けるようになり、 70になってようやく思うがままにふるまっても道をはずれないようになったということですから、私もまだまだ人生を諦めてはいけないんですね。

「天命」について考察していくと、米・発達心理学者E・エリクソン(1902-1994)の「ライフサイクル論」に行き当りました。
人間は主要な8つの要素を、生涯のそれぞれの時期に発現させ成長させていくという発達漸成論ですが、十分にしっかり育たずどこかが欠けていればいびつで小さなままになってしまうという説です。
孔子の説く天命を悟る時期をエリクソンは「生殖性」と名づけました。
「中年期の成人には、成長途上にある人々の成長を助けたり、世界の維持に尽力するなど、自分以外の他者のために自分の持つ力を発揮することに喜びを見出す(生殖性)という特性がある。
しかし、この時期にそのような感覚をもてないと、自分を甘やかすことだけに関心を向けるようになる」

論語を西欧風心理学で科学的に解き明かすのも面白いですね。


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