大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

政治とはなにか(3)

2016年05月26日 | 政治
政治体制がどう変わろうとも、国家のもっとも大切な役割は国民を食べさせていくことである。
古代社会や中世社会は農業から上がる作物を分配し、国民を飢えさせないために強権的な支配者を世襲的に置いたのである。
人口が増えていけば領土を拡大し、農地を広げていかなければならないから戦争も必要悪のひとつであった。
隆盛をきわめたローマ帝国の滅亡は戦争の必要がなくなるほど全域への覇権が進んだことも一因であるから皮肉なものである。

人類の歴史を大きく塗り替える出来事が18世紀に起こる。
「産業革命」と「啓蒙思想」の普及である。
中世社会のエネルギー源は木材であったが、豊かだった地中海周辺の森林資源も枯渇し始めた。
イギリスにおいて16世紀後半から燃料となる木材が不足して、その代替として石炭が使用され始めた。
18世紀後半の蒸気機関の発明をきっかけに先進国で次々と産業革命が起きた。
産業革命で起きたことは、化石燃料を利用し機械を使用することで、マンパワーだけでは到底達成できない生産量が実現できたことである。
資本を持ち投資できた者は莫大な富を得て、またその富を再投資してますます巨大な資本家になっていった。
資本も技術も持たない者は、資本家のもとで労働者として働くこととなった。
農業分野にも産業革命の波が来て、それまでのように大量の農夫はいらなくなっていく。
こうして資本家と労働者の数が増えていくと、今までの封建制度も崩れていった。
王様よりも金持ちの資本家が現れてきて、資本主義が台頭し、封建制度から民主主義に移行していくのである。
そんな産業革命のうねりのなかで「啓蒙思想」が生まれた。
キリスト教的世界観や封建的思想を批判し、人間性の開放を目指す啓蒙思想は、絶対王政打倒の市民革命にもつながった。
「アメリカ独立戦争」や「フランス革命」である。

「啓蒙思想」の「蒙」とは無知蒙昧(ものごとに暗いこと)の蒙であり、「啓」とは啓(ひら)くことで、無知を有知に変えるという意味である。
福沢諭吉の「学問のすすめ」もこの啓蒙思想の普及本である。

(つづく)