花と山を友として

何よりも山の花が好き、山の景色が好き、山で出逢う動物が好き、そして山に登る人が好き。
写真と紀行文で綴る山親父日記

8月8日の至仏山その4

2011年08月16日 | 登山

ホソバコゴメグサ・ゴマノハグサ科コゴメグサ属 ミヤマコゴメグサの変種
他の植物からも栄養を搾取しながら、自らも光合成を行う半寄生植物
一年草と言われるので、翌年は種から生育するのだろうか
基準標本は飯豊山で、月山、谷川岳、至仏山に多い
小至仏山周辺では普通に見られる


イワシモツケ・バラ科シモツケ属 落葉低木
実はこれの掲載を迷った、調べてみたら至仏山には、マルバイワシモツケ
と言う種があると判ったが、肝心の葉がよく写っていない、もっとも
違いは、萼が花後に反り返るのがイワシモツケで、反り返らないのが
マルバイワシモツケだと言うから、そこまでは待てない。
まあ素人なので、イワシモツケと言うことで勘弁して貰おう。
ちなみに、山渓の日本の高山植物に掲載されている写真は
イワシモツケが尾瀬の笠ヶ岳、マルバイワシモツケが至仏山である。


花々を眺めながら岩場を超えて、古びた階段状の木道になると
いよいよ尾瀬の名前のかぶさった「オゾソウ」の群落地になる。


オゼソウの群落地、和名の由来は、尾瀬の至仏山で
発見されたことによる。


オゼソウ(尾瀬草)・ユリ科オゼソウ属 基準標本は至仏山で日本固有種
本州の谷川岳と至仏山に特産すると言われていたが、北海道の
天塩山地にも希に生えるという説があり、別にテシオソウとして
区分していると言う。
亜高山帯から高山帯の蛇紋岩地の湿った草地に生える多年草

氷河期に広く栄えた植物が、蛇紋岩地に取り残されたと考えられ
カトウハコベなどと共に「蛇紋岩残存植物」と呼ばれている。

この後、至仏山で大勢の団体登山者とすれ違ったが、オゼソウが
咲いているかと良く聞かれた。
オゼソウと言う名前から、もっと華やかな花を想像しているのかも
しれない。
穂状で黄緑色の花で、小至仏山の斜面に群落が有ると説明したが
はたして判っただろうか。

小至仏山の群落は、木道から離れているので、写真はボケた
数は少ないが、東面登山道にも有る。そちらは近すぎてボケた。
まあそのうち、ちゃんと撮れるだろう。(苦笑)


振り返ると日光の山々に雲がかかり、雲の影が山の斜面に
黒い模様を作っていた。
右に小さく光っているのは、オヤマ沢田代の湿原だろう。

参考の為に同方面の展望図を掲載する。


ミヤマホツツジの花・ツツジ科ホツツジ属 落葉低木
3枚の花弁は反り返り、花柱も急に上に曲がる
普通、花弁は白色が多いが、この花は赤い色がついて
鮮やかだ。


ムラサキタカネアオヤギソウ・ユリ科シュロソウ属 基準標本は至仏山
基部にシュロの繊維のようになった古い葉鞘が残るのでタカネシュロソウ
とも呼ぶ。
右の白い花は「タカネトウチソウ」とその蕾、右端はネバリノギラン

もう花は終わっていたが、ウラベニダイモンジソウと呼ばれる
葉の裏が赤いダイモンジソウも有った

小至仏山のゴツゴツした岩山を登っていたら、巻き道を降りてきた
単独の若い女性に会った。
挨拶すると、なかなか笑顔がすてきな女性だった。


小至仏山の山頂は、狭い岩山の上でスペースがない。
標高2116メートルの表示がある石柱が立っていた。
建てたのは、尾瀬林業とある。平成9年だからまだ新しいものだ。


岩場の周辺には「ヒメシャジン」の群落が多い


ヒメシャジン・キキョウ科ツリガネニンジン属 基準標本は日光
この写真は、上の写真をトリミングして拡大した
特徴は、萼片に歯牙が有ること(萼に突起が有る)
それが変種の「ミヤマシャジン」との見分けのポイントになる


こちらはヒメシャジンの果穂


ヒメシャジンの果穂の状態が判るように、花と果穂の
できはじめを撮った


小至仏山から尾瀬ヶ原を俯瞰する


至仏山を眺めると、早くも霧と雲にかすんでいた。

10時30分頃だったが、早くも至仏山から下山してくる
登山者が大勢だった。
夏の山は、気温が上がると上昇気流で雲ができる
雲ができれば雷の危険もある。
みんな賢明な選択をしている。

私も至仏山の頂上へ行くのはあきらめた。
せめて、前回逃げ帰った場所まで行って引き返す事にした。


岩場の山道には、ウメバチソウの蕾とタカネナデシコの花が
埋もれるように咲いていたり


カトウハコベが土手の草に混じって数輪咲いていたりする。
カトウハコベ・ナデシコ科ノミノツヅリ属、基準標本は早池峰山
蛇紋岩残存植物と呼ばれる氷河期からの植物
紛らわしいが葉っぱに注目、高天原では木道の近くにある。
名前は加藤という人名による


ホソバツメクサ・ナデシコ科タカネツメクサ属、基準標本は日高山脈幌満岳
花はカトウハコベに似ているが、葉は線形で先は尖る。


イブキジャコウソウ・シソ科イブキジャコウソウ属、基準標本は伊吹山
至仏山では至る所で目に付く


タカネナデシコ・ナデシコ科ナデシコ属 基準標本はドイツ
これも至仏山では至る所に咲いている。


ジョウエツキバナノコマノツメ・スミレ科スミレ属、基準標本は至仏山
山渓の日本の高山植物には、谷川岳と至仏山に特産する。葉がやや厚くて
毛が少ない
。と書いてあるが

上毛新聞社が1979年に発行した「群馬の高山植物」には
キバナノコマノツメの葉の無毛品である
と記載されている。

尚、いがりまさしさんの「日本のスミレ」には、次のように書いてある
葉は無毛または微毛が有る。超塩基性岩の影響で変形したものと
考えられる。


タカネバラの実 前回は花が咲いていたタカネバラも
すでに実をつけ始めていた。

前回、雷で逃げ帰った至仏山の山頂直下まで行って一休み
コーヒーを飲んで引き返す事にした。


帰りは小至仏山の山頂を通らず、南側の巻き道を帰る
見上げると岩の間に石柱が見えた。


小至仏山の尾根から見る「笠ヶ岳と小笠」


斜面の離れた所には「キンロバイ」の群落が広がっている。


尾瀬ヶ原の池塘は、大雨のせいで水が多く光っている。


望遠で見ると東電山荘と温泉小屋のあたりも見えた


望遠で見る鳩待峠


鳩待峠でホバリングするヘリコプター
たぶん大雨で損壊したヨッピ橋周辺の木道を修理する
資材を運搬しているのだろう。
バタバタとローターの回る音が尾瀬に響いていた。

テラスで一休みしているとき、花の名前を教えて親しくなった
二人連れの女性と、鳩待峠まで一緒に帰った。
彼女たちは、これから山の鼻まで下って、山小屋に泊まり
明日は、尾瀬ヶ原を縦断して赤田代まて行くという事だった

鳩待峠まで下山すると、汗っかきの私は、シャツが汗でぐっしょりだった。

おしまい










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