歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

ブラジルでの工場見学(その6)PECVAL INDUSTRIA LTDA

2009-08-20 00:41:09 | 海外ものづくり事情
 1年以上ほったらかしになっていましたが、2006年1月のブラジルでの工場見学シリーズを再開いたします。あまりコメントがなかったので、このブログをご覧になっている方々にはブラジルに興味を持ってもらえなかったのかなと思っていたのですが、先日ブラジル在住の知人から是非との要望があったので再開する次第です。



 PECVAL INDUSTRIA LTDAの親会社であるシミズ工業(愛知県刈谷市)は、自動車用の大物樹脂成形金型(バンパー、インパネ)製作、カーエアコン・ラジエーター関連の金型製作から成形・組付までを行っている会社です。海外進出先は、英国(2工場)、チェコ、米国(3工場)、ブラジル(3工場)です。ブラジルにはサンパウロ州のピンダモニャンガバ、インダイアツーバ、パラナ州のクリチバに、計3工場も有しています。2006年1月に訪問したのは写真のインダイアツーバ工場です。


 成形工場です。
 インダイアツーバ工場では、トヨタ・カローラとホンダ・シビック及びフィットの内外装品等を成形しています。成形機械は日本製を使用しており、ブラジル製の成形機械もないことはないがとても使用に耐えないということでした。しかし成形機械にトラブルがあった場合、日本からの部品取り寄せとなるため1週間も機械が止まってしまうことが課題だとのことでした。情報通信技術などの発達により地球の裏側とのコミュニケーションは飛躍的に容易になったとはいえ、地理的な問題はどうしても日本企業にとってハンデとなるようです。


 金型のメンテナンスの模様です。
 金型については、日系メーカーはブラジルには進出していません。このためPECVAL では主にサンタカタリーナ州ジョインビレ、パラナ州クリチバ、そしてサンパウロの金型メーカーに外注しています。しかしこれらの外注先の技術は良いのですが、納期に問題があり、製作日数を日本の倍は見込まなければならないそうです。また、サンパウロ州サンジョセ・ドス・カンポスにある松下電器が小物の金型製作の外注を請け負っており、PECVAL はこちらにも一部の金型を外注しているとのことでした。

 自動車部品の成形メーカーが松下電器に金型の製作を発注するという例は、おそらくここブラジルでしか見られないのではないでしょうか。アジアには全く進出していないのに、ブラジルには3工場も稼動させているという点も非常にユニークだと思います。


※なお上記の内容は2006年1月に同社を訪問したときに伺ったお話を基にしており、現在は事情が変わっている点があると思います。

江南に行ってきました

2009-08-19 22:42:21 | Weblog
 名古屋出張2日目は名鉄に乗って江南に行ってきました。目的は愛知県大口町にある工作機械メーカーへの訪問です。かなり早めに江南駅に着いたので、前回江南を訪れたときに立ち寄った駅前のマクドナルドで時間をつぶそうと思ったのですが、空き地になってしまっていました。他にどこか時間をつぶせるところがないか探したのですが、駅前には本当に何もありません。特急電車が停車する駅にしてはあまりに寂しすぎます。

 やっと見つけた書店に入ったのですが、いかにも田舎にありがちな文房具屋を兼ねた小さな本屋さんで、立ち読みしたくなるような本があまりありません。谷川流の「涼宮ハルヒ」シリーズの中で未読だった「涼宮ハルヒの分裂」(角川文庫)を見つけたので、帰りの新幹線の車中の暇つぶし用に購入しました。



 「分裂」はあっと言う間に読んでしまいましたが、「憂鬱」のような面白さは感じませんでした。「涼宮ハルヒ」シリーズはいっそのことSF路線は放棄してラブコメにしてしまえばいいんじゃないかなあ、って40過ぎのオッサンが何言ってんだか(苦笑)。ちなみにストーリーが「分裂」というタイトル通りに後半からαルートとβルートの2つに分岐するのですが、この手法は筒井康隆の作品にもあったような気がします。

徳島製粉「金ちゃんヌードル」

2009-08-19 07:54:36 | Weblog
 昨夜、名古屋のコンビニで「金ちゃんヌードル」という見慣れないカップめんを発見したので買ってみました。徳島市の徳島製粉というメーカーが作っているこのカップめん、wikipediaで調べてみると

(以下引用)
徳島製粉株式会社(とくしませいふん)は、徳島県徳島市に本社を置く、日本の製粉業者・食品加工品業者である。
小麦粉、インスタントラーメン、カップ麺の製造・販売を行っている。即席麺は「金ちゃん」ブランドとして販売されている。尚、「金ちゃん」の名は、小麦粉の商品名「鳴門金鶴(なるときんつる)」から採用したものである。即席麺製品の販売地域は、富山県、愛知県、三重県、岐阜県以西の西日本地区(九州地方の一部を除く)および静岡県や新潟県の一部などとなっている。最近は関東地区でも試験的に発売(但し、金ちゃんヌードルのカップのみ)が行われているようである。
(引用終わり)


 とのことで、道理で見慣れないカップめんだったわけです。
 夜食のつもりで買ったのですが結局腹が空くことも無く寝てしまったので、さきほど朝食として食べてみました(朝からカップめん・・・)。味は日清「カップラーメン」にかなり近いのですが、違いもあります。こちらの方がその違いを適切に指摘しています。西日本の方にとってはかなりポピュラーなカップめんなんですね。有名芸能人を使ったCMも放映しています。



 カップめんの話題のついでに。こんな記事が目に止まりました。

中間管理職にチキンラーメンと水、小麦粉、ビニールシートを持たせ、「無人島」でサバイバルをさせる研修…日清食品
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090817/biz0908172125010-n1.htm

 「電波少年」ですかこれ。日清食品の商品開発力の秘密は実はこんなトンデモな社員研修にあったんですかね。

刈谷に行ってきました

2009-08-18 19:02:24 | ものづくり・素形材
出張で愛知県刈谷市に行ってきました。

 
名古屋から刈谷までは名鉄よりもJRの方が150円ぐらい安いです。首都圏に暮らしているとなんとなくJRよりも私鉄のほうが安いというイメージがあるので、この価格差はちょっと意外です。駅にはアニソンコンサートのポスターが貼られていました。大御所が来られるんですね。

 
地方出張では駅からのアクセスにはたいていタクシーを使うのですが、時間があったので暑い中を歩いてみました。デンソー、トヨタ車体、トヨタ紡織などなど、トヨタグループの会社だらけです。


おもしろかったのがこちら。外壁にレトロな琺瑯看板を飾っている居酒屋(こちら)なのですが、「トヨタ洗濯機」の看板が一番目立つ場所に飾られています。さすがはトヨタ系列の企業城下町です。へえ、トヨタは洗濯機も昔作っていたのか、と思い調べてみたら、作っていたのはシャープでこれをトヨタブランドでアイシン精機が販売していたんですね(こちら)。なかなか魅力的な居酒屋ではありましたが、まだ日も高く準備中のようだったので今回はパスしました。


明日も愛知県で企業訪問があるので、今夜は名古屋に泊まります。栄のホテルを取ったのですが、歓楽街のど真ん中の立地ですぐ近くには昼間からこんな幟が。格安のビジネスホテルだとこういったロケーションというのはよくあるパターンであるような気がします。

宮田 律 (著) 「 ドバイの憂鬱 」(PHP新書) (新書)

2009-08-17 23:08:33 | 読書
 宮田 律 (著) 「 ドバイの憂鬱 」(PHP新書) (新書)を読みました。

(以下引用)
世界中の建設用クレーンの半分が集中しているといわれたドバイでは、不動産バブルがはじけ、経済は沈滞、労働者の解雇も進められた。数々の巨大プロジェクトは休止・延期。世界同時不況もあり、ほかの湾岸諸国の経済も悪化している。しかし、将来を期待させる材料も多々ある。サウジアラビアの人口増加による住宅不足は、不動産・建設業界にとって魅力的だ。カタールは天然ガスの大輸出国であり、アブダビはドハイを反面教師として安定した経済成長を目指している。現状から、湾岸経済の今後をうらなう。
(引用終わり)


 正直言ってイマイチな本です。内容は新聞記事やウェブから集めた情報を羅列しただけで、特に深い分析もなく情報の新鮮味も乏しいという印象を受けました。我が国には中東の歴史を研究する方はわりと多いのですが、中東の経済を研究する人材の層は薄いように思います。
 湾岸諸国の経済について基礎知識を持ちたい方にとっては平易で読みやすい本かもしれません。

不況にもかかわらず力強い成長を続ける中国の金型産業

2009-08-16 20:57:43 | 海外ものづくり事情
 工作機械メーカーの話をうかがうと、世界的に需要が落ち込む中で期待できる市場はやはり中国なのだそうです。最近は中国の機械工業についてきちんとウォッチしていなかったのですが、中国経済網の英語版に以下の記事を見つけ、中国の機械工業の成長ぶりを思い知らされました。

Domestic die & mould sector enters new growth era
Last Updated(Beijing Time):2009-07-01 11:12

http://en.ce.cn/Insight/200907/01/t20090701_19437904.shtml

 記事によると、昨年の中国の金型産業の売上高は950億人民元(約1兆4,250億円)、昨年に比べて9.2%の増加で、伸び率は約10%の減(つまりそれまでは毎年20%近い成長を遂げていた)とのことです。世界的な金融危機にもかかわらず、この実績はかなりすごいことです。ちなみに金型メーカーの20%は世界的な金融危機の影響を受けていないのだそうです。また金型の輸入額は昨年とほほ同じ2,004百万ドル、輸出額は1,922百万ドルであり、輸出額は昨年に比べて36%の増加でここ数年は30%から40%の伸び率を示しています。こうした世界的な不況にもかかわらず中国の金型産業が力強い成長を遂げている背景は、1つは技術の向上したことにより外需が増加したこと、そして北京-上海間の高速鉄道の建設や上海万博などの内需拡大だとのこと。
 しかし中国の経済発展については、環境対策の無視や数字の操作など、あからさまなルール違反によって支えられているとの噂も絶えません。私はしばらく訪中していないのですが、また中国の素形材産業の現場を見て歩き、実態を見極めたいものです。

日本の樹脂成形技術の最高峰は「ガンプラ」かも

2009-08-16 19:44:43 | ものづくり・素形材
「モノづくりスペシャリストのための情報ポータル」の@IT MONOistというサイトに、「ガンプラ こだわりのモノづくり」という特集記事が載っているのですが、これがなかなか興味深い内容でした。もしかしたら日本の樹脂成形技術の最高峰は「ガンプラ」かもしれないな、と感じました。静岡の「ガンプラ」工場での開発と設計の連携のあり方や、匠の技に頼った金型製作などのエピソードからは、日本のものづくりの強みと課題について何かヒントが得られると思います。

(第1回)ガンプラは1つ屋根の下で作られる
http://monoist.atmarkit.co.jp/fmecha/articles/gunmono/01/gunmono_a.html
(第2回)ガンプラは樹脂流動解析をやらない
http://monoist.atmarkit.co.jp/fmecha/articles/gunmono/02/gunmono2_a.html
(第3回)ガンプラは2次元図面がない
http://monoist.atmarkit.co.jp/fmecha/articles/gunmono/03/gunmono3_a.html

名古屋に出張してきました

2009-08-13 23:15:01 | Weblog
 中部経済産業局との打ち合わせのため、名古屋に出張してきました。出発前、かなり早く東京駅に着いてしまったので、立ち読みで時間をつぶそうと思い八重洲ブックセンターに寄ったのですが、つい目に止まった本を買ってしまいました。どうも私にとって書店は家計的には鬼門と言えそうです。
 名古屋は猛烈に蒸し暑くバテそうになりました。仕事が終わった後、名古屋駅前の「世界の山ちゃん」で手羽先をつまみに飲んだビールが実にうまかったです。

靖国神社のことなど

2009-08-11 22:29:39 | Weblog
 世間様は夏休みですが、どういうわけか私は多忙な日々が続きます。本日は九段下にある財団法人中東協力センターを訪問してサウジアラビアの投資環境のことなどについて話を聞いてきました。
 首都リヤドには自動車のブレーキパッドを生産するローカル資本の鋳物メーカーがあり、VWなどへ供給しているのだそうです。サウジは労働力をインド人など外国人に大きく頼っている国ですが、意外なことにこの鋳物工場で真っ黒になって働く労働者はサウジ人とのこと。

 ちょっと時間が余ったので靖国神社に立ち寄ってみました。ここを訪れるのは初めてだったのですが、威圧するように聳える鉄製の巨大な鳥居をはじめ、普通の神社とはまるで異なる印象を受けました。そういえば間もなく8月15日を迎えますね。

食品機械も作る放電加工機メーカー

2009-08-08 21:31:46 | ものづくり・素形材
 先日、NC放電加工機メーカーとして有名な株式会社ソディックの本社を訪問してきました。場所は横浜市営地下鉄の仲町台駅から歩いて5分ぐらいのところにあります。
 金型工場を訪問するとかなり高い確率でソディックの放電加工機を見ることができるので、「ソディックといえば放電加工機」というイメージを抱いていたのですが、同社は特殊なマシニングセンタなども生産しています。意外だったのが、ソディックは食品機械を関連会社で作っているということです(こちら)。
 この関連会社は石川県白山市で製麺機などを作っており、製麺業界ではかなり有名な企業のようです。工作機械メーカーのオークマもかつてはきしめんなどの製麺機を作っていたことですし(こちら)、ソディックもかつて製麺機で創業したという歴史があるのかなと思ったのですが、違いました。もともとあった製麺機メーカーにソディックが資本参加したのですが、そのきっかけが変わっています。阪神大震災で工場が損壊した兵庫県伊丹市の製麺機メーカーが、石川県白山市のソディックの工場を借りて生産しているうちにソディックグループに加わることになったのだそうです。

(以下引用)
同社の前身㈱トムは平成元年に兵庫県伊丹市で製麺機メーカーとして創業された。製麺機械を通じて麺文化への提案、貢献を続けていたが、平成7年の阪神大震災により工場が損壊した。その後、白山市にあったソディックの工場を借りて製造・販売を再開、平成16年に同所に本社を移転し順調に製麺機械事業を推進していたが、この4月、㈱ソディック(本社・横浜市都筑区仲町台3-12-1、代表取締役塩田成夫、 ℡045-942-3111)の資本参加を得て㈱トム・ソディックを設立。ソディックグループに入ることになり、古川健一氏が社長に就任した。
(引用終わり)

出所:http://www.machinist.co.jp/2007_7~12/2007_07/toku04_jul2007.htm

 事業の意外な組み合わせ、そこに至るまでの意外な経緯というものが世の中には結構あるものですね。