歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

外国人技能実習生の滞在期間は延長すべきか

2008-10-13 23:45:53 | Weblog
 外国人技能実習生を破格の待遇で受け入れている広島県因島市の造船メーカーがテレビで取り上げられていました。造船業界は好況であるにも関わらず人手不足が深刻であり、外国人の受け入れも優秀な人材の確保が目的である、とのことです。
 ものづくりの技能者の確保をめぐる競争が世界規模で激しくなっており、また日本はこの先労働力が大きく不足することから、「初年度は研修、2年目と3年目は実習、実習期間が終了したら帰国」という現行の外国人研修生・実習生の制度ではもはや対応は難しい、実習期間の延長はやむなし、というのがこの番組の論調でした。しかし、労働力不足を外国人研修生・実習生の滞在期間を延長することで対応することは本当にいいのか、と思います。

 外国人研修生・実習生の制度では、外国人に労働移動の自由はありません。普通の労働者であれば、労働条件が悪くて厭になれば退社して他社に転職することが可能ですが、外国人研修生・実習生らは受け入れ先の企業に契約期間中ずっと縛り続けられことになっています。番組で取り上げられたような造船会社で受け入れられた外国人たちにとっては、滞在期間が長期化することはハッピーなことでしょうけれども、不幸にして悪条件での労働を外国人に強いているような企業(少なくないようです)で受け入れられた外国人にとっては、滞在期間の延長は奴隷労働の長期化を意味するだけのことです。これは人道的にいかがなものかと思います。
 これからの日本は労働力が不足するのは確実ですし、優秀な外国人の活用を積極化していかなければならない必要があることについては、私も否定するものではありません。ただし、そのために外国人研修生・実習生の滞在期間を延長するという対応はちょっと姑息ではないのでしょうか。優秀な人材であれば外国人であっても労働力として受け入れ、そして法的に日本人と同じ条件で雇用するべきなのではないか、と私は思います。

劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン

2008-10-13 22:13:02 | Weblog
 娘にせがまれて劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウンを一緒に観てきました。前作よりもストーリー、アクションともに充実しており、私も楽しめました。劇場でキャラクター入りのマグネットシールももらえて娘は大満足でした。
 ところで「電王」は、仮面ライダーを支えるモモタロスをはじめとするイマジンたちの方が主役といったかんじですね。彼らのコミカルな振る舞いで笑いを取る場面も多いですし、エンターテイメントとしても完成度の高い作品でした。「さらば」というタイトルがついているのでこれが最後の映画のつもりなのかもしれませんが、「帰ってきた」というタイトルでもつけて続編を作ってもらいたいと思います。

ゼリー規制法案

2008-10-12 23:14:57 | ニュース・雑感
 形は国が決める? こんにゃくゼリー 自民、議員立法へ 消費者行政迷走(朝日新聞10月11日)

 米国発の金融危機によって世界経済がこれからどうなるのかという中、「こんにゃくゼリーの規制を強めよ」、「じゃあモチはなぜ規制しないんだ」、という論争を代議士の先生方が戦わせている光景はなんだかとてもシュールです。
 このゼリーをめぐる論争は「生産者重視から消費者の安全を重視する行政への転換の象徴」として位置づけられているそうです。しかし、事故を起こした「蒟蒻畑」は、パッケージにしっかり「お子様や高齢者の方はたべないでください」と注意書きがあります(こちら)。毎年正月に多くの高齢者が命を落とす原因となっているモチよりも、はるかにメーカーは消費者の安全を重視していると思います。行政が消費者の安全を重視するのは結構なのですが、目立つ注意書きを無視して子供に与えた遺族の自己責任は全く問われないというのは、どこかおかしいように感じます。

菅野 博之 (著), 唐沢 よしこ (著) 「漫々快々―みんなのマンガがもっとよくなる」

2008-10-12 10:56:11 | 読書
 菅野 博之 (著), 唐沢 よしこ (著) 「漫々快々―みんなのマンガがもっとよくなる」を読みました。
 思いがけずマンガ入りの広報資料を作る仕事をいただいたため、マンガの作り方というものをちょっと勉強してみようと思って読んでみたのですが、これは確かに勉強になりました。
 読者の視線をスムーズに動かし、わくわくさせながら次のページをめくらせるために、いかにプロの漫画家が知恵を絞っているかがわかりました。本書は素人の投稿作品をプロの漫画家が添削して指導するスタイルのテクニック解説書なのですが、いかにも素人の描いた稚拙な作品も、ちょっと登場人物の配置を変えたりコマ割を変えることによって見違えるように魅力的な作品に生まれ変わる様には驚かされます。
 筆者は「連なる絵には一枚絵とは違う考えドコがある」と述べていますが、私もこのたび小冊子とはいえマンガの原作を書くという立場になって初めてその難しさを感じています。今まで「あー面白かった」と読み終えていたマンガを、本書を読み終えた今となっては「この漫画家はどんな工夫を凝らしているのか」という別の視点から再読してみようかと思ってしまいました。

官庁の広報マンガのお仕事

2008-10-11 22:45:10 | Weblog
 某官庁から、ものづくりに対する某支援制度の普及促進を図るための広報資料を作る、というお仕事を頂戴しました。広報資料というのは、官庁で流行しているマンガ入りの30ページほどのパンフレットです。
 マンガの原作を書くという仕事は初めてなので、参考にしようと既存の官庁マンガをいろいろと読んでみたのですが(たとえばこちら)、どうもいまいちなものが目立ちます。政策のPRが目的なので仕方ないとは思うのですが、どうしても説明が中心になるためフキダシの中の文字が多くて読みづらく、マンガとしての面白みが大きく減じられているように思います。絵も正直言ってイマイチです。
 また、官庁の広報マンガには調査報告書のように左開きであるものが多いのですが、これはマンガとして致命的な欠陥であると思います。普通、日本のマンガは右開きでコマは右から左に読んでいくものです。左開きの官庁マンガは、アメリカのコミックと同じでコマを左から右に読んでいくのですが、なんともこれは読みにくいのです(上のリンク先のマンガを読んでみてください)。
 このため私は普通のマンガのように右開きの体裁にするよう、お客さんの某官庁に提案しました。これは認めてもらえそうです。内容は説明中心になってしまいマンガとしての面白みはあまり追求できないかもしれませんが、できる限りストーリーにこだわってみたいと考えています。

湯島天神

2008-10-10 23:26:33 | Weblog
 昨日は日本金型工業会に行ってきました。湯島天神のほんとにすぐ隣にあります。この団体を訪れる時はついでにお参りするのが恒例です。もう少しだけでもいいから頭の回転が早くなりますように。。。

北朝鮮の爆撃機は脅威なの?

2008-10-09 00:47:29 | ニュース・雑感
北朝鮮、短距離ミサイル2発発射 黄海上の爆撃機から(朝日新聞2008年10月8日10時22分)

(以下引用)
 【ソウル=牧野愛博】北朝鮮が7日、計2発の短距離ミサイルを発射した。韓国政府関係者が明らかにした。イリューシン28爆撃機が午前と午後に1発ずつ、いずれも黄海上空で空対艦短距離ミサイルを発射したという。
 韓国政府は射程約50キロと分析。従来保有しているミサイルを改良したうえで、性能を確認する試験発射とみている。同政府関係者は「軍事的には脅威だが、政治的に大きな影響があるとは考えにくい」と語り、政治的な挑発行為との見方を否定した。
(引用終わり)


 これ本当に軍事的に脅威なのでしょうか?

 ミサイルを発射したイリューシン28爆撃機ですが、Wikipediaによると以下のとおりです。

(以下Wikipediaより引用)
Il-28の原型機が初飛行したのは1948年7月8日である。1949年にソ連空軍に引き渡された。(中略)ソ連では、1960年に3000機ほどを生産し終了したが、最近まで中国で継続して生産していた。現在中国では退役し、北朝鮮で戦術爆撃機として少数が現役機である。また、アルバニア空軍でも使用中である。西側にも広く公開されて有名であったルーマニア空軍のH-5は、偵察型・複座型を含め全機が退役している。
(引用終わり)


 1948年初飛行という、もう博物館入りのような爆撃機です。いざ有事ということになっても、F15戦闘機などにあっという間に撃墜されるのは目に見えているような気がしますけれども。

アラン・ワイズマン (著), 鬼澤忍 (翻訳)「人類が消えた世界」

2008-10-09 00:13:37 | 読書
 アラン・ワイズマン (著), 鬼澤忍 (翻訳)「人類が消えた世界」を読みました。

(以下「内容紹介」より引用)
TIME誌が選ぶ2007年ベストノンフィクション第1位!

いま人類が忽然と姿を消したら、世界各地ではいったい何が起こるのか。住人を失ったあなたの家は、その時点から腐りはじめ、100年後には煙突のレンガなどを除く屋根や壁のほとんどは崩れ落ちるだろう。高層ビルを擁する大都市もまた、地下への浸水から崩壊し長くはもたない。人類なきあとにはどんな動物たちが地上を闊歩するのか。イヌはもはや人間なくしては生きられないが、ネコは小動物を狩りながら自由を満喫するだろう。アフリカで人間の後釜に座るのはヒヒかもしれない。人間が残したいと思う文化的生産物は、銅像などを除けば、ほとんどが数万年のうちに跡形もなく消え去るが、プラスティック粒子、放射性物質などはその後も地球の環境に大きな影響を及ぼし続けるだろう。また、テレビ番組の電波は宇宙空間を永遠にさまよい続け、どこかの生命体の退屈を紛らせるかもしれない……。

最新の科学的知見にもとづき、あらゆる側面から人間の営みを見つめなおして語る壮大な未来予測。
(引用終わり)


 20世紀後半以降の人類の活動がいかに地球に悪影響を与え続けてきたか、そして全人類が突然消滅してしまってもその遺産が極めて長い間にわたって地球に悪影響を与え続けるか、「これでもか」というぐらい思い知らされる本です。もう地球にとって人類の存在は害悪そのものなのか、と暗然としてしまいます。ではどうすればよいのか、筆者が本書で示している解決方法らしきものは「今後は、地球上の出産可能な全女性に子供は一人と限定する」(p397)だけのようです。
 あまり愉快な気分にはなりませんが、環境問題の深刻さを知るには良書であると思います。

電車同士の熱いレースバトル漫画『電車でD』

2008-10-08 01:16:00 | Weblog
 毎日の通勤に東海道線を利用していますが、横浜~東京間の車窓風景はこれといって楽しめるものはないので、私はもっぱら読書か携帯電話をいじる時間に充てています。それが飽きたり、またはとてもそんなことができないくらい混んでいる時は、併走する京浜東北線、横須賀線、そして京急線とのレース展開を眺めることが唯一の楽しみになります。
 しかし、各駅停車の京浜東北線には始めからこちらと勝負する気がありませんし、横須賀線は鶴見付近で新川崎へとコースアウトしてしまいます。また、最強のライバルである京急の快速特急は住宅やビルなどに隠れて見えなくなってしまいます。鉄道なのですから仕方ないのですが、ちょっと残念です。
 さて、電車同士でレースバトルという、そんな私の子供じみた妄想を見事に漫画にしてくれているのが『電車でD』です。



 『電車でD』は、公道で自動車レースを行ういわゆる走り屋の若者たちを描いた漫画『頭文字D』のパロディなのですが、これは実に面白い。まず絵が上手い。本家の『頭文字D』そのものです。そして、旧式電車に乗務する阪急電鉄の運転士が、天才的なドライビングテクニックを駆使しながら宝塚から梅田まで阪急の最新電車とレースバトルを展開するという、荒唐無稽な舞台設定といい、車輪がうなりを上げ炎を吹き上げるなど過剰な演出といい、画面一杯に広がる圧倒的なスピード感といい、まるで香港映画のようです。
 また、作者は相当な鉄オタのようで、車両などの細部の描写は実に凝っていますし、セリフも鉄道好きであれば思わず吹き出すような内容になっています。なお、この漫画には続編があり、第2話ではなんと阪急電車が近鉄特急「アーバンライナー」とレースをするという、荒唐無稽さがさらにパワーアップした内容になっています(こちら)。
 関西地区で電車が急カーブをものともせずに爆走するという題材は、考えてみれば誠に不謹慎であるかもしれませんが、それでもやっぱり漫画として面白い作品です。この作者には、横浜から品川までの東海道線と京急の快速特急とのバトルをテーマにした作品も是非描いて欲しいところです。

(追記)
 『頭文字D』は実写で映画化されていますが、撮影は香港で行われ、キャストも香港の俳優によって演じられています。もともと香港映画との親和性が高い漫画なんですね。映画の予告編はこちら

ラップと物理学

2008-10-07 00:27:10 | Weblog
 スイスのジュネーブ郊外にて、「最後の素粒子」発見を目指す壮大な実験が行われています。

「最後の素粒子」発見挑む 国際プロジェクト始動(産経ニュース2008.9.10)

(以下引用)
 物理学の歴史を塗り替える可能性を秘めた壮大な実験が、スイスのジュネーブ郊外で現地時間10日、始まった。欧州合同原子核研究機関(CERN)の巨大な加速器を使って、未知の素粒子発見を目指す国際共同プロジェクトだ。日本からも研究者約100人が参加しており、物質が持つ質量の起源や、宇宙誕生の謎に迫るノーベル賞級の成果が期待されている。

 実験施設は世界最高のエネルギーを誇る「大型ハドロン衝突型加速器」(LHC)。地下約100メートルにある円周状のトンネル内に、極低温に冷やした約1600台の超電導磁石が並ぶ。1周の長さはJR山手線にほぼ匹敵する約27キロ。約5000億円の費用と14年の歳月をかけて建設された。
(引用終わり)


 物理学についてはちんぷんかんぷんな私にはよくわかりませんが、別の報道によるとなんでも小規模なブラックホールを人工的に作り出すらしいとかで(こちら)、とにかくすごい実験のようです。
 この壮大だけれども難解な物理学の実験について、なんとCERNの広報担当者自身が自作のラップ「Large Hadron Rap」に乗せて紹介しているビデオがこちら。現在YouTubeで大ヒットしています。



 こりゃ本格的なラップです。実験施設をバックに、ヘルメットをかぶったCERNのスタッフたちがノリノリのダンスを披露したりしちゃっています。この音楽とビデオを制作したのは、インターンとしてCERNの広報活動を担当するミシガン州出身のKate McAlpineさん(23歳)です。歌詞もいたってまじめで、しっかりとこの壮大な実験について説明しているのだとか(詳しくはこちら)。

 素晴らしいと思ったのは、彼女がこのビデオを文学と科学の世界(そして、いまどきの若者と学者)の融合を目指して制作した、ということです。YouTubeには日本の若者たちも多くのビデオ作品を投稿しており、特にアニメや音楽を素材にした娯楽作品は技術や独創性の点で世界的にも極めて高いレベルにあると思います。しかし、このような学問に対する高い志に基づく作品(それも娯楽要素を兼ね備えた)は日本人の手によるものはあまりないのではないでしょうか。学術研究の裾野の広さというか懐の深さのようなものが、日本と欧米とでは格差がまだまだ大きいように思います。