歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

電車同士の熱いレースバトル漫画『電車でD』

2008-10-08 01:16:00 | Weblog
 毎日の通勤に東海道線を利用していますが、横浜~東京間の車窓風景はこれといって楽しめるものはないので、私はもっぱら読書か携帯電話をいじる時間に充てています。それが飽きたり、またはとてもそんなことができないくらい混んでいる時は、併走する京浜東北線、横須賀線、そして京急線とのレース展開を眺めることが唯一の楽しみになります。
 しかし、各駅停車の京浜東北線には始めからこちらと勝負する気がありませんし、横須賀線は鶴見付近で新川崎へとコースアウトしてしまいます。また、最強のライバルである京急の快速特急は住宅やビルなどに隠れて見えなくなってしまいます。鉄道なのですから仕方ないのですが、ちょっと残念です。
 さて、電車同士でレースバトルという、そんな私の子供じみた妄想を見事に漫画にしてくれているのが『電車でD』です。



 『電車でD』は、公道で自動車レースを行ういわゆる走り屋の若者たちを描いた漫画『頭文字D』のパロディなのですが、これは実に面白い。まず絵が上手い。本家の『頭文字D』そのものです。そして、旧式電車に乗務する阪急電鉄の運転士が、天才的なドライビングテクニックを駆使しながら宝塚から梅田まで阪急の最新電車とレースバトルを展開するという、荒唐無稽な舞台設定といい、車輪がうなりを上げ炎を吹き上げるなど過剰な演出といい、画面一杯に広がる圧倒的なスピード感といい、まるで香港映画のようです。
 また、作者は相当な鉄オタのようで、車両などの細部の描写は実に凝っていますし、セリフも鉄道好きであれば思わず吹き出すような内容になっています。なお、この漫画には続編があり、第2話ではなんと阪急電車が近鉄特急「アーバンライナー」とレースをするという、荒唐無稽さがさらにパワーアップした内容になっています(こちら)。
 関西地区で電車が急カーブをものともせずに爆走するという題材は、考えてみれば誠に不謹慎であるかもしれませんが、それでもやっぱり漫画として面白い作品です。この作者には、横浜から品川までの東海道線と京急の快速特急とのバトルをテーマにした作品も是非描いて欲しいところです。

(追記)
 『頭文字D』は実写で映画化されていますが、撮影は香港で行われ、キャストも香港の俳優によって演じられています。もともと香港映画との親和性が高い漫画なんですね。映画の予告編はこちら