歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

田島軽金属を訪問しました

2011-01-16 17:18:59 | ものづくり・素形材
 先週金曜日、埼玉県羽生市にあるアルミ鋳物メーカーの田島軽金属さんを訪問しました。同社は砂型でアルミ鋳物を鋳造しているメーカーで、大型アルミ鋳物では業界トップクラスの技術と設備を擁し、大きなものでは2トンを超えるような製品を作っています。


 製品は少量生産の特殊なものが目立ちます。まず目に止まったのが、社屋の前にあった大きな円形状の鋳物です。こちらはCTスキャンの内部に備わる回転装置の部品で、重量は340kgあります。ちなみにCTスキャンの内部でこの装置は150回/分という高速回転をするのだそうです。


 これらは液晶製造装置の部品で、アルミとセラミックスの複合材(MMC)で出来ています。MMCは大変優れた特性を持つ素材で、アルミ並みの軽さで鋳鉄以上の剛性を有します。このため軽量で高剛性を必要とする(たわみや変形が少ない)、あるいは高速で移動・停止を必要とする(慣性が小さい)チップマウンタや高速プレスなどの精密機械や検査機器部品、液晶や半導体製造装置分野の各種部品に使われているのですが、日本でこのMMCの鋳物を生産しているのは田島軽金属だけなのです。MMCはアルミ溶湯に微小なセラミックスの粉末を混ぜて鋳造するのですが、セラミックスの粉末をアルミ溶湯の内部で均等に分布させるための攪拌技術にノウハウがあるとのことでした。

 
 工場も見学させていただきました。アルミは鉄よりもはるかに引け性が強いため、鉄鋳物とは工程が一部異なるとのことですが、素人の私には鉄鋳物の工場とあまり変わりないように感じました。

 このほか田島軽金属は、従来鋳物に比べて内部品質を大幅に向上させた「ポアレスキャスト(PLC)」、押湯効果を飛躍的に向上させる高周波押湯加熱システム、三菱重工業と共同開発した電動式鋳型反転機など、多くの独自技術を有しています。同社は従業員60人という小さな会社ですが、日本のハイテク産業を支えるすごい会社です。同社のような優れた素形材メーカーはこれからも日本は大切していくべきでしょう。