歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

巨大なインパネ用金型

2007-01-18 23:15:51 | ものづくり・素形材
昨日は愛知県の熱処理メーカーと金型メーカーを訪問しました。写真は金型メーカーで見せてもらった自動車のインパネ用のプラスチック射出成形金型です。でかいです。金型重量はだいたい20トン以上で、大きいものは40トンにもなるそうです。
でかいうえに精密度は高く、機構も複雑です。同じプラスチック射出成形金型でも、以前にこのブログでも触れたインクスの携帯電話用金型とはまるで別物です。この金型メーカーの方に言わせると、インクスの金型は「オモチャのようなもの」なのだそうです。
ITを駆使することによって金型づくりの工程を飛躍的に早めたインクスの登場は、産業界に対するインパクトが大きく、同社はマスコミにも大きく取り上げられました。このため今まで日陰の存在だった金型というものを世の中に知らしめたという意味ではインクスの功績は大きい、しかし金型というものはITによって自動で簡単に作れるもの、という誤ったイメージを世の中に定着させてしまったという点では、インクスは困ったものだ、と、この金型メーカーの方は言います。
インパネ用金型がインクスのように自動生産できないのは、単に携帯電話とのサイズの違いだけが要因ではないはずです。一方は部品が標準化された「モジュラーモデル」、他方は様々な要素を摺り合わせながら統合させていく「摺り合わせモデル」という、藤本隆宏氏の言うアーキテクチャの問題こそ、インパネ用金型の自動生産を阻む根本的な要因でしょう。
一言で金型といっても成形するものによって様々ですし、同じプラスチック射出成形金型でも様々です。改めて金型の多様性を感じます。