歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

熱処理メーカーを訪問しました

2007-01-11 23:33:40 | ものづくり・素形材
埼玉県川越市の熱処理メーカー、オリエンタルエンヂニアリング株式会社を訪問してきました。同社はわが国の熱処理業界でも数少ない、熱処理設備メーカーであるとともに外部からの熱処理加工を請け負う企業です。
同社でうかがったお話で最も興味深かったのが、P-CVD(Plasma-Chemical Vapor Deposition)という表面処理技術です。一昨日のヤマナカゴーキンに関する投稿で、書き忘れていたのですが、際立った堅牢性と精密性が求められる冷間鍛造用金型は、金型の寿命を延ばすために特殊な表面処理が施されています。具体的には窒化チタン(TiN)などのコーティングを施すのですが、この特殊な表面処理を実現しているのが同社のP-CVDの技術だということを知りました。
金属の表面処理・改質技術としては、化学蒸着(CVD)法、物理蒸着(PVD)法もありますが、このP-CVDは、これらの方法よりもはるかに深い拡散硬化処理と多層コーティングが可能であるほか、低温処理であるため金型の精度や材料特性を損なうことなく寿命を向上させる、というメリットがあります。オリエンタルエンヂニアリングは、このP-CVDによる量産を1986年に世界で始めて実現したメーカーですが、現在でもこの処理ができるのは世界でも同社だけです。このため、堅牢性と精密性が求められる金型の表面処理加工を、同社はほとんど独占的に受注しているとのことでした。
P-CVDによって表面処理されるものとしては、自動車部品向けの冷間鍛造用金型だけでなく、たとえばCDやハードディスクを成形するための金型も挙げられます。日本の産業を、同社のような人々にあまり知られていない中小企業の優れた技術が支えている、ということを改めて実感しました。
オリエンタルエンヂニアリング様、ありがとうございました。