クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

“元恋人”から見る「NANA」は? ―「NANA2」―

2006年12月09日 | 恋部屋
映画「NANA2」が公開されました。
前作の続編である今回は、ハチの妊娠の発覚、
ナナとレンの関係の発覚など、
スキャンダルな要素がてんこ盛りなのだとか……。
素朴な疑問として、
なぜ「NANAⅡ」ではないのだろうと思っていましたが、
文字にしてみると英語繋がりでちょっと変ですね。

さて、12月6日に放送されたアニメ「NANA」では、
ハチとナナの関係を象徴するように、砕けるイチゴグラスと、
タクミの結婚を知って動揺するレイラ、
そしてレイラとヤスとの再会が描かれていました。
(原作『NANA9巻』(矢沢あい著/集英社刊)第29話)
“レイラ”と“ヤス”が元恋人同士だったことはすでに明かされていましたが、
実際に2人が作中で再会するのは初めてでした。
タクミの結婚を知って動揺するレイラは、
シンではなく元恋人のヤスに助けを求めたわけです。
不安定な状況の中で再会した2人は、このとき何の言葉も発していません。
ドアの前で泣いているレイラを、ヤスはそっと部屋に入れます。

このシーンを見たとき、『NANA』は“元恋人”が蠢く物語なのではないかと、
ふと思いました。
「元恋人」をキーワードに見てみると、次の人物が挙げられます。
“ヤス”はレイラの元彼、
“浅野さん”“章司”“ノブ”はハチの元彼、
“佐々木千帆”はノブの元彼女、
スッチーの“凌子さん”はシンの元彼女(?)、
“詩音”はヤスの元彼女(?)、
“レイラ”はシンの元彼女(?)、
立場を逆にすればそれぞれが元彼・元彼女になるわけです。
現在情報公開されている中で、やはり元恋人がダントツ多いのはハチ。
個人的に嫌いなタイプなのに、なぜ好かれるのだろうと首を傾げてしまいます。
彼らはいずれもさっぱりしていて、
別れた恋人を追いかけるようなストーカー行為は働いていません。
ただ、何らかの形で相手と過ごした時間が胸に残り、
お互いが影響をし合いながら新しい恋人を迎えています。

恋を嵐と例えるように、元恋人はひとつの季節のようなもの。
当たり前のようにそばにいた人が、ひとたび季節が過ぎ去ってしまえば、
2度と同じ時間を共有することはできません。
別れてからも何らかの形でつき合う人もいますが、
以前の形には戻れないことは確かです。
失って初めて気付く相手の存在の大きさはよくあること。
一般的に男の方が前の恋を引きずると言われています。
しかし、『NANA』においてはその傾向は希薄で、
ヤスもノブもどちらかと言えば前向きです。
元恋人を過ぎ去った季節として受け止め、それぞれが新しい恋へと進んでいます。
ただ、ときどき失った恋に胸が痛むのか、ノブのように別れた恋人の誕生日に、
ひっそり「Happy Birtheay」をギターで奏でています。
ちなみに、銀色夏生は『GOGOHeavenの勇気』(角川文庫)の中でこう書いています。

 「フラれると、その女を好きになるんだ。今つきあっている女よりも、
 一コ前にフラれた女の方が忘れられないんだよね」
 「じゃあ、フラれた時に、恋が始まるんだね」
 「ああ」
 「じゃあ、永遠にハッピーエンドになんないんだね」
 「妥協すれば、ハッピーエンドだよ」

えてして男とは不器用な生き物のようです。
『NANA』は、語り部が過去を回想するという構成をとっています。
失われた恋もあれば、新しい恋もある。
決してそれがどんなに楽しい季節でも、
その場に留まることはできず変わり続けなければならない……。
そんな寂しさと希望があることを、
『NANA』の“元恋人”たちは伝えているようです。

※画像は“ヤス”と“レイラ”です。

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