クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

クニのウラ部屋雑記(21)

2008年08月11日 | ウラ部屋
8月9日(土)に夏期講習の第1週が終わり、
月曜日からまた新しいクラスで第2週が始まります。
いつもそうなのだけど、
最終日というのはちょっと寂しい。

同じ顔ぶれで集まることはもうないし、
2度と会わない人もいるかもしれない……。
土曜日の最終日を迎えて関西へ戻る人もいます。
短い期間だから親しくなる前に別れてしまうのだけど、
教室を出るときは後ろ髪を引かれる思いがします。

帰りに20歳の男の子と歩きました。
イケメンというよりかわいい感じの人で、
教員を目指していると言います。
その男の子はほかの夏期講習は受けず、
お盆には実家の京都へ帰るそうです。
学部が同じだからまた会う機会はあるだろうけれど、
もしかすると最後かもしれません。
駅前で「それじゃあまた」と言って、彼は笑顔で去っていきました。

神田の古本街へ足を運びます。
土曜日の古本街はどこか落ち着いて、
宵時のせいか人通りもあまり多くありません。
五萬堂書店、一誠堂書店、小宮山書店、田村書店、
慶文堂書店、大家書店、古書モールを巡ったあと、
新刊書店の三省堂へ行きます。

知の世界はいつも賑やかです。
心のテンションが低いときは、
まるでお祭りのように見えます。
本はペダンチックなほど好きです。
特に小説は、書き手が蘊蓄を言うくらい文章に勉強している跡がないと、
どうも物足りなくて買う気になれません。
三省堂の人文書コーナーはわりと専門書が揃っていて、
中世日本史と民俗宗教に関する本を手に取っていきました。

近くにはショートカットの女の人が、
とても真剣な顔をして本を読んでいました。
その近くの書棚を見るのも気がはばかれるくらい黙々と読んでいて、
書店で見掛けるそんな本の匂いのする女性は、
素敵でときに格好よく見えます。
途中、リュックを背負った白髪のおじいさんもやってきて、
しゃがんで書棚の下段を見ていました。

ふと亡き冨田先生が思い浮かびます。
先生も神田の古本街には足繁く通ったそうです。
一緒にここまで来たことはありませんでしたが、
「神田で買った珍しい本がありますから今度来て下さい」
と、先生はよく御自宅に誘ってくれました。

書棚に『中世東国の世界3 戦国大名北条氏』(高志書院)という本があって、
何気なく手に取ります。
その中に、わずかながら羽生城に関する記述がありました。
羽生城は天正2年(1574)に自落した城。
同18年に徳川氏の重臣(大久保忠隣)が配置されたことから、
重要な城であったことが窺える、とそんな内容でした。

しかし最後に、「考古学的には全くわかっていない」の一文。
周囲の忍城、騎西城、花崎城とは異なり、
羽生城の本格的な発掘調査はされておらず、
どんな城であったのか考古的には謎に包まれています。
また少し寂しい気持ちに包まれます。

本を元に戻すと三省堂をあとにしました。
最終日の寂しさは、ひとり残された放課後の教室のようです。

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