――明日じゃ。明日、霧が出る。
そう情報をもたらしたのは、“おふく”という老婆。
大河ドラマ「風林火山」に登場したこのおふく(緑魔子)は、
ひときわ面妖な雰囲気を漂わせていました。
永禄4年(1561)8月、川中島に対陣する“武田信玄”(市川亀治郎)と“上杉政虎”(Gackt)。
前3回とは異なり互いに退路を遮断し合い、
一触即発の雰囲気に包まれます。
そんな状況の中、“山本勘助”(内野聖陽)はおふくに出会い、
霧の発生日時の情報を得るのでした。
そして、俗に言う「キツツキ戦法」の策に打って出ます。
一方、妻女山に布陣し、武田の動きを窺っていた上杉軍も、
霧発生の情報を得ます。
やはり、おふくによって……。
妙な存在感を放つおふく。
ドラマの中で“原虎胤”を助けたように、
落ち武者の命を救い、その報酬で生計を立てていたようです。
ところで、このおふくは専門の医師には見えません。
にわかじこみの臨時医師でしょう。
弓や鉄砲、刃物での負傷が多かったこの時代、
独特の治療法が施されていたようです。
以前、山本勘助が鉄砲傷で倒れたとき、
馬糞を溶かした水を飲ませられていました。
当時はそれが常識だったらしく、
『雑兵物語』には次の記述が見えます。
葦毛馬の糞を水に溶かして飲めば、腹の中に流れた血が下がって、傷も早く治るぞ。
葦毛馬の血を飲んでも、腹中の血が下がるという。
だが、馬の血を自由に取るわけにはいくめえ。
糞を食ったほうがましだ。
では、刀傷を受けたときはどうするか?
かがんだり、横になってはいけないと同書は書きます。
大声を出したり、笑ったり、腹を立てたりしてもいけないと……。
眠るのが1番悪く、もし眠ったらこよりで鼻のてっぺんを撫でるのだそうです。
そして、傷がうずくようなら自分の小便を飲めと言います。
銅の陣笠でも置いて小便をため、それを冷やしておいて、あとであっためて、
うずくところを洗えば、痛みがやわらぐもんだ。
おふくが施した治療はどのようなものだったのでしょう。
何にせよ、原虎胤は彼女によって命を救われました。
ゆえに、勘助はその礼として甲斐の金山で取れたであろう金を渡します。
一方、治療はしませんでしたが、
おふくが上杉方から受けた褒美はやはり金でした。
軍師的存在の“宇佐美定満”(緒形拳)の手から渡っています。
軍師にとって、情報は喉から手が出るほど欲しかったのでしょう。
報酬に糸目は付けません。
実は、この宇佐美が手渡した“金”は、
甲斐と同様に豊富な金山を持っていることを仄めかしています。
すなわち、両雄の経済力は互角。
換言すれば、互いの軍事力は同じということです。
その両者が、川中島にて真っ正面からぶつかり合います。
そして、当然のごとく両軍とも大きな犠牲を出してしまうのでした。
そう情報をもたらしたのは、“おふく”という老婆。
大河ドラマ「風林火山」に登場したこのおふく(緑魔子)は、
ひときわ面妖な雰囲気を漂わせていました。
永禄4年(1561)8月、川中島に対陣する“武田信玄”(市川亀治郎)と“上杉政虎”(Gackt)。
前3回とは異なり互いに退路を遮断し合い、
一触即発の雰囲気に包まれます。
そんな状況の中、“山本勘助”(内野聖陽)はおふくに出会い、
霧の発生日時の情報を得るのでした。
そして、俗に言う「キツツキ戦法」の策に打って出ます。
一方、妻女山に布陣し、武田の動きを窺っていた上杉軍も、
霧発生の情報を得ます。
やはり、おふくによって……。
妙な存在感を放つおふく。
ドラマの中で“原虎胤”を助けたように、
落ち武者の命を救い、その報酬で生計を立てていたようです。
ところで、このおふくは専門の医師には見えません。
にわかじこみの臨時医師でしょう。
弓や鉄砲、刃物での負傷が多かったこの時代、
独特の治療法が施されていたようです。
以前、山本勘助が鉄砲傷で倒れたとき、
馬糞を溶かした水を飲ませられていました。
当時はそれが常識だったらしく、
『雑兵物語』には次の記述が見えます。
葦毛馬の糞を水に溶かして飲めば、腹の中に流れた血が下がって、傷も早く治るぞ。
葦毛馬の血を飲んでも、腹中の血が下がるという。
だが、馬の血を自由に取るわけにはいくめえ。
糞を食ったほうがましだ。
では、刀傷を受けたときはどうするか?
かがんだり、横になってはいけないと同書は書きます。
大声を出したり、笑ったり、腹を立てたりしてもいけないと……。
眠るのが1番悪く、もし眠ったらこよりで鼻のてっぺんを撫でるのだそうです。
そして、傷がうずくようなら自分の小便を飲めと言います。
銅の陣笠でも置いて小便をため、それを冷やしておいて、あとであっためて、
うずくところを洗えば、痛みがやわらぐもんだ。
おふくが施した治療はどのようなものだったのでしょう。
何にせよ、原虎胤は彼女によって命を救われました。
ゆえに、勘助はその礼として甲斐の金山で取れたであろう金を渡します。
一方、治療はしませんでしたが、
おふくが上杉方から受けた褒美はやはり金でした。
軍師的存在の“宇佐美定満”(緒形拳)の手から渡っています。
軍師にとって、情報は喉から手が出るほど欲しかったのでしょう。
報酬に糸目は付けません。
実は、この宇佐美が手渡した“金”は、
甲斐と同様に豊富な金山を持っていることを仄めかしています。
すなわち、両雄の経済力は互角。
換言すれば、互いの軍事力は同じということです。
その両者が、川中島にて真っ正面からぶつかり合います。
そして、当然のごとく両軍とも大きな犠牲を出してしまうのでした。
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