クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

幼な子を“水塚”に連れて行くと? ―おおとね図書館―

2017年04月23日 | 子どもの部屋
大利根図書館は名称がいささか長い。
「加須市立童謡のふる里 おおとね図書館(ノイエ)」という。

敷地内には多くの木が立ち、とても心落ち着く場所だ。
図書館の建つ敷地は、平成9年に地元の豪家小林氏から寄贈を受けたものだという。
「開琴亭公園」とも呼ばれ、明治13年建立の古民家があったと石碑に刻まれている。

そのためだろうか。
この図書館の外観は一見「図書館」らしくない。
建物のモチーフが古民家であるため、
何らかの公共施設とはわかっても、
「図書館」とは思わないかもしれない。

だからいい。
夏になれば敷地内の水路に水が流れ、周囲の樹木は青々と茂る。
雨の日に訪ねるのもいい。
雨音が一層静けさを増す。

図書館裏には“水塚”がある。
これは小林家時代から存在するものだろう。

水塚は大水対策の一つで、
洪水に見舞われたときの避難場所だ。
塚の上には蔵があり、食糧や船が常備されていた。
図書館内の水塚には蔵は残されていないものの、
塚は歴然と残っている。

息子を連れていったら、勢いよく水塚を登っていた。
子どもの足でも登ることが可能な高さだ。
塚の上には桜の木が植えられており、
春になれば満開の花に彩られる。

昭和22年のカスリーン台風では、大利根の土手が決壊した。
甚大な被害を及ぼした台風として記憶に新しい。
図書館内の水塚もそのときの水を被っただろう。
物言わぬ土山だが、大水との戦いの歴史を静かに語っている。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 羽生の“クラフトビアフェステ... | トップ | あの菜の花は“ど根性”か? ―... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

子どもの部屋」カテゴリの最新記事