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仲良し夫婦の日記です。

読書日記 ~35~ 有田からの歌

2016-10-01 22:52:24 | 読書

あるご縁を頂いて、3冊の歌集を知りました。

作者は 「笹井 宏之さん」  

2009年に 26歳の若さで亡くなられた 夭折の歌人です。

佐賀県有田に生まれ、10年以上心身の病と闘いながら、歌を作り続けておられました。

彼の、命から発せられる言葉は 胸に響き、涙となり、ときに私を打ち、

心の澱を洗い流してくれました。

3冊の歌集から、数首ご紹介します。

 

『 ひとさらい 』

* からっぽのうつわ みちているうつわ それから、その途中のうつわ

* 真水から引き上げる手がしっかりと私を掴みまた離すのだ

* ひろげたら羽根がいちまい落ちてきてそれから軽くなったつまさき

 

『 てんとろり 』

* 生きてゆく 返しきれないたくさんの恩を鞄につめて きちんと

* 風。そしてあなたがねむる数万の夜へわたしはシーツをかける

* 手袋のなかが悲しき思ひ出に満たされてゐて装着できぬ

 

『 八月のフルート奏者 』

* ひろゆき、と平仮名めきて呼ぶときの祖母の瞳のいつくしき黒

* 三回忌独りに慣れたと言う祖父の遠くを見やる話の切れ間

* 君が差すオレンジ色の傘を伝うたった一粒の雨になりたし

* 八月のフルート奏者きらきらと独り真昼の野を歩みをり

 

 

ご紹介したい歌はもっともっとあります。。。

笹井さんの、病との葛藤や、生の表現、恋する切なさ、家族への温かい眼。

一つ一つのことばが、本当に胸を打ちます。

この思いをうまく表わす言葉が見つからないのは

私の乏しいボキャブラリーのせい。

笹井さん、ごめんなさい。

 

↓ 笹井さんの ブログ です。(今はお父様・筒井さんが続けておられます)

FC2ブログ 【些細】  で検索して見てください。

 

 

コメント (2)
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