くまえもんのネタ帳2

放置してたのをこちらに引っ越ししてみました。

庭は立ったまま眠っている

2009-02-26 22:15:00 | ノンジャンル


Vertical Gardenっての、ごぞんじかしらん?
垂直の庭。
壁面緑化を美しくオシャレにやるってなコンセプトですね。
だいぶ昔に、掲示板の方でも何度か取りあげてましたが、ここらでチョコッとまとめても良いかななんて思ったりして。

The Vertical Garden: From Nature to the Cityなんて素敵な本も、円高のおかげで冗談みたいな値段で買えますよ。
って、別に本の宣伝で儲けようってな訳じゃないんですけどね。
この本も、壁面緑化の話しに入る前に周到な生態系やら群落の話を展開していて、とっても好感が持てる本なのでね。


愛知万博の時に、このVertical Gardenコーナーっていうか壁面緑化の一区画が話題になったことがあったんですが、綺麗に仕上がってる物はいずれも多種類の組み合わせて、当然の帰結だよねってな話しでしたね。浜松花博のはしょぼかったしなぁ。

つい先日、金沢に行く機会があって、せっかくだから金沢21世紀美術館にも行ってこようと思ったんです。
えぇ、そこにはなぜかPatrick Blancって人が造ったブランの緑の壁ってのが有るというのでね。

「ブランの緑の壁」の画像が開いたら、カーソルをそこに置いてドラッグする感じで動かしてみてください。
360°見渡せるけど、船酔いしないでね。




なんでまた壁面緑化のサンプルが、美術館に?
と、まぁそんな素朴なギモンでのこのこ出掛けてきたのでした。
もちろん、その緑の壁、金沢の野生植物で作られてるってあたりにも興味を惹かれたわけで。
美的観点から言ったら、やっぱり冬場にどう見えるかが一番の関心じゃないですか。

イジワル?

いえいえ、プロのガーデナーの見せ所と言ったら、やっぱり真夏と真冬ははずせないでしょう?
A(^_^;




で、なんで見本が?
って言ってるのもね、彼の本を見るとそれはもうステキな壁面の庭が紹介されていてね、金沢美術館のは端切れみたいな物だったりしたからなんですよ。

とはいうものの、美術館に壁面緑化作品が展示される(アートってこと?)のは、快哉と言わずばなりません。




アーバン・ガーデン・ウォッチングというブログから借用

せっかくだからそこの記事から少し引用。
~~~~~~~~~~~
新名所のコンテンポラリーアートの展示やコンサート、講演の場であるカイシャ・フォーラムCaixa Forum Madridに行ってみました。アトーチャ駅、プラド美術間から10分程度歩く距離で、規模はそれほどでもありません。しかし、そのエレベーション、そして緑の壁には、だれもがしばし足を止めてため息をつくと思います。
設計はスイス人建築家のヘルツォーク&ド・ムーロン。あの北京オリンピック、メインスタジアムの通称鳥かごやバイエルンミュンヘンのアリアンツ・スタジアムの設計者です。
そしてその広場の壁には、またまたパトリック・ブラン登場です。パトリック・ブランは、このブログでも何回も紹介しているフランスの植物学者で、パリのケ・ブランリー博物館の緑の壁で知られています。
~~~~~~~~~~~

ね?
こんなステキなタペストリーを見ちゃうと、「ブランの緑の壁」は小見本というか端切れ程度に感じちゃうでしょ?


でもねぇ、わざわざスペインまで行くのはねぇ...って思って検索してたら、有るじゃないですか。
しかもまたまた大阪に!!!




良いなぁ、大阪。
梅田に行けばこんなのが見られる!
難波の屋上緑化も凄く垢抜けてて羨ましかったけど、壁面緑化でもまたまた東京は遅れをとってしまったねぇ。
って思ったら、なんだ早とちりでした。

てっきり、梅田の赤いクジラの脇に出来たんだと思っちゃったよ。
そんでもって、アメリカ村のノリでまたまたメルボルンセントラルなんて名前着けちゃってさぁ~て思ってました。


写真は「待ち合わせは垂直ガーデンで。」ってな記事から借用。
しかもこの記事書いた人、講演も聴いたというのだ。
あ~~~いいなぁ~!
羨ましいんで、ちょっと抜粋。

~~~~~~~~~~~
サイエンティストの彼も「自然界における多様性」について、かなり強調していたので、パーマカルチャーとも類似点がいくつかあるのに気がついた。「自然を見ること」「自然が教えてくれること」に注目していたら、いつの間にかこの垂直ガーデンのアイデアが沸いてきた・・・みたいなことを強いフランスアクセントの英語で話していた。

平面に草花を置くという当たり前のことを、発想を変えて垂直にやってみたら、あっつー間に人気が出たらしい。しかし自然界においては岩場等に植物が生えるのは当たり前のことで、ほとんどの植物が90度に縦に生えることができるらしいのだ。

しかも「何種類もの植物が共存しあって、初めてバイオダイバーシティーが完成する。」まさしく、パーマカルチャーと同じ!とてもワクワクした。

スライドもいくつか見せてくれて、息を呑むほど美しいものばかりで、中には10年経った庭もあって、ビル壁一面がジャングル化していた。
~~~~~~~~~~~
Patrick Blancさん、話も合いそうな感じ。


森ビルさんが本気出し始めたみたいではあるけれど。



さて、話しを「ブランの緑の壁」に戻しましょうか。
地元の野生種だけでは、余りにも地味すぎる仕上がりになっちゃうはずで、きっと園芸植物も使ってるんだろうなぁって思って見に行ったんですが、やっぱりそうでしたね。



全体を見渡してもわかるように、カラーリーフや斑入り品種なんかを結構使っています。

フモトシダ、イノデ、ヒトツバ、ヤブソテツ、イワガネソウ、イノモトソウ、マツザカシダなんていう常緑性のシダのあいだからヤブコウジやサンショウソウ(ひょっとするとベビーティアーズ)、ユキノシタ、ツワブキ、ヤツデなんかも顔を出している。
細長い葉っぱはナキリスゲやヤブラン、ジャノヒゲ、オオバジャノヒゲなんか。

使われている地元の野生種は、[PDF] 金沢市植物調査報告書なんかを参考にするとイイですね。




園芸植物は、ロニセラ・ニティダ、アカンサス、斑入りグミ、ユーホルビア・マーティニー、ヒペリカムなどなど。紅葉してるトキワイカリソウは、栽培品だろうねぇ。
他に落葉性の花木類も何種類か合ったけど、ちょっと近づけないので良くわかりませんでしたねぇ。
まぁ、枯れ枝の感じでは、ウツギとかヤマアジサイなどなどってな所でしょうかね。
もうすこし実のなる木なんかも入れればいいのにとか思ったり。




さて、足下はと言うと意外に華奢な造りです。
厚さ15cmぐらいかな。
自動灌水でしみ出た水はそのまま床を流れていく。




植物を支えるメカも意外とシンプルで、フェルトっぽい不織布の切れこみにはさんでいるだけ。
培養土らしい物は、ポケットに突っ込まれた根元あたりに一握りぐらい。
もともとが岩場なんかにへばりついてる植物たちを使ってるんで、これで十分なんですね。

とは言え、こんな風にまとまって枯れてしまって、地肌がむき出しの所もある。
宿根草で地上部が枯れたのを刈り込んだってな所ばかりではない。
根こそぎ無くなってるのもある。
根っこが伸びて固定される前に風であおられて抜けたか、あるいは条件に合わなくて枯れたか、その辺は定かではないけれど、もうちょっとメンテしても良いような気もしますね。

今は立ったまま眠っている冬の庭ですが、やがて春になれば壁の花で賑わうのでしょう。
A(^_^;