山上憶良ではなくて、どちらかというとビートルズの"Fool On The Hill"の気分。
子どもの頃、ビートルズなんて大嫌いだった。
大人になって、ピアノで演奏してるのを聞いて、やっと良いメロディーだと思い、歌詞を見たらもっと好きになった。
Day after day alone on the hill
The man with a foolish grin is keeping perfectly still
But nobody wants to know him
They can see that he's just a fool
And he never gives an answer
But the fool on the hill
Sees the sun going down
And the eyes in his head
See the world spinning round
...............
ひがな一日 ひとりで丘にいるあの男
呆けた笑みをして すわったきり
見てのとおりのただのバカ者と
誰もそばに寄らないし
反答も しやしない
だけど丘の上のあのバカは
日が沈むのをじっと見つめて
世界が糸車のように回るのを眺めている
...............
と、まぁ、そんな歌を口ずさみながら、いわゆる一つのヒルズ族気取りで、表参道を散歩してきたのだよ。
そしてやっと、これまでなんども目の前を素通りして気がつかなかったビルを見つけた。
そしてやっと気がついた。
どうしてまた、こんなでっかい建造物を見落としていたのかを。
建物の構造自体が、まわりのケヤキの枝の張り方と同じロジックで生み出されているものだから、全く違和感なく周囲の風景にとけ込んでいて、それが一種の隠蔽効果を発揮していたのだと。
But the fool on the hill
Sees the sun going down
And the eyes in his head
See the world spinning round ???
そしてまた、同時に気がついた。
僕は、何にも見ていなかったんだと。
僕もまた、どこにでもいる不注意な人間なのだとね。
先日、伊東豊雄って言う建築家の展覧会を見に行ってきて、なんてステキな物を作れる時代になったんだろうって感心したんだけれど、このビルが表参道にあっただなんて、全く気がつかなかったという迂闊さ加減に、我ながらうんざりする。
A(^_^;
「けんちく世界をめぐる10の冒険」って言う本によると、この壁面は、ケヤキの幹の形を借りて設計されてるんだそうな。
何本かのケヤキの幹のシルエットをずらして重ねることで作られた、交錯する線。
重力とのバランスをとりながら生長していくケヤキの枝の形は、そのまま建物を支える形として優れた機能を発揮すると言うこと。
なんてエレガントな発想。
But the fool on the hill
Sees the sun going down
And the eyes in his head
See the world spinning round
...............
そんなバカで居たいものだね。