くまえもんのネタ帳2

放置してたのをこちらに引っ越ししてみました。

熱視線

2006-07-24 21:10:30 | ノンジャンル


なんで夏になると怪談が取り上げられるんでしょうかねぇ?
全身鳥肌が立って、冷や汗ぐっしょりになるような体験を実際にしたからといって、ホントの所はちっとも涼しくなんかなりゃしないのにさ。

甥っ子が帰国してきてたんで、どこに行きたい?なんて話しになったんだけど、靖国神社はやめようよってな話しになったんだよね。
甥っ子は、かなり本気で行ってみたかったみたいなんだけど、僕の苦手スポットの中ではかな~りランクが上に位置づけられる場所なんで、パスさせてもらったのだ。

なんで苦手なのかって言うとね、こんな体験をしたことがあるのだ。
その昔、知り合いがお茶会を開くというのでお呼ばれして、のこのこ出かけて行ったときのことなんだけど。
あの大鳥居をくぐってすぐ、右側のどこかから誰かがじ~っと見ているような感じとでも言えば良いのかな、いや、もっと執拗な凝視されているような感じがしたんだよ。
その時の感じというのは、何とも言い表しにくいんだけど、ものすごく変わった未知の感覚だったんだ。
気分的には、ダムの上から身を乗り出して遙か下の方をのぞき込んでいるような、恐怖まであとほんの半歩って感じの緊迫感とでも言えばいいのかな。
巨大な目で執拗に狙われている感じ。

それまで僕が行ったことのある神社では、気持ちが安らぐか何も感じないかのどっちかだったんで、その異様さにたじろいだのだった。
だけど、もうすぐお茶会が始まってしまう。
友達といっしょだったんで、何か感じるか聞いてみたけど、何にも感じないって言われて、ものすごく気になったけど、とにかくそこを立ち去ったのだった。

お茶会が終わって帰るとき、やっぱりそのあたりに来ると異様な感覚に襲われた。

こんどは鳥居から外に向かって左側から。
つまり、さっきと同じ方角から、その執拗な視線のような気配を感じる。
で、よせばいいのに僕はその妙な感覚の源を確かめようと思ったのだ。

<好奇心は猫を殺す>
 ..........。

鳥居の前を折れて、進んでいく。
向こうに何か立っていた。
近づいてみると、それは慰霊碑だった。
でも、そこからは何の気配もこなかった。
どこからだ?
と、そのさらに向こうに、何か低めの塀のような物があるのを見つけた。
気配は、どうやらそっちから来るようだ。
歩いていくと、高さ1mぐらいの波打つ塀のような構造物の下の方に、小さな丸窓のような穴があいている。
どうもそのあたりから、異様な視線のような気配が。

吸い寄せられるように、その窪みの所まで歩いていってギョッとして立ち止まった。
そこには石ころが据えられていた。
そこから、僕の眼球を突き抜けて後頭部にまで達するような何かが押し寄せてくる。
と、その石の下になにやら札がある。
顔を近づけてみると、「レイテ島」と書いてあった。
その横の石の下には「ガタルカナル島」、「サイパン島」と続いていく。

.......石に憑くって言うのは本当なんだ。
そんなことを考えながら、ゆっくりそこを立ち去った。