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ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

私人間効力

2012年10月13日 23時43分04秒 | 憲法
私人間に関する問題について、間接適用だから、とするのは危険です。


判例の三菱樹脂事件では、

憲法の人権規定は専ら国又は公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない。

私人間においては、原則私的自治に委ねられ、侵害の態様、程度が社会的に許容し得る限界を超えるときは、民法1条、90条や不法行為に関する諸規定等によって適切な調整を図ること。

と判断しています。



この、社会的に許容し得る限界を超えるときに、間接適用することを規範としているため、この一定の限界を超えるかどうかを判断する必要があります。


私人間の対象となっている一方の存在の意義や、侵害されている権利の態様、程度が考慮される必要があると思います。


例えば、スーパーの会員権と、ゴルフの会員権ではその私人間の一方の役割、存在意義が異なる場合もありそうです。

審査基準

2012年10月08日 02時25分01秒 | 憲法
憲法の審査基準論は複雑です。

基準に至るまでの過程は、権利を制約している程度、態様、権利の性質、程度等により決めるべきであり、ここには反対利益を入れてはいけないとするのが、正しいそうです。


制約される権利の内容とか、制約の度合いが強いなら、基準は厳格に、弱いならそれほど権利を厚くは保護しなくてよく、立法府を尊重すべきであるから、基準は緩やかにすべきである。

反対利益は当て嵌めの時に使用することを忘れてはいけません。

偽論文

2012年07月06日 07時30分56秒 | 憲法
大学の准教授がねつ造の論文を19年もの間提出していました。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0701&f=column_0701_058.shtml

これに対する処罰が軽いとしても誰も訴え提起ができないですね。


では、これを受けてこのようなことに対する処罰を重くするという法律ができたらどうなんでしょうか。

学問の自由は、不当なねつ造の自由も含むはずがありません。

しかし、拡大され、委縮効果が生まれるのも否定できません。

非常に大きな問題だと思いました。

財産権

2012年05月12日 17時56分47秒 | 憲法
憲法の問題で財産権が出た場合も枠組みを外さないことで対応できます。


危険な建物が除却命令により撤去された場合


法令違憲
国家賠償請求

権利の性質
いかなる権利が憲法上保障されているか。
自己の建物を除却されない権利は自己の所有権を侵害されないという財産権として29条1項により保障される。


制約
当該権利がどのように制約されているのか。
この権利が除却命令によって破壊され、所有権が消失し、制約されている。


制約は許されるか
形式的として文言上
実質的として権利の性質、制約態様から必要最小限度か。


適用違憲

除却命令がされるのに適していない。



除却が許されるとして損失補償請求
29条2項3項の問題

選挙制度

2012年04月30日 21時12分28秒 | 憲法
よく択一式試験で問題になる、選挙制度。


衆議院
定数480人
小選挙区300人
比例代表は全国を11ブロックに分け180人
拘束名簿方式


参議院
定数242人
半数改選で小選挙区73人、比例代表48人
小選挙区は各都道府県に1区置かれ、2~10人の定数(半数なので1人以上)
比例代表は全国区
非拘束名簿方式

正月は勉強のチャンス

2012年01月02日 16時30分30秒 | 憲法
年末年始は勉強するチャンスですので、正月もずーっとやっていますが、座っているのでお尻は痛くなるし、腰も痛くなるし、目も痛くなります。

体には長時間勉強することはかなり負担が掛かるんだなぁとしみじみ思いました。


今年は帰省も仕事もせず、引きこもり中です。


さて、原則、例外を書くときの注意点を自戒のためにも記述しておきます。


原則こうなるというのは、原則論から考えて記述すべきであって、問題文から記載されていない事情を勝手に付け加えて原則こうなるというのはよくありません。


問題文にキチンとあがっている場合は、原則を書きます。

例外を書くときは、不都合性を書きます。

その後、ここが重要なのですが、例外を認めるときには、例外を認める必要性と例外を認めても仕方がないという許容性を書かないといけません。

許容性をよく忘れます。

必要性だけならば、不都合性があるのですから当たり前ですが、許容性を書かないと、「法にないよ、無理じゃない?」と突っ込みが入るでしょう。

許容性は、
形式的な話と実質的な話を書くのがいいと思います。


形式的とは、条文には限定していない、条文は○○という意味も含む、とか。
実質的とは、これを認めても、○○条に反するわけではない、今回これを認めることは限定的であるし、相手方の侵害の程度が著しく大きいから、とか。

違憲審査基準

2012年01月02日 12時46分02秒 | 憲法
違憲審査基準の決め方


方法論は複数あるが、下記のような考え方で行うと、説得力が増すのではないだろうか。


例えば、
原告:表現の自由(もっと具体的に記述)→重要だから厳格に判断
しかし、
被告:それによってプライバシー権が侵害されている→もっと緩やかに判断
しかし、
原告:プライバシー権が侵害されているが、本件はそれほど大きな侵害とはいえない→やはり厳格に判断

という感じに揺り戻す。



しかし、新司の問題では、原告の主張が設問1であったりするから、揺り戻すのは、設問2で書くのだろうかなぁ。


憲法は難しいが、ある程度のパターンを確立しておくのは必要だと思います。

規制に対する違憲主張

2011年12月30日 23時19分46秒 | 憲法
規制が問題になるときは、一つの権利が問題になるのではなく、複合的に問題になることが多々あります。

そこで、当該規制が誰のどのような権利をどのような態様でどの程度制約しているのかを具体的、複合的に考える必要があります。

これが、当該規制の持つ仕組み解釈になるかと思います。

憲法の問題、行政法の問題はいずれもこの仕組み解釈が重要なのでしょう。


答案を書く際に気を付けたいと思います。


初めに、
当該規制は、○○の○○という権利を制約しているため、違憲ではないか。
としつつ、具体的に書き始める。
当該規制は、○条による…。

法令違憲

2011年12月30日 12時14分37秒 | 憲法
法令違憲のアプローチ

文面審査と目的手段審査がある。


文面審査は、検閲、事前抑制禁止、過度の広汎性、漠然性。

目的手段審査は、LRA、必要最小限度、合理的関連性


また、法令違憲には、
1.全体を違憲とする場合
2.特定の条文を違憲とする場合
3.当該適用されている条文を違憲とする場合
がある。


2.は特定の条文が当該事案に適用されているものでなければ、原告適格(違憲主張適格:スタンディング)が問題になる。

ただし、法令違憲については、第三者の権利侵害の主張は原告適格が問題になるが、法令自体が問題になっているのであるから、原告適格は問題にならないと考える。

裁判員情報漏えい事件

2011年12月29日 22時47分23秒 | 憲法
裁判員情報が漏えいする事件が発生しています。

加害者の人権は厚く保護するのだから、被害者及びその関係者の人権も厚く保護すべきでしょう。

加害者が弁護士の場合も厚く保護するのでしょうか?


懲戒処分の対象でしょう。
慰謝料も通常の個人情報よりも当然厚く支払うべきでしょう。

何をやってんだか。


セキュリティ意識が低いのが弁護士か、と言われないように、来年合格したらセキュリティ専門家としての意見を弁護士業界にも反映していきたいと思います。

大学の自治

2011年12月06日 08時40分32秒 | 憲法
大学の自治による部分社会の法理は、処分違憲だけでなく、法令違憲(規律違憲?)にも使えるのでしょうかね?


大学内部の規律自体を制定することは当然許されるし、これに従った処分も同様に許される。

しかし、制定された規律が被処分者にとっての権利を侵害する場合、規律自体を違憲主張し、その規律に基づく処分も違憲であるというのも成り立たないとはいえなさそうな気がします。

憲法

2011年12月05日 08時48分46秒 | 憲法
新司の憲法はほんと難しいです。


侵害されているとする権利は何か?
その権利はホントに侵害されているのか?
侵害されている権利はホントに憲法上保障されているのか?
侵害している主体は何か?
侵害している根拠は何か?

これを第一段階として気付かないとダメみたいですね。


また、新司の問題は裏の権利が重要みたいですね。
第3回は、ソフトウェアのアップロードという権利の侵害→表現の自由
第4回は、Cの知る権利→Cの自己情報コントロール権
第5回は、生存権→生きるか死ぬかの権利
選挙権→選挙権の行使自体が可能かの権利


深い。


これを考えると、旧司の最後の方も、理髪店の条件→新規参入規制
とかってのもありました。



抽象論を書きそうになり、空中戦をしそうになりますが、事案に即した違憲審査基準を立てる必要がホントにありますね。


目的手段審査で、目的で違憲ってのはまずないのですが、弁護人からの主張としては、まず目的違憲っていう主張もなりたちそうです。

逆に反論は、そもそも権利として保障されていないとか、侵害は無視できるほどに軽微とか、内在されているとか、色々出てきます。

平成23年度予備試験論文再現(憲法)

2011年11月14日 22時58分11秒 | 憲法
第1 設問1について
1 Bの弁護士は、不合格の処分取消訴訟(行政法3条2項)、合格処分の義務付け訴訟(同法3条6項1号、37条の3第1項2号)を併合提起し、これだけではBは入学して授業を受けられないため、入学処分の仮の義務付けを求める(同法37条の5第1項)申し立てをすべきである。
2 Bは、憲法上の主張として、本件入学制度は、憲法14条1項後段の性別による平等原則違反であることを主張すべきである。

第2 設問2について
1 対立点について
(1) 原告Bとしては、本件入学制度は、合理的なものとはいえず、14条1項に違反すると主張する。
(2) 被告A大学院は、14条1項は各人の差異に応じた合理的な理由のある区別であれば認められるのであり、本件は合理的な理由のある区別であるから14条1項に反しないと主張する。
(3) さらに、被告A大学院は、そもそも入学制度は、大学の自治(23条)の範囲内であり、司法審査の範囲外であるから、本件入学制度に対する司法審査は及ばないと主張する。
2 自身の見解について
(1) A大学院の主張する司法審査外について
  ア そもそも、本件A大学院が主張するように、入学制度は司法審査外であれば、司法審査ができないため、まず検討する。
  イ 憲法76条1項の司法権は、当事者の具体的な法律関係、権利義務の存否に関する紛争で、法の解釈適用により終局的に解決し得る、「法律上の争訟」(裁判所法3条1項)が対象であり、入学制度の選抜もこの法律上の争訟に含まれる。もっとも、内部的に自律権を有する団体等は、その団体の意思を尊重すべきであるから、司法審査権は及ばないが、一般市民法秩序を害する場合には、その者を救済する必要があるため、例外的に司法審査権が及ぶと考える。
  ウ 本件において、23条は「学問の自由」として、研究の自由等を保障し、これを実効的なものとするため、大学の自治も保障されていると考える。そして、誰を入学させるかの入学制度についても大学の自治の範囲として保障されているとも考えられる。
    しかし、国民は、大学での教育を受ける権利(26条1項)が保障され、さらに専門性を持つ大学院でも同様に教育を受ける権利が保障されていると考える。そして、入学制度に関してはこれにより教育を受ける権利を有する者が不利益を受けるため、一般市民法秩序を害するものと考えられ、大学の自治は及ばないと考えられる。
    よって、司法審査の対象となるべきであり、A大学院の主張は認められない。
(2)平等権違反について
  ア 本件入学制度は14条1項に反しないか。
  イ 14条1項は、絶対的に平等権を保障したものではなく、各人の差異に応じた合理的理由のある区別は許されている相対的平等と考える。そして、14条1項後段の列挙事由に関しては不合理なものと考えられるため、明文ある区別に関しては厳しく判断すべきである。
    そして、本件は女性という「性別」に関する区別であるから、厳格に判断すべきであり、本件制度が著しく合理性を欠くならば14条1項に違反すると考える。具体的には、制度の目的、意義、手段及び制約される権利の性質、意義、程度によって、合理性があるかどうかを判断すべきである。
  ウ 本件の目的について、女性の法曹人口が低いことから法曹養成の多様化を図るため、女性を多く入学させ、結果として法曹人口を増加させることは社会的意義も有するため、この目的は正当であり、重要である。
    この目的達成の手段については、入学制度において全体の90%については成績順で合格させ、残り10%について女性のみを対象として合格させている。
    確かにこれによって、女性の法曹人口の合格率はアップする可能性があるとも考えられる。
    しかし、これによって、181位以下の男子学生においては重要な権利である教育を受ける権利を制約される。入学制度が公表されていても、本件学生Bにとっては、専門性のあるA大学院に入学することを希望されており、他の大学院ではBの希望に適わないことから、BにとってはA大学院に入学すること自体が制約されているのである。
    また、A大学院は、女性が入学後、補修や補講、ゼミへの参加勧誘を積極的に行うことで、司法試験合格率をアップさせることができると考えられる。女性を入学させ、これによって母数が増加することにより合格率を上げることは余りにも間接的であるといえる。
    よって、目的達成手段は著しく不合理といえる。
  エ 以上から、本件入学制度は著しく不合理である制度といえ、14条1項に違反する。

以上

自己評価 C
評価 B


感想
訴訟選択は当事者訴訟のようなので間違った。しかし、記述した手段も完全な間違いとまではいえないだろうと思います。
しかし、裁量権の逸脱濫用(行訴法30条)な内容として違憲であるから、裁量権の逸脱・濫用というべきだったでしょう。
また、本当は設問1の憲法上の主張のところで、審査基準を立て違憲であるとのBの主張、設問2のところで、A大学院はそもそも司法審査権は及ばないということも書いて、Bが主張する平等原則違反には当たらない内容を審査基準、あてはめを詳細に書いて、最後に自身の見解をどちらかという風に示すべきだったのかもしれません。
しかし、予備校は、14条と女性優遇措置を厚く書くといっていたが、76条1項は必須だったと思うなぁ。
14条、76条1項、23条、26条1項を挙げているから、まだマシだったのでしょうけど。評価はあまりよくないでしょう。

結果を見たら、B判定。76条1項は不要だったみたいです。ただ、事実の評価はきちんとできたので、沈まなかったのかもしれません。

明確性

2011年11月06日 23時42分09秒 | 憲法
憲法上の権利の作法から。


明確性と広範性は別次元の概念である。


明確性
告知機能を果たさないという形式的、手続的問題

広範性
規制してはならない行為を規制対象に含むという実質的観点の問題

そうであるとしても、明確性を欠く立法は過度に広範な規制となりえる。

そして、合憲限定解釈により不明確さが除去されると規制対象が限定される。そうすると、形式的正当化と実質的正当化が一体的に行われる。


こうすると、
明確性→形式的
広範性→実質的
という図式化になる。


漠然性故に無効は明確性

過度の広範性故に無効は広範性

どちらも文面審査だが、使い分けをする実益は少しはあるかもしれない。