ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

平成23年度予備試験論文再現(憲法)

2011年11月14日 22時58分11秒 | 憲法
第1 設問1について
1 Bの弁護士は、不合格の処分取消訴訟(行政法3条2項)、合格処分の義務付け訴訟(同法3条6項1号、37条の3第1項2号)を併合提起し、これだけではBは入学して授業を受けられないため、入学処分の仮の義務付けを求める(同法37条の5第1項)申し立てをすべきである。
2 Bは、憲法上の主張として、本件入学制度は、憲法14条1項後段の性別による平等原則違反であることを主張すべきである。

第2 設問2について
1 対立点について
(1) 原告Bとしては、本件入学制度は、合理的なものとはいえず、14条1項に違反すると主張する。
(2) 被告A大学院は、14条1項は各人の差異に応じた合理的な理由のある区別であれば認められるのであり、本件は合理的な理由のある区別であるから14条1項に反しないと主張する。
(3) さらに、被告A大学院は、そもそも入学制度は、大学の自治(23条)の範囲内であり、司法審査の範囲外であるから、本件入学制度に対する司法審査は及ばないと主張する。
2 自身の見解について
(1) A大学院の主張する司法審査外について
  ア そもそも、本件A大学院が主張するように、入学制度は司法審査外であれば、司法審査ができないため、まず検討する。
  イ 憲法76条1項の司法権は、当事者の具体的な法律関係、権利義務の存否に関する紛争で、法の解釈適用により終局的に解決し得る、「法律上の争訟」(裁判所法3条1項)が対象であり、入学制度の選抜もこの法律上の争訟に含まれる。もっとも、内部的に自律権を有する団体等は、その団体の意思を尊重すべきであるから、司法審査権は及ばないが、一般市民法秩序を害する場合には、その者を救済する必要があるため、例外的に司法審査権が及ぶと考える。
  ウ 本件において、23条は「学問の自由」として、研究の自由等を保障し、これを実効的なものとするため、大学の自治も保障されていると考える。そして、誰を入学させるかの入学制度についても大学の自治の範囲として保障されているとも考えられる。
    しかし、国民は、大学での教育を受ける権利(26条1項)が保障され、さらに専門性を持つ大学院でも同様に教育を受ける権利が保障されていると考える。そして、入学制度に関してはこれにより教育を受ける権利を有する者が不利益を受けるため、一般市民法秩序を害するものと考えられ、大学の自治は及ばないと考えられる。
    よって、司法審査の対象となるべきであり、A大学院の主張は認められない。
(2)平等権違反について
  ア 本件入学制度は14条1項に反しないか。
  イ 14条1項は、絶対的に平等権を保障したものではなく、各人の差異に応じた合理的理由のある区別は許されている相対的平等と考える。そして、14条1項後段の列挙事由に関しては不合理なものと考えられるため、明文ある区別に関しては厳しく判断すべきである。
    そして、本件は女性という「性別」に関する区別であるから、厳格に判断すべきであり、本件制度が著しく合理性を欠くならば14条1項に違反すると考える。具体的には、制度の目的、意義、手段及び制約される権利の性質、意義、程度によって、合理性があるかどうかを判断すべきである。
  ウ 本件の目的について、女性の法曹人口が低いことから法曹養成の多様化を図るため、女性を多く入学させ、結果として法曹人口を増加させることは社会的意義も有するため、この目的は正当であり、重要である。
    この目的達成の手段については、入学制度において全体の90%については成績順で合格させ、残り10%について女性のみを対象として合格させている。
    確かにこれによって、女性の法曹人口の合格率はアップする可能性があるとも考えられる。
    しかし、これによって、181位以下の男子学生においては重要な権利である教育を受ける権利を制約される。入学制度が公表されていても、本件学生Bにとっては、専門性のあるA大学院に入学することを希望されており、他の大学院ではBの希望に適わないことから、BにとってはA大学院に入学すること自体が制約されているのである。
    また、A大学院は、女性が入学後、補修や補講、ゼミへの参加勧誘を積極的に行うことで、司法試験合格率をアップさせることができると考えられる。女性を入学させ、これによって母数が増加することにより合格率を上げることは余りにも間接的であるといえる。
    よって、目的達成手段は著しく不合理といえる。
  エ 以上から、本件入学制度は著しく不合理である制度といえ、14条1項に違反する。

以上

自己評価 C
評価 B


感想
訴訟選択は当事者訴訟のようなので間違った。しかし、記述した手段も完全な間違いとまではいえないだろうと思います。
しかし、裁量権の逸脱濫用(行訴法30条)な内容として違憲であるから、裁量権の逸脱・濫用というべきだったでしょう。
また、本当は設問1の憲法上の主張のところで、審査基準を立て違憲であるとのBの主張、設問2のところで、A大学院はそもそも司法審査権は及ばないということも書いて、Bが主張する平等原則違反には当たらない内容を審査基準、あてはめを詳細に書いて、最後に自身の見解をどちらかという風に示すべきだったのかもしれません。
しかし、予備校は、14条と女性優遇措置を厚く書くといっていたが、76条1項は必須だったと思うなぁ。
14条、76条1項、23条、26条1項を挙げているから、まだマシだったのでしょうけど。評価はあまりよくないでしょう。

結果を見たら、B判定。76条1項は不要だったみたいです。ただ、事実の評価はきちんとできたので、沈まなかったのかもしれません。

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1 コメント

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Unknown (natto)
2012-02-28 20:05:17
再現答案、ありがとうございます!
参考にさせて頂きます。
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