九品人の落書帖

写真をまじえ、身の回りで見聞きしたことを、つれづれなるままに!

いろはカルタ

2022年01月07日 | 書籍

 部屋に居るとき、ラジオは点けっ放しにしている。

 特に意識して聴いている訳でもないから、普段は音声の素通りである。

 だが、たまには耳に引っ掛かる話しに出会ったりすると付き合う。

 過日は、高見順のエッセー『いろはカルタ』の朗読が流れた。

 最近のお正月は、子供たちのカルタ遊びなど家族団らんの風景としては、

 あまり見かけないようでもあるから、つい聞き耳を立てた。

 高見順、曰く。

 カルタはポルトガル渡来であり、安土桃山時代に日本へ伝わった。

 日本には和歌の伝統もあったから、日本独自の故事や諺をカード化し、

 子供たちに文字を教え込ませるツールとしたり、人生訓としたりするなど、

 一つの文化として発展させたことは、ポルトガル人も賞賛するところだそうな。

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 いろは四十八文字を頭に、つなぐ言葉は、

 東京、大阪、京都と、それぞれ地域性が有ったり、無かったり、でもある。

 例えば、東京の「犬も歩けば棒に当たる」は、

 大阪は「一を聞いて十を知る」京都は「一寸先は闇」とか。

 一方で「花より団子」は、東京、大阪、京都いずれも同じである。

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 文豪・夏目漱石にも『いろはカルタ』にまつわる逸話が伝わる。

 夏目家でも、お正月は子供らが『カルタ遊び』を始めると、

 漱石先生も「どれどれ」と割り込んできた。

 漱石の好きな札は「屁をひって尻すぼめ」と「頭かくして尻かくさず」。

 この二枚の札を自分の前に置き、子供たちに取られないようにした、とか。

 あの文豪が「屁」や「尻」に、こだわった訳を想像すると、どこか可笑しい。

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 私も自分の子供の頃に覚えた『いろはカルタ』を反芻してみた。

 すっかり思い出せない文句も有るが、気に入るのを挙げるとすれば、

 東京の「頭かくして尻かくさず」より、大阪の「アホにつける薬はない」。

 東京の「論より証拠」より、大阪の「六十の三つ子」。

 何故か関西よりに軍配をあげたい。

コメント
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