九品人の落書帖

写真をまじえ、身の回りで見聞きしたことを、つれづれなるままに!

間違ったままも亦愉しい

2018年03月08日 | 書籍

 作家・向田邦子のエッセー集に「夜中の薔薇」や「眠る盃」がある。
 この中には、女史が子供の頃、間違ったまま覚えてしまい、
 長い間、そのまま信じ込んで唄っていた歌詞の話しが出てくる。
                    □
 シューベルトの曲、♪ わらべは見たり 野中のバラ~ ♪
 この「野中のバラ」を「夜中のバラ」と思って唄っていた。
 
 「眠る盃」は瀧廉太郎の‘荒城の月’から。
 ♪ ~略~ めぐる盃 影さして ~ ♪
 この「めぐる盃」が「眠る盃」になっていた。
                    □
 この種の話しは私も聞いて知っている。

 その一は「うさぎ美味しい」。
 童謡で ♪ うさぎ追いし かの山 こぶな釣りし かの川 ~ ♪
 「うさぎ追いし」が「うさぎ美味しい」だった。
 終戦直後は、めったに肉は食卓へ上がらなかった。
 たまたま、野うさぎでも捕らえてスキヤキにでもしたのかも。
  
 その二「恐い蟹」。
 浦島太郎の一節に ♪ ~略~ こは いかに ~ ♪
 つまり、浦島が竜宮城から何年か振りに故郷へ帰ってみれば、
 すっかり様子が変わって「此は如何に」の状況だった。
 子供の頃、遊びで蟹を捕まえ挟まれた恐い記憶から、
 「こはいかに」が「恐い蟹」となった。
                    □
 この種の話しは、拾えば沢山あるに違いない。
 
コメント
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