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胃がんになってから読んだ本『<いのち>とがん:患者となって考えたこと』(岩波新書、2019)

2019-04-11 22:09:44 | 健康
胃がんになってから読んだ本

『<いのち>とがん:患者となって考えたこと』(岩波新書、2019)
ISBN: 9784004317593

序の10ページあまりでかつての自分を思い出す。
医師の「[治せたら報告しますではなく]治して、報告してください」という言葉に、著者も涙が出そうになったと記すが、僕もそうだ…
(*) 強調は引用者による。

p.27, 序の最後で、あっさり!? 手術終了。
「手術はスタートラインです」との医師の言葉。まだ始まり。この先読み進めると、どんな話が出るのだろう。
著者は「まぎれもなく『人生の再スタートライン』に立たせる言葉と…」

p.41- 「五年生存率の数字の裏に、臨床試験に参加して五年生きられなかった…人たちがいることを初めて意識した」
「相当期間たっても誰かは生きていること、を祈って…グラフを見るようになった」
「その成果は今の患者である私たちを大きく助けて…」

p.41-「死亡という形で足跡を残す多くの患者が存在する冷厳な事実」

著者は、体重が55kgから38kgに落ちたと記述されていたと記憶する。
これ以外にも、時には劇的すぎる表現と思うこともあったが、「壮絶」と言いたくなるような経過も記されていた。

単に闘病記録というものでもなく、がん患者の心を支える施設のことや、p.124-125前後では、ドラマや映画が"がん"を「死の隠喩」として使うことを批判的に述べている。

遺伝子検査を受けて、「使える治療薬はいまのところありません」と医師から言われたり…

そして、突然、p.165 で、編集部による注釈……

最後の章では、転勤のあった自分になぞらえて、がんに罹るというのは、「異任地異動」であり、漢詩の「陽関の西」、つまりは「風景が一変する世界」。
p.194.「がんの国には、希望して来たわけではない。しかし、新たなことを教えてくれる人、助けてくれる人との出会いがあった」

そして、「あとがきにかえて」にかけて、著者の経験や、考えたことが語られる。

引き込まれるように読み進めながら、著者が存命なのか気になって、何度か著者紹介の記述や、編集部による注釈を見てみた。特に記載はなかった。

しかし、、、Amazonのレビューを見て、気付いた。
「あとがきにかえて」を記した同じ月に、亡くなられていたことを。

asahi.com の記事:

https://www.asahi.com/articles/ASM2L65QFM2LUTIL040.html


体力的にも相当しんどかったろうに、こんな長文を記されたとは…
まさに生きた証のような本だと感じられた。

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