ブログ 古代からの暗号

「万葉集」秋の七草に隠された日本のルーツを辿る

伏見稲荷神符10 絵解の暗号・神符2

2009-09-21 10:16:47 | 日本文化・文学・歴史
ずいぶん堅い話が続きましたがお付き合い下さり有難うございます。ようやく絵解
きに入ります。



一番上に御簾。現代でも神社の神殿には必ず御簾が掛けられている。神殿をあらわ
す小道具である。

二段目は真ん中に杯が置かれ、中に三つの宝珠が入っている。その左右には火焔宝
珠が描かれているが、右の火焔宝珠にはへの文字を交差させたような二本の棒か
鍵?を、左の火焔宝珠には交差した杉の枝を重ねている。

三段目は火焔宝珠の上に俵を三つ積み、下段の右の俵にはとぐろを巻いた白蛇が鍵
をくわえ、左の俵にはとぐろを巻いた白蛇が杉の枝をくわえて乗っている。

下段は左右の火焔宝珠に白、黒の狐が重ねられ、中央に宇迦之御魂神と神名が記さ
れている。

この神符を始めて見たときには、なんと不思議な絵だろうと思った。当時は伏見稲
荷についての知識が全くなかったので、その内容を理解することはできなかったが
子供の頃毎月楽しみに購読していた小学館の雑誌の絵解きのなぞなぞを思い出した
 そして、もしかしたらこの神符は絵解きの暗号かもしれないと好奇心が又もたげ
て来たのだった。

これまでに伏見稲荷縁起に語られる白鳥は<新羅取り>であり、餅は<杵搗き(杵
築)>で杵築大社(出雲大社)を指し、記紀で語られる<国譲り神話>の天つ神側
からの伝承であろうという仮説を述べてきたが、そうであれば稲荷の神は秦氏が矢
を射かけた杵築大社の主である<大国主命>でなければならない。この神符によっ
てそれを証明できないだろうか?と思い始めた。

では、この神符は従来どのように解釈されているのか、民俗学者の吉野裕子著
『狐』から紹介しよう。

  伏見大社の御神符は中央の宇迦之御魂大神、その前に蛇、さらに次に黒白の両
  狐を配している。それは主祭神としての蛇(宇迦之御魂大神)の古儀を確然と
  伝承し、しかも蛇神から狐神への祭神の変遷を明示している。くり返しいえば
  両蛇の次に黒白の狐が画かれているのは、狐が宇迦之御魂大神の使者として下
  座にあることを示すのではなく、祭神の変遷の時間的推移を画いているものと
  解される。
  狐神奉祭はあくまでも新儀であり、蛇神奉祭はその古儀である。そうしてその
  古儀は、おそらく梵語の白蛇を意味するところの「宇迦之御魂大神」を中央に
  据えることによって、脈々として現代に至るまで伝えられているわけである。

従来の解釈をなるほどと思いつつも、なにか物足りなさを感じたのはなぜだろうか
 それはこの神符の上半分の説明がなされていないからだ。そのためにはこの神符
の絵柄の一つ一つを客観的に確定する必要があろうと思った。
そして誰もが納得できるものと考えついたのが、家紋や紋章のデザイン帳である。
当時住んでいた板橋区志村図書館には角川書店刊『日本家紋総鑑』と新人物往来社
刊『姓氏・地名・家紋総合事典』の二冊があった。いずれも日本人が考え出した膨
大なデザインを足で集めた労作である。











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