みよしのの吉野の滝に浮かびいづるあわをかたまのきゆと見つらむ
とものり(巻十ー431)
古今和歌集・巻十・物名で「古今伝授・三木三鳥」のひとつ<をがたまの木>を詠
みこんでいる。歌意からすれば<泡をか玉の消ゆ>であり、隠し題となっている。
現在おがたまの木と称される木は廣心樹(モクレン科に属し、早春に良い香を放つ
白い花がひっそりと咲く)で、鎌倉宮(大塔宮)社前の大木が知られているが、
昔から玉串として神前に供える風習があり、南関東以西の鎮守の森には良く植えら
れている賢木(さかき)の一種。
「をがたまの木」の名前の由来は
<招魂(おぎたま)の転『大言海』>
<をがみたまの木。神を祭る時、御魂をおがむ木なり『茅窓漫録』>
<招魂の木『和訓栞』>
などの説がある。
古今伝授では<御賀玉木>と表記されている。
秋の七草では<萩>と<脛>。<葛>と<国巣>など掛詞の発想がキーワードとな
っているが、同様な発想があるとしていったい何と結びつくか?と考えていくうち
に、<雄(雄花)が玉の木>ではないかと思った。
三島に住んでいた頃、犬の散歩がてら周囲の丘や谷を歩き回り、いろいろな草木を
目にしていたが、雄花が玉に付いている木<かやの木>が思い浮かんだ。しかも
万葉集の秋の七草では<尾花・茅>
古今伝授の御賀玉木では<雄花・かや(栢)>
と掛詞の関係がダブルで成立する。
カヤにはイチイ科のカヤとイヌガヤ科のイヌガヤがあり針葉高木である。
どちらも良く似た楕円形の偽果をつける。
『和名抄』ではカヤに<栢>の漢名を当て、万葉仮名で<加倍>。
イヌガヤには<*(木偏に白)>の漢字を当て、万葉仮名で<加閉>と区別してい
る。
古代よりイヌガヤの実から採った油は灯明に使われ、カヤの油は食用として珍重さ
れた。
このように<をがたまの木>は秋の七草の<尾花(茅)>つまり<伽耶>と繋がっ
たのだが、カヤの実を連想させる<カヤナルミ>という神の名が
「出雲国造神賀詞(いずものくにのみやつこのかんよごと)」
(出雲の国造が新任された時に朝廷に出向いて、国譲りをした出雲の神が天皇家
へ二心がないこと、そして大和の地で天皇の守り神になることを誓って述べる
もの)
に記されている。
「己命の和魂を八たの鏡に取り託けて、倭の大物主くしみかたまの命と名を称へ
て、大御和の神なびに坐せ、己命の御子あぢすき高ひこねの命の御魂を、葛木
の鴨の神なびに坐せ、事代主の命の御魂をうなてに坐せ、<かやなるみ>の命
の御魂を飛鳥の神なびにに坐せて、皇孫の命の近き守り神と貢り置きて、八百
丹杵築の宮に静まりましき」
これによると、大物主命(三輪の神)とその子三人が出雲を代表する神として大和
の飛鳥・葛木・雲梯(うなて)の神奈備(かんなび)にあって、天皇家の守り神に
なると言っているのだが、この構図は「撫子」で推量した倭国そのものではないか
飛鳥の神は<伽耶なる実>で<鵜がや>
葛木の神は<鴨の社>で<国巣>
事代主命は<葛城の地主神で国巣系>
と思われる。
尾張氏の祖は火明命(ほあかりのみこと)とされるが、イヌガヤの火明かりで、
尾は尻尾ではなく尾花(茅)の尾の可能性があると思われる。
この時点ではまだこの暗号の全容はわかりませんでしたが、「出雲国造神賀詞」の
中の<かやなるみの命>が重要な神名であることが後にわかってきます。
「稲荷神符」のなかで詳しく書きます。
とものり(巻十ー431)
古今和歌集・巻十・物名で「古今伝授・三木三鳥」のひとつ<をがたまの木>を詠
みこんでいる。歌意からすれば<泡をか玉の消ゆ>であり、隠し題となっている。
現在おがたまの木と称される木は廣心樹(モクレン科に属し、早春に良い香を放つ
白い花がひっそりと咲く)で、鎌倉宮(大塔宮)社前の大木が知られているが、
昔から玉串として神前に供える風習があり、南関東以西の鎮守の森には良く植えら
れている賢木(さかき)の一種。
「をがたまの木」の名前の由来は
<招魂(おぎたま)の転『大言海』>
<をがみたまの木。神を祭る時、御魂をおがむ木なり『茅窓漫録』>
<招魂の木『和訓栞』>
などの説がある。
古今伝授では<御賀玉木>と表記されている。
秋の七草では<萩>と<脛>。<葛>と<国巣>など掛詞の発想がキーワードとな
っているが、同様な発想があるとしていったい何と結びつくか?と考えていくうち
に、<雄(雄花)が玉の木>ではないかと思った。
三島に住んでいた頃、犬の散歩がてら周囲の丘や谷を歩き回り、いろいろな草木を
目にしていたが、雄花が玉に付いている木<かやの木>が思い浮かんだ。しかも
万葉集の秋の七草では<尾花・茅>
古今伝授の御賀玉木では<雄花・かや(栢)>
と掛詞の関係がダブルで成立する。
カヤにはイチイ科のカヤとイヌガヤ科のイヌガヤがあり針葉高木である。
どちらも良く似た楕円形の偽果をつける。
『和名抄』ではカヤに<栢>の漢名を当て、万葉仮名で<加倍>。
イヌガヤには<*(木偏に白)>の漢字を当て、万葉仮名で<加閉>と区別してい
る。
古代よりイヌガヤの実から採った油は灯明に使われ、カヤの油は食用として珍重さ
れた。
このように<をがたまの木>は秋の七草の<尾花(茅)>つまり<伽耶>と繋がっ
たのだが、カヤの実を連想させる<カヤナルミ>という神の名が
「出雲国造神賀詞(いずものくにのみやつこのかんよごと)」
(出雲の国造が新任された時に朝廷に出向いて、国譲りをした出雲の神が天皇家
へ二心がないこと、そして大和の地で天皇の守り神になることを誓って述べる
もの)
に記されている。
「己命の和魂を八たの鏡に取り託けて、倭の大物主くしみかたまの命と名を称へ
て、大御和の神なびに坐せ、己命の御子あぢすき高ひこねの命の御魂を、葛木
の鴨の神なびに坐せ、事代主の命の御魂をうなてに坐せ、<かやなるみ>の命
の御魂を飛鳥の神なびにに坐せて、皇孫の命の近き守り神と貢り置きて、八百
丹杵築の宮に静まりましき」
これによると、大物主命(三輪の神)とその子三人が出雲を代表する神として大和
の飛鳥・葛木・雲梯(うなて)の神奈備(かんなび)にあって、天皇家の守り神に
なると言っているのだが、この構図は「撫子」で推量した倭国そのものではないか
飛鳥の神は<伽耶なる実>で<鵜がや>
葛木の神は<鴨の社>で<国巣>
事代主命は<葛城の地主神で国巣系>
と思われる。
尾張氏の祖は火明命(ほあかりのみこと)とされるが、イヌガヤの火明かりで、
尾は尻尾ではなく尾花(茅)の尾の可能性があると思われる。
この時点ではまだこの暗号の全容はわかりませんでしたが、「出雲国造神賀詞」の
中の<かやなるみの命>が重要な神名であることが後にわかってきます。
「稲荷神符」のなかで詳しく書きます。