隣人の形見花

　　　今年も咲きました。
　　清らかで美しい大輪の花が。
　　　　　　
　　　　　　　　　
　　　金盛丸？（多分）は、隣家の奥さんの四十九日に、
　　お線香を上げさせて貰いに、お邪魔した時、
　　ご主人から「この鉢植えを貰ってくれませんか？」
　　「うちのやつが大切に育てたんですよ。
　　この花のどこが気に行ったのか、こんなに増やして、
　　少し処分したら」と言うと向きになって「これを捨てたら、あんたも捨ててやる」
　　と言われた程、溺愛していた花だそうです。
　　その中の一つを貰ったのがこの花です。
　　　　　　
　　　　　　　　
　　　　貰って来た時は、単なる「サボテンじゃない」と見くびっていた私が。
　　こんなにも神秘的できれいな花をお咲かせるとは、思ってもいませんでしたから。
　　
　　　他の鉢は「ご自由にお持ちください」と書いた紙と一緒に
　　マンションの前に並べて置いた所、夕方には鉢が無くなっていたので
　　「良かった」とホッとしていました。

　　　お子さんがいなかったので、ご主人は田舎に帰りましたが、
　　この花が咲くと、優しく、夫婦仲の良かった隣人を思い出します。

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