女装子愛好クラブ

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一方的に恋い慕っていた看護婦のロッカーを開き、彼女の匂いのしみ込んだ看護衣を鼻に当てて嗅ぎながら

2022年07月03日 | 私的読書日記
井上ひさしさんは『ひょっこりひょうたん島』からこっち、好きな作家です。
小説もですが、読書やテレビをテーマにしたエッセイをよく読んできました。
本棚の奥から井上ひさしさんの『ブラウン監獄の四季』を引っ張り出して再読していたところ、衝撃的な告白?がありました。


 そのころ、ぼくは岩手県釜石市郊外にある国立結核療養所で事務雇をしていた。たしか若い男の事務員が10名ぐらい居たと思うが、ぼくは土曜の夜や日曜の夜の宿直をこれら同僚にかわってよく引き受けたものだ。
  宿直は順番に廻ってくるのだが、恋人のいる人は土曜や日曜の宿直を嫌った。ゆっくりデートができないからである。そういう場合はいつも恋人のいないぼくが代った。家といっても四畳半の借間に母親がいるだけで、帰ってもたいしておもしろい事が起る気づかいはなし、宿直を一回つとめれば二五〇円の手当がつく。この二五〇円も魅力だったのだ。

 そんなわけで、この年の暮も三〇日から正月の三日まで他人の宿直を一手に引き受けることになり、五日間ラジオぽかり聞いて暮しだのだが、このときの紅白は、司会が高橋圭三と水の江滝子で、江利チエミや浜口庫之助などの初出場組にまじって真木不二夫が出ていたはずだ。こんなことを憶えているのはじつは理由がふたつある。
 ひとつは真木不二夫が地元釜石市の出身だったということ、もうひとつは、紅白が始まって間もなく入所患者がひとり亡くなるという変事が起ったからである。患者の家族にこういう場合の手続きの説明をし、霊安室を掃除し、お棺の手配などをして、事務室に戻ってみると、もう紅白は殆ど終りに近づいていて、ちょうど藤山一郎が歌っているところだった。藤山一郎のへんに明るい声が妙に白らけて開えていたのを憶えている。

 ラジオを消して宿直室の布団にもぐり込んだが、なかなか寝つかれず、仕方なしに看護婦のロッカー室に忍び入り、こっちから一方的に恋い慕っていた看護婦のロッカーを開き、彼女の匂いのしみ込んだ看護衣を鼻に当てて嗅ぎながら自涜した。そういうやり方がそのころ、若い男の事務員の間で流行っていたのだ。だがそのときの看護衣の匂いはひどく薬品臭くてあまりよくはなかった―――。I


まあ20歳頃の持てない男子はリビドーに負けて何でもやりますから、この行為分かりますよね。
でも直木賞作家が「自涜した....」と自虐的に告白するんだから、大したものです。
ただ、いまはこんなことしないでくださいね。
見つかったらとんでもないことになりますから......と、いちおう書いておきます。





コメント
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