こぐま経済研究所ブログ

やさしく金融情報をお伝えします

高格付け社債 金智、国債並みに 東電など リスク嫌う資金流入

2010-04-25 20:31:28 | 日記
電力など公益企業が発行する社債の金利が国債並みに下がっている。世界的な金融緩和によるカネ余りが背景にある。東京電力が近く発行する10年債では、国債利回りに対する上乗せ幅が4年ぶりに0.1%を下回る。ただ資金が流入しているのは、財務が安定した高格付け社債で、低格付け社債の人気はいまひとつ。金融市場が落ち着きを取り戻す中でも、なお投資家は企業の資金繰り不安えおぬぐえないようだ。

国債利回りとの格差が縮小しているのはダブルA格の社債。東電が28日に発行する10年債(発行額400億円)は上乗せ幅が0.09%。3月に九州電力が発行した社債でも0.1%を割り込んだ。

高格付け企業の金利上乗せ幅は2008年秋のリーマンショック後に一時0.3%台まで拡大したが、この1年は縮小傾向にある。社債利回りと、国内で信用力がもっとも高い国債利回りの差が0.1%を割り込むのは異例で、06年3月に日銀が量的緩和を解除する前の水準に相当する。

日経 25日朝刊
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国債とダブルA格の社債の金利差がほとんどなくなってきました。金融危機などの外部的不安要因がとりあえず回避された格好になりました。余ったお金をリスクはとらずに、安定運用する投資家が多いのですね。東電債は、起債方式に国債とのスプレッド(金利の上乗せ幅)を基に発行条件を決めています。

郵便貯金など横領額20億円 郵政09年度 法令違反は1000件超

2010-04-24 22:16:24 | 日記
日本郵政グループの郵便局長らが貯金などを横領した金額が、2009年度全体で20億1200万円に達したことがわかった。郵便物の紛失などコンプライアンス(法令順守)に反する事例は1千件超にのぼった。金融庁と総務庁は横領問題をめぐり、昨年12月に郵便局会社などに業務改善命令を出したが、コンプライアンス体制の弱体ぶりが浮き彫りになった。

柿沢未途衆院議員(みんなの党)の質問主意書に対する政府の答弁書で明らかになった。保険料や集荷代金の横領など、現金がらみの内部犯罪は42件発生した。

柿沢議員は郵便配達の際に貯金を預かる郵政民営化前の慣行に触れ、不正の温床になった可能性があると指摘した。政府は郵政事業の見直しで、こうした業務を復活させる方針だ。

政府の答弁書はコンプライアンスに万全を期すとしながらも「利便性の低下に対処するのは喫緊の課題だ」と指摘。業務と不正の関係についての認識をあいまいにした。

日経 24日朝刊
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このような不正が平然と行われていること自体が信じられないですね。それも20億円も。郵便物の配達の際にお金を預かってそのまま着服してしまうのでしょうか。地域密着の郵便局だからできるようなことですよね。民間の銀行(ゆうちょ銀行も民間だが)では到底考えられないことです。横領されても気がつかない人も多いのでしょう。特に保険の掛け金などは通帳がないのでチェックしない人も多いと思います。2005年10月に投資信託の販売を開始して、一時は貯金を崩してでも投信を購入させた、ゆうちょ銀行も今は、貯金を少しでも増やすことに方向転換しています。その貯金として預かったお金を横領しているとは。。。郵政内部の構造問題は相当根が深そうです。


ホンダ、営業益9割増 前期3600億円前後 新興国で好調

2010-04-23 16:12:58 | 日記
ホンダの業績が一段と上向いている。2010年3月期は、本業の儲けを示す連結営業利益(米国会計基準)が前の期に比べ約9割増の3600億円前後になったようだ。従来予想は69%増の3200億円新興国での販売好調や円安が寄与した。中国向けの販売増で日産自動車など他の自動車大手も計画を上回りそうで、業績回復が鮮明になってきた。

ホンダの営業利益は、現時点の見込みで国内大手7社で最大。小型車中心の車種構成で経理効率が高く、二輪車で培ったブランドが新興国にも浸透して好調ぶりが目立つ。

日経 23日朝刊
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ホンダの営業利益は、21年3月期決算実績発表時点の当期予測では、営業利益100億円を見込んでいました。その後第1四半期時点で700億円、その後第2四半期決算発表時点で1900億円、そして第3四半期決算発表時点で2月3日に3200億円に業績修正(上方修正)されました。そして、本決算に向けてさらに400億円上積みで3600億円前後になるとの見通しです。この一年間で予想営業利益は100億円から3600億円まで約36倍に上方修正されたことになります。コストダウン効果や円安などの外部環境はあるものの、昨年3月時点では、金融危機の余波で先行き不透明感が大きく、最悪のケースを考えての予想だったのだと考えます。でもここまで上方修正されるとは、ホンダの経理担当も想定していなかったと思います。

ところで、今日の日経新聞の記事関して、ホンダからコメントが出ています。

「本日、一部報道機関において、当社の平成22年3月期通期連結業績に関する報道がありましたが、これは当社が公表したものではありません。なお、平成22年3月期の連結決算は、平成22年4月28日(水)に公表する予定です。」(東証適時開示情報閲覧サービスより)

丸紅系REITと合併 日本コマーシャル 資産規模5000億円

2010-04-22 16:48:14 | 日記
丸紅が不動産投資信託(REIT)の日本コマーシャル投資法人を、系列のユナイテッド・アーバン投資法人と合併させること方針を固めたことが明らかになった。22日午後にも発表する。合併後の資産規模は約5000億円で、大手REITの一角に食い込む。

日本コマーシャルは設立母体であるパシフィックホールディングスが昨年3月に経営破綻。借り換えや投資法人債の償還に向け、新しい支援企業(スポンサー)を探していた。昨年11月から新スポンサー候補を丸紅に絞り交渉を続けてきた経緯がある。

合併後は丸紅の信用力を後ろ盾とした財務の改善を進める。合併に伴いユナイテッド・アーバンは日本コマーシャルが持つ都心のオフィス物件などを取得する見通しで、規模拡大による成長機会を探る。

REITの合併は昨夏以降で6件目。2008年秋のリーマン・ショック以降、経営難に陥るREITが相次いだことを受け、国土交通省と金融庁は税制改正などでREIT再編を誘導する政策を打ち出している。

日経 22日朝刊
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日本コマーシャル投資法人は、今期の決算で、純利益が前期16億9300万円から、当期4億8200万円と3分の1以下に沈みました。主に不動産の売却損失と金融費用(支払利息等)の増加によるものです。その結果、分配金は前期8830円から1876円まで激減しています。基本的に首都圏、近畿圏、中部圏の物件は、そろって、賃貸収入の伸び悩みと空室率の上昇を抱えており、REITの運用に支障が出ました。効率性の悪い物件を売却し新たな投資家を探していくには、資金力の面で困難になり、自前での再建をあきらめ新たなスポンサーを探した格好です。これで両社の不動産の取得価額合計は約5000億円。

ただ、単に規模の拡大だけでなく、REITの評価は、保有資産の回転率と時価がポイントと考えます。

REITの評価には、本来はタイムリーな保有不動産の時価評価が求められるところですが、不動産評価には、鑑定士が時間をかけて行う必要があり、簡単にはできません。年2回程度の公表がやっとのようです。そのため、投資信託としての基準価額も発表されていないのです。


SEC「ゴールドマン、需要情報隠した」 市場仲介機能否定に懸念も

2010-04-21 18:25:15 | 日記
SECによると、ゴールドマンは2007年、著名ヘッジファンドのポールソン・アンド・カンパニーと、サブプライムローン市場が急落するとの認識で一致。同ローンの市場価格と連動し、リスクが非常に高い証券化商品の一種「シンセティック(合成)債務担保証券(CDO)」と呼ばれる商品をポールソン監修で設計する。

多数のローンを集めてリスクを統計的に把握し、小口化した証券化商品などを再び同じように証券化したのがCDO。ここにリスク回避のための保険契約を組み込んだ合成CDOをゴールドマンは組成した。その際ポールソンとは別の第三者の金融保証会社を介在させる。ドイツの銀行などに販売したが、CDO価格が急落すれば利益が出る保険契約をゴールドマンと結んだポールソンは巨額の利益を得た。

SECが詐欺としたのはゴールドマンが投資家にポールソンの関与を知らせなかった点。CDOの設計者自身が急落を見込んでいるという時いよう情報を故意に隠したとした。これに対し、ゴールドマンの法律顧問は20日電話会見し、「当社もCDOを保有し、損失を負った。四あ書から下落を狙っていないことは明らかだ」と反論。「CDOの設計は金融保証会社が独自に行った」と主張した。

日経 21日朝刊
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サブプライムローンそのものが、低格付けの債券にも関わらず、住宅価格が上昇するという期待感から高格付けを取得し、あたかも安全資産のように売買されました。その中でも劣後債部分を組み合わせてさらに証券化商品が組成されていき、金融危機を引き起こしました。今回のゴールドマン訴追は、いずれもプロの投資家同士の間の話なので、双方了解のもとで契約していたと思います。個人投資家が騙された!と言って文句をいうレベルの話ではありません。ゴールドマンも徹底抗戦するようですが、SECの出方によっては、金融機関の信用不安を再燃させる可能性もありそうです。