こぐま経済研究所ブログ

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ゆうちょ銀行の投信販売と預金限度額引き上げ

2010-04-30 16:40:10 | 日記
ゆうちょ銀行の預金限度額が現在の1000万円から2000万円に増額されることによって、どのようなことが起こるのでしょうか。その目的は、郵政事業をいかにして黒字化するかというものです。

現在の日本郵政グループでは、ゆうちょ銀行とかんぽ生命が黒字、郵便局会社と郵便事業会社が赤字となっています。亀井さんのお話では、後者2社を統合する計画。統合の過程で大幅なリストラを行わない限り、黒字化は難しいと考えられています。そのために、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の黒字幅を拡大し、全体としての利益を確保することが狙いの一つになります。

実際には、ゆうちょ銀行の預金保証額を2000万円まで引き上げて、その分の預金を集めたとすると、今度はその資金をどのように運用するかが問題になってきます。現状は85%が国債運用に回っています。ただ今の財政状態を考えると、今以上、国が国債を発行できるかというとそれも難しそうです。それでは別の受け皿として住宅ローンや企業貸付を行うことになるのですが、思ったように進めることができるのでしょうか。環境整備だけでも時間がかかりそうです。

さて、ゆうちょ銀行が預金中心にシフトすると、資産運用商品へは資金が流れていくのでしょうか。日銀の資金循環統計を見ても、投資信託の個人金融資産に占める割合は10%程度です。本来、民営化したのであれば、預金限度額を引き下げ、貯金の一部を投資信託などに振り替えていくのが本来の形ですが、まさに逆行しています。とても資産運用商品へ資金が流れるとは思えないです。

郵政事業を官主導に切り替えて、さらに規模の拡大を目指し、資産運用商品には資金が回りにくくする。このような方針を立ててまで、参院選の票は大切なんですね。


※日経 朝刊26日の経済教室を参考にしました。