こぐま経済研究所ブログ

やさしく金融情報をお伝えします

米債務問題 身構える市場 ドル安進行 日本にも重圧

2011-07-27 22:04:52 | 日記
米連邦債務の上限引き上げを巡る交渉が難航し、世界の金融市場に緊張が走っている。米国が債務不履行(デフォルト)を起こし、最上級の格付けも引き下げられる-。そんな心配からドルが売られ、臆病なマネーの逃避先となった円は最高値に迫った。市場の不安を鎮めないと、ドルリスクは世界と日本にも及ぶ。

金にマネー逃避

米政府が借金できる上限は14兆2900億ドル。8月2日までに民主、共和両党が上限引き上げに合意しないと、政府はそれ以上借金できず国債の元利払いも滞ってしまう-。
主要通貨に対するドルの加重平均である実行相場は、まさかの事態が起きかねないことを織り込み、最安値圏となった。26日の東京市場で円が1ドル=77円台まで上昇したのも、円が買われたというより、ドルが売られた結果だ。資金のドル離れが進み、金相場は1トロイオンス1600ドル台の最高値を更新した。

リーマン・ショックで聞きに直面した企業と金融機関を救うために、米欧や日本は財政を膨らませ金融緩和した。民間の負債を肩代わりした各国政府は、膨大な債務を抱え込んだ。

いま市場が身構えるのは政府債務のリスクだ。ギリシャに始まった欧州の債務危機は、イタリアに飛び火した。ユーロ圏の首脳は先週、ギリシャへの第2次金融支援で合意し、ひとまず危機を封じ込めた。

焦点は米国の財政赤字削減問題に移った。オバマ大統領と民主、共和両党の指導者との間で、歳出削減か増税かで議論はなかなか前に進まない。「米国債がデフォルトに陥る恐れがある」。交渉を促そうと議会指導者への書簡でそう指摘したのは、ほかならぬガイトナー長官だった。

(後略)

日経 27日朝刊
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いよいよリミットまで1週間をきりました。米国の財政問題。政府と議会で論争が激しく行われているのはいいことではありますが、両党の思惑よりも世界経済に与える影響をしっかり理解したうえで、最善策を取ってほしいと思います。日経企業にとっては自動車・電気を始めとする輸出産業に打撃が出てきます。各企業の社内レートは、80円以上で設定されています。このままいけばいずれの企業も差損による損失が出ます。震災後、やっとサプライチェーンも回復してきましたので、出鼻をくじくようなことは避けてもらいたいところです。

中国鉄道行政に批判集中 追突車両の最前部埋める「隠蔽」と書き込みも

2011-07-25 23:02:17 | 日記
中国浙江省温州市で23日起きた高速鉄道の衝突・脱線事故を受け、中国政府の鉄道行政に対する批判が高まっている。インターネット上では政府批判の書き込みがやまず、国家の威信をかけた高速鉄道網の整備計画は見直しを迫られるのが避けられそうにない。高速鉄道の利用を控える動きも広がっており、営業的にも苦しい状況に追い込まれている。

中国鉄道省の王勇平報道官が24日深夜に現地で開いた記者会見では、ある”疑惑”に関する質問が注目を集めた。「当局はなぜ追突車両の最前部を破壊して埋めたのか」。王報道官は「救助活動を円滑に進めるためだ」と説明したが、国民の多くは納得していない。
インターネット上には「当局は事故原因を隠蔽しようとしている」との書き込みが相次いでいる。「落雷による設備の故障が原因」と繰り返す鉄道省には「人災を天才にすり替えようとしている」との批判も噴出しており、王報道官は「車両から回収した運行記録装置の内容はすべて公表する」と約束せざるを得なかった。

日本円で年間10兆円近い予算を握り、汚職の舞台にもなってきた鉄道省には、もともと国民の不満が強い。今年2月には当時の劉志軍・鉄道相が鉄道建設工事の入札を巡る汚職の疑いで解任された。今回の事故で、安全性を置き去りにした急ピッチでの高速鉄道網の整備計画にメスが入るのは必至で、鉄道省は厳しい立場に追い込まれている。

日経 25日夕刊
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中国は、昔から汚職・隠蔽・略奪の歴史を繰り返しています。どこの国でもあるのかもしれませんが、当たり前のように汚職が行われているのには、閉口してしまいます。新幹線で死亡事故がいまだかつて起きたことがない日本。東日本大震災でも脱線すらしませんでした。その技術を応用した中国の新幹線。本来であれば、原因解明にもっと時間をかけるべきなのに、先頭車両は破壊する、今日から運転再開など、人災の隠蔽工作としか思えないですね。私も3回ほど乗車したことがあります。なにごともなければ便利な乗り物なのですが、事故を起こした時の被害は想像以上に大きいです。

以前、ドイツで停止中のリニアモーターカーに、テスト走行中車両が衝突したことがありました。高速で衝突すると木端微塵です。

原因の徹底解明を望む国民も多いと思います。雷雨のせいにしてほしくはありません。

米国債の格下げリスク 市場への影響、読めず

2011-07-23 19:39:49 | 日記
通貨ドルに加え、「リスクフリー」の投資機会を提供する米国債市場を併せ持つ米国は世界に超然たる地位を占める。

この地位が現在、厳しく問われている。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国債の格付けを最上級の「トリプルA」から引き下げる確率は少なくとも50%と警告。債務の上限引き上げ問題が妥協しても事態は変わらないという。

米国債格下げは重大な影響をもたらす。世界の資産評価の基準となってきた米国債がリスクフリーでなくなることを意味するからだ。

切り下げられれば市場に大混乱が起こると危惧する投資家がいる一方で、債務上限引き上げ問題がこじれて米政府がデフォルト(債務不履行)に陥っても影響は一時的との見方もある。

だが真に危ぶむべきは。格下げ後も米国債とドルが世界の資産評価の基準にとどまる可能性が高いことだ。米国債に投資してきた世界の投資家が大損害を呼応ムル恐れがある。

ウェルズ・キャピタル・マネジメントのジェームス・ポールセン氏は、「格付け引き下げ後はダブルAが新たな最高位となるだけ」として「米国債は他国の資産の基準であるため格下げは米国以上に他国を傷つける」と警告する。

市場関係者も、注目は当初のドルと米国債市場から、米国債に連動してリスクが膨らむ債券・株式資産に移るとみる。

(後略)

日経 23日朝刊(FinancialTimesより)
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8月2日まであと、10日です。それまでに政府と議会の調整は行えるのか。
なんとも先が読めなくなってきました。

想定されることは、米国債に投資している外国がたくさんあり、
仮に格下げになれば、利回り上昇、価格下落となり、被害を被ることになる可能性が高いということ。

日本の国債が2002年に格下げされた際、一時的に利回りの上昇がありましたが、
その後は、利回りは低下。海外からの投資も再開された経緯があります。

ブラジル景気に減速感 利上げ打ち止め観測も

2011-07-22 22:30:55 | 日記
ブラジル景気に減速感が出てきた。2011年の国内総生産(GDP)の実質成長率が、政府見込みの4.5%を下回り4%前後にとどまるとの見方が強まっている。金融の引き締めや物価上昇が消費減速につながるとの観測で、成長率見通しの下方修正が相次いでいる。ブラジル中央銀行は消費過熱への警戒から20日に今年5回目の利上げを決めたが、市場では今後は政策金利を据え置くとの見方が広がっている。

国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は今月発表した中南米経済見通しで、ブラジルの11年の成長率を4.0%とした。昨年12月時点では4.6%を予想していた。今回の予測では中南米平均の4.3%を下回り、先行きに慎重な見方を示した。
国際通貨基金(IMF)も6月、金融引締めの影響を織り込んだ上でブラジルの成長率見通しを4月時点の4.5%から4.1%に修正した。中銀によるアナリストを対象に実施したアンケートでも、成長率予想は平均3.94%にとどまる。

年4%の成長率はブラジル経済の「巡航速度」の下限域。ただIMFは12年の成長率を3.6%と予想、一段と減速感が強まると見ている。

日経 22日朝刊
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中国と並んでブラジルも高成長を続けているものと思っていましたが、どうも減速感が漂ってきたようです。実質経済成長率の予想も、4%前後に下方修正されています。利上げなどによる金融引締めや物価上昇の影響で、小売が減少し経済が弱まってきたようです。これからオリンピックやワールドカップの開催を控えていることもあり、公共工事等、経済活性化の材料はありますが、利上げの影響の方が大きいのでしょうか。

投信リスク説明義務付け 「毎月分配」や「通貨選択」今秋に統一書式

2011-07-21 22:16:42 | 日記
日本証券業協会と投資信託協会は今秋から、個人投資家に人気のある「毎月分配型」や「通貨選択型」と呼ばれる投資信託について、証券会社や銀行、運用会社に顧客への商品説明を徹底させる。投信の説明書(目論見書)で商品の仕組みやリスクを説明する統一の書式を作成し、運用会社に記載を義務付ける。販売会社には目論見書に沿った説明を求める。顧客が商品性を十分に理解しないまま購入し、不利益を被るのを防ぐ狙いだ。

両協会が打ち出す商品説明では、イメージ図を多様し、投資経験の少ない個人投資家にも理解しやすいように配慮する。個別の投信のリスクについては現在も目論見書の中に書かれてはいるが、業界で統一の書式で掲載を義務付けるのは初めて。今秋以降に発売したり、目論見書を更新したりする投信に適用する。

毎月分配型では、元本を毀損することなく利子が支払われる預貯金と、運用益が出ていない場合に元本の一部を取り崩して支給される投信分配金の違いなどを説明。投資家に利益が出ている状態で支払われるのは「普通分配金」、元本の取り崩しは「特別分配金」と呼ばれていることも示す。

通貨選択型の投信では、複雑な仕組みを図解して、収益の源泉がどこにあるのかを説明する。

(後略)

日経 21日朝刊
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書式統一での掲載義務付け。昨年、交付目論見書の書式を大幅に見直して大胆にスリムにしました。今は、ほとんど10~20ページ程度となっています。目論見書はいままで記載事項の取り決めはあるものの、掲載方式は各社、各ファンドごとにまちまちでした。各ファンドの比較も簡単にはできません。最近は、通貨選択型&毎月分配型ファンドが大量に設定され、運用状況のトラブルも少なくないと想定されます。

このような問題点を解決するため、共通の書式による開示を義務付け目論見書の記載をわかりやすく、比較しやすくすることが目的のようです。

ただ、問題は個人投資家がしっかり見てくれるかどうか、説明をしても理解してくれるかどうかだと思います。

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