こぐま経済研究所ブログ

やさしく金融情報をお伝えします

鉱工業生産3.1%上昇 「持ち直し」に情報修正 12月前月比

2011-01-31 21:31:50 | 日記
経済産業省が31日発表した2010年12月の鉱工業生産指数(速報、季節調整値、2005年=100)は94.6になり、前月比で3.1%上昇した。上昇は2カ月連続で、輸出向けの自動車や携帯電話などの生産回復がけん引約となった。基調判断は11月までの「弱含み」から「持ち直しの動きがみられる」に上方修正した。同時に発表した10年の鉱工業生産は前年比で15.9%上昇し、3年ぶりにプラスになった。

昨年の伸び15.9% 3年ぶりプラス

基調判断を上方修正するのは09年4月以来、1年8カ月ぶり。昨年9月に前月の「横ばい」から「弱含み」に判断を引き下げていた。

1月の製造工業生産予測指数は前月比で5.7%上昇する見通し。輸送機器や一般機械が寄与する。生産が1月も上昇する見込みになったことも踏まえ、経産省は「昨年秋からの足踏み状態を脱しつつある」との認識を示した。

(中略)

一方、10年10月~12月期の鉱工業生産指数は前期比で1.7%低下した。エコカー補助金が終了した後の自動車の元さんを受けて10月に大きく落ち込んだため、2四半期連続でマイナスになった。10年は、09年がリーマン・ショック後の世界的な景気悪化の影響から前年比21.9%低下と大きく落ち込んだ反動で、高い伸びとなった。

日経 31日夕刊
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12月の生産指数は、2カ月連続でプラス。前年同月比でも4.6%の上昇でした。指数水準で94.6(季節調整済み)です。2007年の基準値までは至っていないものの、今後1月も改善が見込めるため、生産は「持ち直し」の動きがみられるとしました。1月の製造工業生産予測調査では、前月比+5.7%を予想しています。一般的に、生産指数はGDP成長率に連動すると言われています。エコポイントなどの季節要因がなくなり、ここからの成長が景気回復には最も重要だと思います。

こぐま経済研究所

第11回金融セミナーを開催しました。

2011-01-30 18:37:55 | 日記
こぐま経済研究所では、昨日、第11回目の金融セミナーを実施しました。今回の題目は、「日本の財政状態の今後」(S&Pの日本国債格付け引き下げを受けて)でした。

先週1月27日に米格付け会社のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は、日本国債の格付けをAAからAA-に引き下げました。先進国の中では突出した負債を持つ日本。財政赤字についてもIMFから改善通告を受けています。今は家計資産1400兆円で国債発行額を賄えるため、金利の急上昇はありませんが、依然として財政健全化への道筋は見えません。2020年度のプライマリーバランス黒字化を政府目標に据えていますが、実行力がまったく見えない点をS&Pは格下げ理由の一つに挙げています。消費税論議だけでもまとまらない日本。大胆な財政健全化策を打ち出し、実行に移す英国などとは大きな隔たりを感じます。

金融セミナーでは、このトピックに関するレポートや新聞記事などを収集し、基本的な言葉の意味なども含めて解説させてもらいました。「政府負債の名目GDP比率200%超を予測」という表現については、具体的な金額、名目と実質での違い、他国の比率などとの比較など、さらに細かく噛み砕いて説明しています。

来月のセミナーは2月20日(日)を予定しています。
詳細がきまりましたら、改めてご案内いたします。

今後ともよろしくお願いします。



財政健全化を優先 英首相、ダボス会議で演説

2011-01-29 23:05:48 | 日記
英国のキャメロン首相は28日、ダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で演説し、「財政健全化がなければ経済成長はできない」と指摘、景気回復の腰折れ懸念のなかでも厳しい歳出削減を進める考えを明らかにした。

今週発表された昨年第4四半期の実質国内総生産(GDP)伸び率が前期比マイナス0.5%と市場予想を大幅に下回ったことから政府の財政緊縮路線への風当たりが強まっている。これに対して首相は先進国で最も厳しい緊縮財政によって「国債の格付けをトリプルAに維持することができた。」と述べ、信用不安を回避し金利も低下したことの意義を強調。「経済回復の近道はなく(財政健全化という)当初のコースを外れてはならない」と話した。

首相はまた「英国ほどの規模の経済は独自の金融政策を持つ必要がある」と述べ、将来的にもユーロ圏に参加する意志のない立場を主張した。

日経 29日朝刊
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日本国債はAA-に引き下げられましたが、英国国債はAAAを維持しました。これについてキャメロン首相は、緊縮財政策が評価されたと指摘しています。ただでさえ、物価と税金の高い国で有名ですが、さらなる緊縮財政で、国民の信頼を得られるかどうか試練が続いています。国立大学の学費改定では、大規模なデモが発生するまでになり、国民も少なからず不満をもっているようです。政権交代後の政策は、日本とは全く異なる路線を進んでいる英国。日本も八方美人を続けるのではなく、自らが立案した政策の実現に積極的に進めていってもらいたいと思います。

日本国債を格下げ S&P8年ぶり改革の実現性疑問視

2011-01-28 13:47:18 | 日記
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は27日、日本の長期国債の格付けを「ダブルA」から「ダブルAマイナス」に引き下げたと発表した。同社による日本国債の格下げは2002年4月以来、8年9カ月ぶり。「財政赤字が今後数年にわたって高止まりする」ことを理由に挙げた。

S&Pの小川隆平ディレクターは電話会見で「いまの政治状況では政府が目的とする政策を実現しようとしても国会議決につながる可能性が小さい」と指摘。衆院と参院の多数派が異なる状況での改革の実現性に疑問を投げかけた。

「ダブルAマイナス」は上から4番目。財政不安に揺れるスペインを下回り、中国、サウジアラビア、台湾などと同じ水準だ。S&Pは昨年1月に見通しを「安定的」から「引き下げ方向」に変更していた。今後の見通しは「安定的」としている。

公的債務残高の国内総生産(GDP)比率は200%超と、主要国の中では突出して高い。S&Pはこの比率が20年半ばまで悪化し続けると予想。国と地方の基礎的財政収支を20年度に黒字化するとの政府目標は「大規模な財政再建策が実施されない限り、達成できない」と分析した。

日経 27日朝刊
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S&Pが日本国債の格下げを発表しました。この発表に伴い、長期国債10年物の利回りは+0.015%で1.250%に上昇。円ドル相場も83円22銭と円安方向に動きました。ただ翌日の28日には、格下げの影響は引きずらないで、債券相場、為替相場ともに安定した取引でした。円ドル相場も直近値で82円10銭に戻しています。日本は、国債を発行してもほとんど国内消化されている点から、格下げがさほど重要視されていないという特性があります。さらには、米国やイギリスなど他の先進諸国と比較して、経常黒字国であることも大きな違いです。このような背景から、影響は少ないように見えますが、今後、金利が上昇すれば、利払い費もかさみ、安定消化は難しくなる可能性があります。さらに、国内での消化が難しくなれば、格付けに厳しい、海外投資家に消化をお願いするしかなくなり、格付けが引き下げられることにより、長期金利が跳ね上がる可能性も出てきます。財政問題対策は、待ったなしです。ちなみに、2020年度にプライマリーバランス黒字化を目指すのであれば、少なくとも消費税9%は必要と言われています。

貴金属やレアアース・・・指数連動の新型証券

2011-01-27 21:55:04 | 日記
東証、4月めど上場 多様な商品設計可能に

東京証券取引所はETN(上場投資証券)と呼ばれる新しい証券の上場を4月をめどに解禁する。貴金属やレアアース関連などで設定した指数に価格を連動する金融商品で、上場投資信託(ETF)と違って現物の資産で運用しなくてもよいのが特徴だ。上場商品を増やし、新たな投資を市場に呼び込む狙いがある。

たとえば貴金属のETNなら、貴金属の価格があがればETNの価格も同じだけ上昇し、投資家は株式のように売却益を得ることができる。ETNを発行した金融機関は必ずしも実際に貴金属を購入しているわけではなく、実際にはさまざまな商品で運用し、リスクヘッジする。通常は設計しにくい投資対象も商品化でき、米欧市場では近年急速に普及した。

株式と同様に売買できるよう預託証券(DR)にして上場する。東証は28日の取締役会で上場規則の改正方針を決め、意見募集を経て年度内に詳細を固める。ETNには資産の裏付けが必要ないため、東証は発行する金融機関に対し、格付けや自己資本比率など厳しい条件を付ける方針だ。

日経 27日朝刊
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ETN(ExchangeTradedNotesの略) 裏付け資産が必要ないということは、発行金融機関の信用力のみで発行されるということ。発行体が倒産したらそこでおしまいということですね。裏付け資産がないため、利息や配当という分配がない。分配落ちもなし。さらにこれらにかかる税金もなし。ETFの信託報酬に相当するものとして、マネージメントフィーが発生するのかな?でも、こちらもかなり低くなるものと想定。価格は発行金融機関が何らかのルールに従って日々計算するのだろう。市場でザラバ取引きされるので、リアルタイムの値付けがされるものと考えています。

東証も現物株以外にETF、REITを投入していますが、さらに日本預託証券を導入して、売買高の向上を図る計画なのだと思っています。売買高で上海証取に差をつけられたくない気持ちが伝わってきます。