こぐま経済研究所ブログ

やさしく金融情報をお伝えします

FX、手数料下げ競う 規制強化で顧客囲い込み

2010-08-31 22:27:19 | 日記
投資家が取引所を通じて売買する外国為替証拠金(FX)取引で、証券会社が相次ぎ手数料を引き下げている。8月に導入された規制で市場が縮小するのに備え、これまで店頭取引のみを扱っていた証券会社が取引所取引にも参加し、顧客獲得にしのぎを削っているためだ。競争激化で業者の淘汰が進むとの予想もある。

FXは証券会社が顧客と相対で取り引きする店頭取引と、東京金融取引所や大阪証券取引所を通じて取引する取引所取引がある。8月から証拠金に掛けられる倍率に50倍の上限が設けられ、高倍率取引で顧客を集めていた店頭取引は魅力が低下。税制面で優遇措置のある取引所取引にシフトするとの予想がある。

こうした状況を踏まえカブドットコム証券は9月17日から大証を通じFX取引ができるサービスを開始。手数料は1枚(マイは1万通貨単位、ドルなら1万ドル)あたり105円とする。ほかの業者は150円から200円が多く、カブコムの手数料は大証で最低となる。金融取の「くりっく365」でも、岡三オンライン証券が9月1日から30日まで機関限定で手数料を無料にする。岡さんは6月から通常料金も業界最低の52~73円に値下げしている。大和証券も27日、同機関で累計100枚まで手数料を無料にすると発表した。

日経 31日朝刊
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倍率上限が50倍となった今月、取引量が減少しているのは事実。確かに、600~700倍もの高倍率は投機性が高く、高リスクというより個人には危ない取引のようにも思えました。ただそのメリットに惹かれて取引を行っていた個人投資家も多かったようですね。FXそのものからの個人投資家離れを食い止めるため、証券会社は、取引所FXに参加して税制優遇を受けたり、個々の取引手数料を下げて顧客の囲い込む動きが目立っています。でもFX自体に、いまだに手を出すことができない個人投資家も多いはず。投資初心者を取り込む仕組みを考えてみるのも市場拡大には有効だと思います。来年には、50倍から25倍へさらに上限倍率が下がります。FXの魅力をレバレッジ以外に探していく必要がありそうです。

「イスラム債」配当非課税に 金融庁うが税制改正要望

2010-08-29 22:55:07 | 日記
金融庁は2011年度の税制改正要望で、イスラム教の教義に則した方式で発行する「イスラム債」の配当を非課税にするよう求める。日本企業などがイスラムマネーを見込んでこの債券を発行しても、現在の制度では配当の15%が源泉徴収扱いとなる。これを他の主要国と同じように非課税扱いにすることで、資金を日本に呼び込みやすくする狙いだ。

投資条件、欧米並みに

金融庁は10年度の税制改正で、日本企業が国内で発行した社債を保有する海外投資家が受け取る利子を非課税扱いにすることを求めて実現した。ただイスラム教では利子の受取を禁じている。実質的には社債への投資であっても「出資」の形態をとらざるを得ず、利子も配当として扱われるため課税対象になってしまう。欧米などでは、海外からの投資に対する配当は非課税とするのが一般的で、課税される日本にはイスラム圏内からの投資マネーがほとんど入ってこないのが実情だ。このため金融庁は、イスラム圏からの投資をしやすくするよう投資を「社債的受益権」と位置づけ、配当を非課税とするよう要望する。

日経 29日朝刊

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イスラム金融では、金利はゼロです。基本的に融資という考えはありません。イスラムの教えに違反するのです。じゃあ投資家はどうやって収益を出すの?と考えてしまいますよね。お金の流れとしては、預金者や投資家が企業に投資し、その投資額を企業が有効利用して、収益を上げられたらそのうちいくらかをもらうことにより、取引が成り立っています。イスラム債といっても投資ファンドのようなものなのです。

ですので、預金者・投資家がもらうのは、投資収益の配分となります。これならイスラムの戒律にも違反しない。

イスラム債という債券なのに、配当課税される原点がここにあります。さらに、この配当に対しては、非課税を要求していこうというもの。そうして日本国内にイスラムマネーを取り込み、景気回復に向かわせたいといった思惑かもしれません。

日経平均連動投信が人気

2010-08-28 15:13:20 | 日記
国内株式市場の低迷が続く中で、日経平均株価に連動する投資信託の販売が好調だ。個別株への投資はためらうものの、日本株が割安だと感じる個人投資家が増えているためだ。こうした「逆張り」の動きが個人投資家のあいだに広がれば、株式相場の下支えになる可能性もある。

野村総合研究所によると、日経平均の上下に運用成績が連動する投資信託44本への資金流入は、ギリシャ危機の余波で国内の株価が下落し始めた5月以降に加速。今月も25日時点で107億円の流入超となるなど、4カ月連続で新規購入が解約を上回る流入超の状態が続いている。

日経平均連動投信はリーマンショック直後の2008年10月にも大幅な流入超となるなど、株価の下落局面で購入が増える傾向がある。今回も「株価の下落をチャンスといた投資家の購入が多い。」といい、個別株の売買低迷とは対照的な動きを見せている。日経平均に連動する投信は外国株・債券で運用する投信などに比べて、手数料が安い場合が多い。コストの低さも多様な投資家を取り込む一因にもなっているようだ。

日経 28日朝刊
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先月の投信協会月次概況を見てみると、7月中のインデックス型投信全体の純設定額は35億円の増加。(5月から3カ月連続でプラスです。この数字は、日経平均以外の株式インデックスのTOPIXやMSCI日本指数などに連動する投資信託やETFも含まれています)

ただ、気になるのはどうして日経平均のみ販売好調なのでしょうか。TOPIX連動型を調べてみると、純設定額は、確かに伸びているものの日経平均型とは1ケタ異なりました。

通貨選択型のようなハイリターン・ハイリスクの商品に対して、インデックス連動型は安定型投信の代表選手。コストも安いです。不確実性要素の多い時期は、あまり冒険を好まない投資家がインデックス型にシフトしているのかもしれません。

長期保有を前提に考えると、一般的にアクティブ型投信はインデックス型投信のパフォーマンスを上回れないと言われております。ご参考まで。

差金決済取引で大和が銘柄拡大 日本株2.6倍に

2010-08-27 16:05:33 | 日記
大和証券は30日から、あらかじめ預けた証拠金の数倍の金額の先物を売買して差益を狙う差金決済取引(CFD)の取り扱いを強化する。取引できる日本株の銘柄を現在の2.6倍の271銘柄に広げるほか、取引手数料も無料にする。少ない元手で大きな利益を狙う個人投資家が増えてきていることに対応する。

CFDは証拠金を元手に為替を売買する外国為替証拠金(FX)取引の株式・債券版。高リスク取引を好む投資家の間で売買が増えており、ネット証券も顧客の開拓を進めている。大和はCFDで日本株の主要銘柄を売買できる体制を整え、他社に劣らない品ぞろえを訴えていく考えだ。

大和の日本株のCFDは証拠金の最大4倍まで売買できる。倍率を上げるほど、わずかな相場変動でも損失が膨らむリスクも高まる。

日経 27日朝刊
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FX取引やCFD取引に活路を見出そうとしている証券会社が増えてきたような気がする。国内市場の低迷で個別株の売買手数料では収益が上がらないため、昨年はハイリターンの投資信託拡販を中心に収益を稼ぎ、今年は差金決済取引へとシフトしてきました。為替証拠金取引は、わずかな値動きでも利益が稼げるハイリスク・ハイリターン商品。本来の市場原理に基づく適正価格が歪まないことを願っています。


個人、なお円売り 東京金取FX外貨買越額最高

2010-08-26 20:49:14 | 日記
急速な円高の中で個人投資家が円売り・外貨買いを拡大している。東京金融取引所の外国為替証拠金(FX)取引「くりっく365」では、24日時点で、円に対するドル、オーストラリアドルなど外貨の買い越し額が54万9818枚と、55万枚(約4700億円)に迫り、過去最高を更新した。個人は今の円高を「行き過ぎ」と判断しているようだ。

円相場が対ドルで一時、1ドル=83円台と約15年ぶり高値まで急伸した24日、個人のドルの対円買越額は約16億ドル(約1300億円)と、前日に比べ約1億ドル、前週末と比べ約2億5千万ドル増えた、米ドルだけでなく「豪ドルや英ポンド、ユーロを買う動きも目立った」という。

(中略)

「クリック365」以外も含む個人のFX取引は、東京市場全体の3割程度を占めるといわれている。一段の円高を予想する声もあるなかで、市場全体とは逆の動きををしている個人の存在がどの程度、円高にブレーキをかけるか注目される。

日経 26日朝刊

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FX取引が始まって、個人投資家の動向が為替相場に大きな影響を与えるようになってきました。少ない元手でレバレッジ倍率を高く設定した取引を行えるため、投機的なイメージが強いのですが、この取引も含めて為替相場が決まり、輸出企業の業績を左右して、国の経済まで動かしてしまうとなると少し考えなくてはならないのではないでしょうか。今までの外国為替取引は銀行などの機関投資家が中心でした。一部には、機関投資家のディーラーが、帰宅後、個人としてFXを行っているという話も聞きます。為替の決定材料が、相手国との金利差等より、個人投資家の動向となる日も近いのかもしれません。