こぐま経済研究所ブログ

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国債、海外勢の保有最高 昨年末78兆円「安全資産」に資金

2012-03-23 22:17:34 | 日記
日銀が23日発表した2011年10~12月期の資金循環統計(速報)によると、海外投資家の国債保有残高は12月末時点で78兆円と過去最高になった。1年前に比べて37.8%増加した。残高全体に占める割合は8.5%とリーマン・ショック後の2008年9月以来、過去2番目の水準。欧州債務問題を背景に、相対的な安全資産である日本国債に資金が集まった。

国内金融も600兆円超

10~12月期の期間1年以上の長期国債への資金流入額をみると、国内金融機関の資金流入額は3兆6340億円。海外からの資金流入額は2兆320億円と、国内金融機関には及ばないものの、新規発行額の約4割を占めた。日本の債券市場における外国人の存在感が高まっていることを示している。

国内の金融仲介機関の保有残高も601兆円となり、初めて600兆円を突破した。1年前に比べて2.3%増加した。残高全体に占める割合は65.3%と、依然として高水準が続いている。

家計が保有する金融資産の残高は12月末時点で1483兆円となり、1年前に比べて0.4%減少した。年末比較でのマイナスは08年以来3年ぶり。欧州債務問題を背景とした株安などにより投資性資産の価値が目減りし、株式・出資金や投資信託が2ケタ減となったことが主因。個人向け国債が大量償還を迎えて債券残高が首相したことも響いた。

一方、家計金融資産のうち、現金・預金残高は前年比2.2%増の839億円となり、過去最高を更新した。前年比での伸びは5年連続。企業の現金・預金残高は前年比4.6%増の205兆円と、過去3番目の高水準となった。東日本大震災の発生や世界経済の先行き不安などを背景に、個人が自由に引き出して使える預金や現金などを手元に確保する姿勢を強めたことを反映している。

日経 23日夕刊
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資金循環統計では、海外勢の日本国債保有増加と家計の投資性資産の価値下落による残高減少、預金は逆に増加しました。欧州危機の影響で投資商品が下落し、安全資産の預金にシフトしたことが主な原因です。国内の株式投信も4カ月連続で資金流入減となっています。最近の円高で何とか株式市場にも明るさが見えてきていますが、金融緩和による余剰資金の行き先の一つとなっているだけです。本格的な回復が見えてこないと、個人投資家がリスク資産への投資を増やすまでには相当の時間がかかりそうです。

ユーロ 危機一服で上昇

2012-03-20 06:52:34 | 日記
外国為替市場でユーロが買い戻されている。19日の東京市場では昨年10月以来、4カ月半ぶりに1ユーロ=110円台に乗せた。ギリシャ債務問題をきっかけとすえう欧州不安がひとまず後退した。対ドルでもユーロは上昇している。株式市場では、欧州の売上高比率が高い銘柄に対する買い戻しが目立っている。同日の日経平均株価が5日続伸。一時は42円高の1万0172円64銭まで上昇した。

4カ月半ぶり一時110円台 輸出関連株に買い

19日早朝の海外市場で、ユーロは対円で一時1ユーロ=110円15銭と2011年10月31日以来、約4カ月ぶりの円安・ユーロ高水準をつけた。その後も東京市場でも110円ちょうどを中心に取引されている。対ドルでは、1ユーロ=1,31ドル台半ばで推移した。

ユーロは年初から対円で10.7%上昇、対ドルでも2.2%上昇している。欧州がギリシャの無秩序な債務不履行の回避で合意し、過度な悲観論が後退。投機筋のユーロ売り圧力が低下しているという。

ユーロ不安が払拭されたわけではないが、前週末にドイツの10年物国債利回りが約1カ月ぶりに2%を上回ったことも、金利差拡大の思惑からユーロ買いを誘った。

日銀の追加緩和観測や日本の貿易赤字などを背景に円売り圧力が強まっていることも、円安・ユーロ高の背景だ。

(後略)

日経 19日夕刊

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各国の金融緩和による資金のだぶつきが、急激な為替変動を誘発しています。1週間のうちに数円のレンジで相場が動き、輸出関連企業の株価は軒並み上昇。先日までの業績低迷が嘘のようです。1週間で企業そのものの価値が大きく変動しているわけではありません。むしろ今までの円高が異常な状態でやっともとに戻ったともいえます。ただ、欧州問題は根本的には解決しておらず、ギリシャを救う枠組みができたことの安心感のみです。ギリシャの財政状態はなんら好転していません。それでいても、マネーが動けば、為替が動き、企業業績に直結してしまう、国際経済。新興国も景気低迷を嫌気して、緩和にシフト。世界中でお金が余ってます。このお金が設備投資などに回らないため、投機に流れている現状です。

こぐま経済研究所

債務削減民間9割参加 ギリシャ追加支援へ 欧州メディア報道

2012-03-09 23:13:48 | 日記
ギリシャ国債を保有している民間投資家の債務削減策が8日ほぼまとまり、同国が無秩序なデフォルト(債務不履行)に陥る事態は当面、回避される見通しとなった。欧州メディアなどによると投資家の8~9割が債務カットに同意した。債務は約1千億ユーロ(約10兆8千億円)減り、欧州連合(EU)による追加支援の条件が整う。市場はギリシャ懸念の後退を好感。8日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均が続伸、外国為替市場でもユーロがドルなど主要通貨に対して上昇した。

投資家損失7割超

ギリシャ政府は8日夜、債務削減に関する投資家からの回答を締め切った。ロイター通信は政府関係者の話として、最終的には投資家の約95%が債務削減に参加する見通しと報じた。仏AFP通信によると8割以上の投資家が債務カットに賛意を示した。債務削減を拒否した一部の投資家に対しては、強制的な参加を促すかどうかについて話し合われる可能性がある。

外国法に基づく一部のギリシャ国債の保有者については回答期限が4月に設定されているが、ギリシャ政府は9日朝、現段階での債務削減への参加率などを発表する。

債務削減の対象となるのは、銀行や保険会社、ヘッジファンドなどが保有する約2060億ユーロのギリシャ国債。額面の53.5%を棒引きにしたうえで、残る46.5%分を新たに発行するギリシャ国債などと交換することが決まっており、投資家の何割がこの削減策に参加するかが焦点となっていた。

(後略)

日経 9日夕刊
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債務カットということは、国を救うために、自分たちの債権を放棄することですよね。個人で考えたら、貸したお金が踏み倒されたのと同じです。それも53.5%の放棄ということは半分以上は捨てることに。残りも借換債のギリシャ国債。このような話を聞くと、投資というのは、結局は余剰金で遊んでいるだけなのではないか?と思ってしまいます。それだけ失っても、自分の生活に支障をきたさないのでしょう。まさに「カネを貸したら、挙げたものと思え!」という格言どおりといった感じです。

これで、デフォルトという危険性はだいぶ遠のいたとのことで株式市場は米国、日本ともに軒並み高騰です。日経平均も1万円台を一時回復しました。ギリシャの中身は、まだ全くと言っていいほど改善されていないにも関わらず、お金をたくさん刷って、市場を安定させているだけですので、危険要素はまだまだ多く残っています。


レアル高で下げ幅拡大 ブラジル、5買い連続利下げ 0.75%、年9.75%に

2012-03-08 22:27:21 | 日記
ブラジル中央銀行は7日開いた通貨政策委員会で、政策金利である基準金利を0.75%引き下げて年9.75%にすると発表した。8日から適用する。ブラジル中銀は昨年9月から4回に渡り、0.5%ずつ利下げし、景気下支えを図ってきた。だが先進国の金融緩和で、高金利通貨であるレアル高の圧力が強まっていることや、ブラジル景気の回復の鈍さに配慮。下げ幅を拡大した。

ブラジルの政策金つが1ケタ台になるのは、2010年6月以来。委員会終了後に発表された声明によると、7人の委員のうち2人は0.5%の引き下げを主張し、票が割れた。声明は利下げ幅と投票結果だけを示した簡潔なもので、判断の背景などは示さなかった。ただ利下げ幅の拡大は、景気刺激とともに、先進国との金利差縮小で資金流入圧力の緩和を図る狙いとみられている。

ブラジルでは6日に発表された11年の実質国内総生産(GDP)が前年比2.7%増にとどまり。ドイツなど一部先進国を下回る低水準だったことに危機感が高まっている。市場では6日以後、利下げ幅を0.75~1.0%に拡大するとの見方が急速に広がっていた。

ブラジル政府は不審が目立っている製造業について、レアル高が原因と指摘。昨年後半に一時下落したレアルが、年明けから再び上昇基調を強めたことに、警戒感を強めている。中銀もこうした認識を共有し、利下げ幅を拡大したとみられる。

(後略)

日経8日 夕刊
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いくら利下げしても、相対的に先進国よりも金利が高めなので、レアル高に振れてしまいます。昨年8月末から0.5%ずつ利下げを繰り返してきましたが、遂に0.75%下げで10%を下回ってしまいました。これで、景気回復につなげればいいのですが、内情はあまりよくなさそうです。製造業はレアル高のためと意見もでているようです。昨年後半から、ブラジル投資ファンドは軒並み資金が引き揚げられました。レアル高が解消されないと、まだまだ難しい状況が日本にとっても続きます。

中国成長目標7.5%に下げ 全人代開幕 経済安定路線へ転換

2012-03-05 23:45:17 | 日記
中国の温家宝首相は5日、2012年の経済成長率の目標を昨年までの8%前後から7.5%に引き下げると表明した。7%台の成長率目標は8年ぶり。欧州債務危機による景気の下振れリスクを反映。積極的な財政支出と機動的な金融政策で景気を軟着陸させるとともに、持続可能な成長への転換を図る。人民元相場の柔軟化にも言及。共産党の最高指導部の交代を今秋に控え、経済と社会の安定を最優先する。

人民元相場を柔軟化

第11期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が5日午前、北京で開幕。温首相は施政方針演説にあたる政府活動報告で12年の経済目標などを明らかにした。

中国政府は05年から7年連続で「8%前後」の成長率目標を提示。実際には9%超の高成長を続けてきた。11年の成長率は9.2%。首相は目標引き下げの目的を「経済の長期で良質な発展につなげる」と説明した。

足元の経済に対して首相は「国際金融危機がなお深刻化しつつある」と欧州危機の広がりへの厳しい認識を表明。国内景気に「下振れ圧力が存在している」と警戒感をにじませた。そのうえで「引き続き積極的な財政政策を実施する」と強調し、民生分野に重点を置いた財政支出で景気を下支えする考えを示した。

日経 5日夕刊
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中国の経済成長率の目標が7.5%に引き下げられました。インフレ懸念よりも景気の安定を最優先に掲げたことになります。すでに、中国人民銀行は預金準備率の引き下げを実施しています。昨年、バブル懸念を背景に複数回引き上げた預金準備率を金融緩和に方向転換です。指導部交代の年は、景気高揚策が実施されると言われる中国。国内景気安定を最優先に勧め、秋の指導部交代を迎えたい考えのようです。