こぐま経済研究所ブログ

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鉱工業生産「ほぼ回復」 8月0,8%円高で先行きは不透明

2011-09-30 18:43:11 | 日記
経済産業省が30日発表した8月の鉱工業生産指数(2005年=100、季節調整値)は93.7と前月比で0.8%上昇した。前月比プラスは5カ月連続。自動車や鉄鋼で回復が進み、季節調整をしない原資数では東日本大震災後初めて前年同月を上回った。経産省は基調判断を「震災の影響からほぼ回復した」としたが円高などの影響で先行き不透明感もある。

生産指数の伸び率は市場の事前予想(1.5%上昇)を下回った。原指数が90.6と前年同月を0.6%上回ったため、これまで「回復しつつある」としていた基調判断の表現を変更した。

8月上昇のけん引役は自動車。サプライチェーン(供給網)の回復が進み、北米やアジア向け普通自動車の生産が回復。輸送機械工業は6.5%上昇したほか、鉄鋼が2.5%、電子部品・デバイスが1.2%上昇した。一方地上デジタル放送への移行が完了したことで液晶テレビが4割落ち込み、情報通信機械工業は10.8%低下した。ただ東京電力管内などで発動した電力制限令は「大手ではほとんど影響がなかった」(経産省)。

経産省が同日発表した製造工業生産予測調査によると、生産指数は9月に2.5%の低下に転じ、10月は3.8%上昇する見通し。ただ円高の進行など懸念材料もある。

日経 30日夕刊
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鉱工業生産指数が、自動車産業のけん引もあって、震災の影響からほぼ脱してきました。うれしい限りです。立役者は自動車産業です。品目別には「普通自動車」となります。震災直後は、サプライチェーンの寸断で、部品調達もままならず、その影響は海外の自動車産業にも出ていました。基調判断は「震災の影響からほぼ回復した」となりましたので、円高の影響をもしのぐ回復を今後も示してもらいたいものです。

経済産業省の関連ページはこちらから

夫の厚生年金2等分 専業主婦の制度見直し 厚労省方針

2011-09-29 22:07:28 | 日記
厚生労働省は2012年にも、専業主婦の年金制度を見直す方針だ。夫が納付する保険料の半額を妻が払ったと見なし、会社員が加入する厚生年金、公務員の共済年金を夫と妻で2等分してそれぞれ給付する。夫婦合算の保険料負担や年金受取額は変わらない。主婦も保険料をの不すると位置づけ、給付の根拠を明確にする。

29日の社会保障審議会年金部会で議論を始め、来年の通常国会で関連法案の提出を目指す。

会社員や公務員を夫に持つ妻は「第3号被保険者」と呼ばれ、保険料を支払わなくても基礎年金を受け取れる。このため保険料を支払っている自営業者の妻や女性社員から「不公平」との批判を受けている。

結婚期間中の保険料は夫婦が共同で納めたと見なす。専業主婦も保険料を納付したと位置づけることで、不公平感を和らげる狙いだ。①専業主婦に別途の保険料負担を求める②夫が追加で保険料を支払う③妻の年金を減額する--などの案も議論するが、厚労省は世帯の負担や給付を変えるのは難しいとみている。

新制度でも夫婦合算の年金給付額は変わらないため、年金財政には大きな影響は与えない。現行制度でも離婚の場合は、最大で夫の年金の半分を妻が受け取る仕組みになっている。

ただこの制度を導入すると、夫名義の厚生年金受取額は半分になる。配偶者が死亡した場合の年金受取額が減る可能性もある。

日経 29日朝刊
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確かに同じ歳の女性の間で、一方は保険料の負担なし、一方は男性同様に保険料を支払い、ほぼ同額の年金額になると考えると不公平感を訴えるのもわかるような気がします。特に自営業の方は国民年金なので、配偶者も保険料を支払います。

ただこれで、夫婦で年金額も半分ずつとなるのは、いかがなものか。せめて、死別後も全額もらえるようにしてもらいたい。一気に半減するのは高齢にもなっていることだろうから、生活苦に陥る元サラリーマンが多くなりそうだ。

高速取引きの影響中立 東証が検証

2011-09-28 21:02:36 | 日記
東京証券取引所は27日、ヘッジファンドなどの間で普及している株式の高速・高頻度の取引手法が相場動向に与える影響についての検証結果を公表した。高速取引きは、短時間で反対売買に動く特徴があり、相場を一方向に動かす要因にならないと結論づけた。株価への影響は「中立」と位置付け、高速取引が株安を加速させているとの「悪玉論」を打ち消した格好だ。

コンピューターで株の自動発注を繰り返す高速取引は「ハイ・フリークエンシー・トレーディング(HFT)」と呼ばれる。東証は証券会社の発注装置を東証システムのすぐ隣に置く「コロケーション」という高速売買専用サービスを提供しており、ここを経由した注文をHFTと定義。東証の株売買の約3割を占めるコロケーションと株式相場の値動きの売買動向をみたところ、高速取引からの注文は約9割の銘柄でほぼ売り買いが均衡になった。相場の動きが小さい日でも9割以上の銘柄で、ほぼ売り買いが均衡しており、東証株式部は「HFTは株価形成に影響を与える取引きはしていない」と結論付けた。

高速取引を巡っては、昨年5月に米ダウ工業株30種平均が一時1000ドル近く下げた。「フラッシュ・クラッシュ(瞬時の急落)」で、株安を加速させる要因という批判が高まった。東証は今回の検証結果を踏まえ、高速取引をする海外投資家の呼び込みに力を入れたい考えだ。

日経 28日朝刊
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高速取引は瞬時に株価の反対売買に動くため、相場を一方的に急騰させたり急落させたりする可能性があると指摘されています。昨年5月のフラッシュ・クラッシュはまさにその典型。一時に1000ドル下落するとは、誰も信じられないことでしょう。これがシステム売買の怖さです。本日の東証の発表では、東証の高速取引では、その恐れはないとの判断でした。9割の銘柄で売り買いが均衡になったから問題なしということ。外国人投資家の呼び込みのための不安材料を一掃した感じですが、ETFなどの特殊な証券の取引が増えてくると危険性は高まるかもしれません。米国のフラッシュ・クラッシュは、レバレッジ型ETFが引き金になったとも言われています。現在東証には100本近いETFが上場されていますが、まだレバレッジ型ETFはありません。

今後上場されるETFに、要注意かもしれません。


市場、現金志向強める 金融危機対策に失望感 金・新興国株が急落

2011-09-27 21:57:25 | 日記
ギリシャなど欧州財政問題の根本的な解決の糸口が見いだせず、週明けの市場では金融危機の再来に身構える動きが一段と強まった。目立つのは金融市場の機能不全への不安から、値下がりリスクのある資産や流動性の乏しい資産をひとまず現金換えておこうとする動きだ。従来「安全資産」とされた金の価格が急落し、新興国の株なども売られている。

市場の雰囲気が一段と緊迫したのは先週半ばの米連邦公開市場委員会(FOMC)以降だ。保有資産の調整を発表したが、大胆な金融緩和は見送った。週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議も欧州危機に対する抜本的な対策を打ち出せず、欧州などの政策実行力に対する失望感が再燃した。

■換金性を重視

ここへきて新たに広がっているのは換金性の低い資産からマネーが逃げ出す「現金志向」だ。

象徴的なのが金価格の急落。前週初めにはニューヨーク金先物は1トロイオンス1800ドル前後だったが、22日からのわずか3営業日で1600ドル割れまで下げた。金はこれまでのリスク回避局面で「信用リスクのない通貨」として資金を集めた。しかし値下がりリスクが出てきたとみた投資家はそうした金まで売って、現金を手元に確保する動きを強めている。

(中略)

アジアなど新興国の株式も換金売りの標的になっている。22日以降、インドネシア、タイなどの主要株価指数は軒並み1割超下げた。26日もこれら諸国の株価は一時5%以上急落。韓国やブラジルなどでは株価に加え、通貨も急落。追加的な高利回りを狙った運用資金を、一斉に引き揚げる動きとみられている。

また、一時軟調だった基軸通貨の米ドルには資金が流れ込んでいるのも足元の特徴的な動きだ。投資家は金が急落した今、米国債やドイツの国債に資金を移している。

(後略)

日経 27日朝刊
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金融緩和であふれたマネーが行き場を失い、漂流しているようです。金が1900ドルまで高騰したと思ったら、一気に1600ドル台まで下落。今度は債券市場にマネーは向かいます。主要国・新興国の通貨は軒並み下げており、反動で円やスイスフランに流れています。とても安定した市場とは程遠い状況です。各国がそれぞれにおかれた環境で、どのように経済成長していくか試行錯誤が続きます。ブラジルレアルが急落すると、通貨選択型投信にも基準価額の下落など影響が大きく出てきそうです。

一時8400円割れ、震災以来 日経平均 ユーロ安、102円台半ば

2011-09-26 23:03:17 | 日記
26火午前の東京株式市場で日経平均株価が大幅続落し、一時8400円を下回った。取引時間中の8400円台割れは東日本大震災後の3月15日以来、約半年ぶり。欧州の財政問題や金融システム不安、世界経済の減速懸念を背景に投資マネーのリスク回避傾向が止まらない。円高進行もあり、日本企業の業績下振れに対する警戒感が強まっている。

日経平均の前場終値は前週末比140円90銭(1.65%)安の8419円36銭。9月14日に付けた年初来安値(終値ベース、8518円57銭)を下回った。東証1部市場では、全体の約8割の銘柄が売られている。電気機器や海運といった景気敏感株のほか、商品市況の急落で鉱業や非鉄金属株の下げが目立つ。年初来安値を下回る銘柄数もトヨタ自動車やパナソニック、ソニーなど約160銘柄に達している。

(後略)

日経 26日夕刊
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今日の日経平均は8374円13銭で引けました。前週末比186円13銭のマイナスです。先週末のNY市場の動きを見て、今週は波乱含みの展開になるとは予想されていましたが、いきなり8400円を割り込みました。金融危機後に底をつけた株価相当まで下落している銘柄が目立ちます。加えて、金先物も急落しています。NY金は今月上旬には、一時1900ドルをも上回る高騰となりましたが、ギリシャ不安の再燃などを背景に金から現金、債券へ資金がシフトしています。現在日本時間23時で、NYの金相場は前週末比21~22ドル程度下げています。NYダウは、50ドルほど戻していますが、市場の不安は払しょくできていません。