こぐま経済研究所ブログ

やさしく金融情報をお伝えします

システムリスク総点検 みずほ銀が改善計画 秋に緊急対応策

2011-06-30 22:29:05 | 日記
大規模なシステム障害を起こしたみずほ銀行とみずほフィナンシャルグループは29日、金融庁に業務改善計画をそれぞれ提出した。みずほ銀はシステムリスクの総点検を柱に盛り込み、今年10月までに対応策や障害が発生した時など緊急時の計画を整備するとした。持ち株会社はグループのシステム戦略を来年3月末までに作り、傘下2銀行の合併、事務集約などの方針を改めて示した。

みずほ銀は四半期ごとに、改善計画の進捗状況について取締役会で監視する。システムリスクは外部専門家の意見も交え、障害の未然防止や事後に対応する体制を点検するとしている。今回の障害はシステムを主導運転に切り替えたことで人的なミスが拡大した。手動運転時の対応策も10月末に作る。体年1月末には障害を想定した全校訓練も実施するという。

みずほは障害を踏まえ、傘下2銀行の合併、事務一元化などを表明している。改善計画では実施時期を肉付けし、人事は今年7月末、経営企画・管理部門は来年3月末、銀行業務に関する事務はみずほ信託銀行もあわせて2013年3月末に集約するとした。傘下2銀行の合併は9月末から検討し、システムの完全一元化が16年3月末と従来の予定を変えていない。

日経 30日朝刊
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みずほFGは、発足時にも大規模なシステム障害を引き起こしました。内部の準備が整わないまま、政治主導で時期が優先されたことが、一つの原因です。今回は、震災のための義援金受付口座に、入金が集中した時の処置の人的ミスと聞いています。システムは人が作るものですから、完璧なシステムなどありえません。ただ、完璧でない人間が一応満足できるレベルまでは動かせるように品質を上げなくてはなりません。そして、社会生活への影響は極力少ない方がいい。でも、みずほの事故は、入金できない、ATMは機能停止、給与等の振り込みも不可、などなど。。社会インフラへ与える影響はとても大きかったです。私の給与振り込み口座もみずほです。障害が起きたら、報告をしておしまい。ではなく、キチンと障害箇所の修正と、一元化に向けて再構築をお願いしたいと思います。

米量的緩和相場 息切れ 5~6月、世界で株安

2011-06-28 22:23:01 | 日記
6月末に米量的緩和第2弾(QE2)終了を控え、世界的に株価の下落基調が鮮明だ。5~6月の主要20カ国・地域の株価指数は軒並み下落した。金融緩和が本格的な景気回復軌道につながらないうちに欧州の財政やインフレなどの問題が深刻化。株式などリスク資産から逃げ出したマネーは、相対的に安全性が高いとされる先進国の国債に流入している。

景気に懸念 リスクを回避

QE2が始まった昨年11月から続いていた株式や国際商品高の潮目が変わったのは5月上旬だ。4月末に米連邦準備理事会(FRB)がQE2を予定通り6月末でやめると決定。その後も緩和基調は続くとの見方から投資家のリスク志向は続いたが、相場高騰に対応した取引規制をきっかけに国際商品市場で銀の価格が急落。この時期から投資家がQE2ごの世界景気に徐々に警戒ムードを強めてきた。

FRBは量的緩和の拡大による株価テコ入れで景気浮揚を狙った。当初戦略は当たり、インフレ懸念から新興国の株価はもたついたものの、米欧など先進国の株価は上昇した。しかし金融緩和の副作用であるインフレ懸念が先進国にも波及。米景気が本調子にならない段階で金融政策は手詰まりとなった。市場はここを見透かした。

5月以降、下落率が大きいのはイタリアやスペインなど欧州の周辺国だ。ギリシャの財政債券に対する懐疑論が再燃。最近では金融システム不安への波及懸念も出始め、投資家心理が不安定になっている。

(後略)

日経 28日朝刊
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4月末と比較して、世界の主要株式市場すべてで下落を記録しました。これが、すべてQE2終了に伴う、先行き不透明感によるものとは言い切れませんが、資金の循環が細くなることにより、余裕資金がへり安定資産へとシフトを始めたことが下落の原因の一つです。先進国だけでなく、新興国、資源国でも株安が進んでいることが気になるところ。量的緩和を無制限に続けるわけにもいかず、ここが、正念場かもしれません。いずれは、金融政策を終える時期も来ます。米国の債務上限問題もあり、不用意に米国債の発行はできません。

IEAに石油備蓄放出促す 米政権の奇策賛否

2011-06-27 23:01:14 | 日記
国際エネルギー機関(IEA)に石油備蓄の放出を促したオバマ政権に対し米国内で賛否が割れている。狙い通り原油価格を抑え景気回復を後押しできるか見方が分かれているほか、市場介入そのものの是非を問う声も多い。備蓄放出をめぐる情報漏れ疑惑も浮上。異例の対策への風当たりは強まっている。

「我々は産油国とも、かなり前から協議してきた。石油需要が増える季節であり必要な措置だった」。IEAが石油備蓄の放出を決めた23日、カーニー米大統領報道官は米政権が決定に向け周到に準備したことを認め、妥当性を強調した。

同日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると米政権内で戦略備蓄を活用する案が浮上したのは4月下旬。5月1週には反対が予想されたサウジアラビアなど産油国に調整のため代表団を派遣。同月下旬のフランスでの主要国首脳会議(G8)では各国に行動を促したという。

(中略)

折しも米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和第2弾(QE2)は、6月末の打ち切りが目前。「景気下支えへの弾薬を使い果たした米政府が、苦し紛れに原油市場に目を向けた」と勘繰る声も絶えない。

日経 27日朝刊
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米国内のガソリン高を少しでも抑制する効果があったのでしょうか。それとも、先物価格の下落だけで終わってしまうのでしょうか。備蓄放出だけでは、たかがしれているという意見もあり、効果は何とも言えない状況です。原油相場への介入的な処置ですが、全体の消費量に対して1日分にも満たない量なので、ほとんど影響はないとの意見もあります。投機資金の引き上げに誘導できれば、効果はあったと思います。

企業業績下期に急回復 24%経常増益 復興需要支え

2011-06-26 17:58:46 | 日記
上場企業の2010年3月期業績は、下期(11年10月~12年3月)の急回復を支えに連結経常利益が前期比6%減と小幅減益にとどまりそうだ。東日本大震災からの復興需要がけん引役となり、下期は24%増益が見込まれる。自動車生産が前倒しで持ち直し、収益向上に寄与する可能性もある。ただ、震災の影響が残る上期(11年4~9月)は多くの業種で収益が低迷。想定為替レートを上回る円高が業績を圧迫する懸念もある。

通期は6%減益

25日までに3月期決算を発表した上場企業(金融、新興2市場を除く)1533社を対象に日本経済新聞社が集計した。米国会計基準の企業は税引き前利益を採用、見通しが不透明な東京電力は対象から除外した。

通期の予想経常利益は6%減の22兆7600億円。減益は09年3月期以来3期ぶりだが、利益水準は10年3月期(15兆5300億円)を大きく上回り、最高益だった08年3月期の約7割となる。

今期の業績は「上期不振、下期回復」が鮮明になる。震災によるサプライチェーン(供給網)の寸断や消費低迷が響いて、上期の経常利益は前年同期比32%減の8兆8000億円となる見込み。トヨタ自動車は上期に1000億円の赤字が見込まれ、「自動車・」部品」業種の利益は93%減と落ち込む。

(後略)

日経 26日朝刊
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東日本大震災によるサプライチェーンの寸断は、国内企業の上期業績に大きく影響しました。ただ、復興のスピードも速く、通期ベースの経常利益では、10年3月期を上回る見込みです。日本の業績低迷は、米国経済にも大きな影響を与えています。QE2の終了で今後の経済見通しが今一つはっきりしない米国。サプライチェーンの回復と自動車産業の復活を世界が待ち望んでいます。

まずは、復興。その後は、電機自動車など新製品投入でさらなる業績向上を進めていくことになります。

コメ先物が上場へ 農水省が認可検討 72年ぶり復活

2011-06-24 21:14:02 | 日記
農林水産省は23日、コメ先物の試験上場を認可する方向で検討に入った。コメ先物が復活するのは72年ぶり。減反(生産調整)で米の価格を一定以上に維持しようとする政策を転換し、コメの価格が下がっても農家に直接交付金を支払う個別所得補償制度を導入したため、農家への影響は少ないと判断した。先物上場により取引の自由化が進めば、コメの価格がより透明になる。

農水省は上場を申請している東京穀物商品取引所と関西商品取引所に対し、7月25日までに通知する。米の価格は生産者と卸・流通会社などとの相対取引で決まっている。先物取引が実現すれば、需給を反映したコメの新たな指標ができることになり、消費者にとってもコメ価格がわかりやすくなる。

また農家や流通会社が先物を活用すれば、価格変動リスクを抑えることができる利点もある。例えば、農家が作付けするときに収穫用の売り値を確定させたり、卸・流通会社が仕入れ値と数量を決めたりすることもできるため。うまく利用すれば経営が安定する。

(中略)

2005年の前回申請時、農水省は減反政策を続けていた。国が価格維持の政策を取っているのに、市場に価格形成を委ねる先物の上場は認められないというのが不認可の主な理由だった。

しかし現在は販売額と生産費用の差額分を政府が直接補てんする個別所得補償制度に移行しており、「価格は市場に委ねている」ため、政策との整合性が取れると判断した。

日経 24日朝刊
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米相場といえば、大阪の堂島の米相場(堂島米会所)を思い出します。江戸時代享保15年のお話です。世界初の先物取引市場だったと聞いています。当時は、情報も少なく、コメの取引価格の安定ために取引所の設立が必要だったのでしょう。しかし、明治時代に米の取引は全廃されます。日本の先物取引には、どうしても投機性が色濃く、適正な価格形成というよりも賭博色の強い市場だったのでしょう。さて、72年ぶりの米先物市場の開設が現実味を帯びてきました。相対で決まった売買価格に基づいて、農家は所得補償されているため、取引に直接参加するメリットがどこまであるのかわかりませんが、やはり、農家や商社、流通業者などが参加して需給バランスを考慮した市場価格が形成されることを願っています。