こぐま経済研究所ブログ

やさしく金融情報をお伝えします

上海株 政策巡る思惑で戻り鈍い

2011-11-30 23:41:33 | 日記
中国・上海株の戻りが鈍い。主要指数、上海総合指数は10月21日の年初来安値(2317.275)を上回る水準を維持するが、10月末に高まった中国政府の金融引き締めからの転換期待が後退。売りが出やすくなっている。

中国の温家宝首相は10月25日に「経済政策の微調整が必要」と発言。株式市場では「政府は金融緩和に転じる」との期待がいったん高まり、指数は今月15日に約2カ月半ぶりの高値まで回復した。

10月の金融機関融資の伸びが前月から加速するなど中国政府は中小企業などに対象を絞った「選択的金融緩和」に動き出した。国営新華社は中国人民銀行(中央銀行)が一部の金融機関から強制的に預かる資金の比率である預金準備率を引き下げると報じた。

しかし、上海株は再び売りに押されている。相場を押し上げた政策期待を巡り「ある程度金融緩和に動くが、大規模ではない」(クレディスイス)などと慎重な見方が出てきたためだ

例えば不動産価格の抑制策。温首相は再三「引き締め措置は続ける」と強調し、一部にあった「住宅価格の抑制策も緩める」との期待はしぼみつつある。大手不動産、保利房地産の株価は一時反発したが、現時点では10月末を10%下回る水準に低迷する。

中国の住宅価格は10月、主要70都市のうち34歳で前月から下落した。上昇は16歳で、下落した都市数が上昇を上回ったのは初めて。不動産市況の悪化が続けば、セメントなど建材需要にも響きかねない。中国の景気減速と企業業績悪化への懸念が上海株の上値を抑える。

中国共産党と政府は12月前半までに、来年の経済政策の基本方針を決める中央経済工作会議を開く見通しだ。「政策転換でどの程度景気減速に歯止めがかかるか見極めが必要」との声は多い。

日経 30日夕刊
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中国は、昨年までは不動産価格の上昇(バブル)が懸念されていて、人民銀行は頻繁に預金準備率を上げて、資金の引き揚げを進めていました。その結果、今の状態を招いたともいえるのですが、欧米向け輸出が減速傾向にあるなど、金融不安の影響を中国も受けています。引き締めすぎて内需が停滞すると今度は一部緩める。住宅価格の過熱的な高騰を抑えるためにあの手、この手で対応してきました。利上げも行いました。それから1年経たずに今度は、金融緩和にシフトするとは、中国政府のターゲットはどこにあるのでしょうか。

NY株反発、291ドル高

2011-11-29 23:21:17 | 日記
28日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均が5営業日ぶりに大幅反発した。終値は前週末に比べ291ドル23セント(2.6%)高の1万1523ドル01セント。欧州の債務危機を巡り、新たな対策が打ち出されるとの期待感が浮上した。米年末商戦の滑り出しが好調と伝わったことも相場を下支えした。

29日のユーロ圏財務相会合などを控え、欧州金融安定基金(EFSF)の機能強化などが議論されるとの見方が台頭。後に否定されたものの、国際通貨基金(IMF)が債務負担の重いイタリアの支援を検討していると伝わったのも買い材料になった。ダウ平均を構成する30銘柄すべてが上昇。非鉄のアルコアや建機のキャタピラーの上昇率は5%を超えた。

注目の年末商戦については、出足順調との調査結果が相次いでいる。

日経 29日夕刊
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最近のNYダウ平均は1日で300ドル近く、乱高下していて、大変不安定ではありますが、昨日は300ドル近く値を上げました。欧州の金融システム強化で、重債務国が救われるとの観測がで上昇しました。明日はどんな材料がでてくるかわかりませんが、ほんのささいな動きで、株価は大幅に動きます。リスクの高さがよくわかります。


投信マネー ユーロ圏離れ 豪など資源国へシフト 7年ぶり低水準

2011-11-27 23:02:20 | 日記
日本の投資信託市場で債務不安に揺れる欧州の存在感低下が際立っている。投信が組み入れる株式や債券などの資産残高(10月末時点)を国・地域別にみると、ユーロ圏は前年同月比3割減り、7年半ぶりの低水準に落ち込んだ。オーストラリアの半分以下で、ブラジルとほぼ同水準だ、欧州危機の長期化を警戒する投信マネーは高金利の新興・資源国へと資金シフトを加速している。

■債務危機が響く

投資信託協会によると、投信全体の外貨建て資産の総額は10月末時点で25兆円と前年同月比9%減った。とりわけ大きく落ち込んだのがユーロ圏の資産残高(約2兆5000億円)。重債務国の「PIIGS」の残高は5229億円と半減した。

ユーロ建て資産は円高・ユーロ安で大きく目減りしたうえ、運用成績の悪化懸念から投信運用会社の資産売却も広がっている。イタリア国債は利回りの急上昇(価格は急落)を受け、国際投信投資顧問が国内最大の投信「グローバル・ソブリン・オープン」で保有分をすべて売却。しんきんアセットマネジメントや仏系アムンディ・ジャパンなどの一部投信もここ3カ月で保有比率を大幅に引き下げた。

(後略)

日経 27日朝刊
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投信に組み入れている外貨建て資産のうち、ユーロ圏の株式・債券のシェアが下落しています。欧州金融危機の影響で、金利が上昇したPIIGS地域の債券価格の下落や円高ユーロ安で円換算後の資産の目減りが大きくなったことなどが資金引き上げの直接的な原因です。では、引き上げによって、その資金をどこに回すのでしょうか。運用方針によっても異なりますが、先進国債券に投資しているファンドであれば、米国や日本の国債を購入することになります。キャッシュとして資金をプールしておくわけにはいきませんから。

ただ、米国も日本も、欧州と比べれば相対的に環境がいいだけであって、いずれも健全とはなかなか申し上げられない状況かと思います。ここは、なんとかユーロ圏内の各国(とりわけドイツ)に指導力を発揮していただいて、ギリシャを始め南欧諸国の財政状態を金融支援も含めて指導していくことが必要と思います。
そうすれば、今の急速な円高も少しずつ落ち着いてくるものと考えています。

こぐま経済研究所

こぐま経済研究所、2011年11月セミナーを実施しました。

2011-11-26 22:00:14 | 日記
今月のセミナーを昨日11月26日(土)18時から、茅ヶ崎勤労市民会館で行いました。今回のテーマは、「日本の投資信託の現状」というタイトルで、欧州金融危機の影響などを踏まえ、現在の投信市場での動きについて説明させていただきました。

10月の投信概況によれば、株式投信は10月は6カ月ぶりの資金流出減となり、投資家の解約が設定を上回りました。その理由の一つとして、分配金の減配があると考えています。個人投資家のほとんどは分配金の高さだけから投信を選んでいると推定されます。その分配金が下がれば、あっという間にそのファンドから資金が引き揚げられます。通貨選択型投信のブラジルレアル型に資金流出がみられました。
※通貨選択型投信の運用成績の分析を来月のセミナーまでに行ってみたいと思います。

運用会社各社は、高分配ファンドを5年間程度の運用期間限定商品として設定しています。ひところ前までは投信といえば、「長期投資」。短期保有するものではないと考えられていました。このような5年償還が条件となると、償還後は別の投信へ切り替えるか、現金化する必要があります。それだけ運用会社も高分配を長期間に渡って維持することが難しくなってきたのでしょう。一方、このような背景でも、高分配を維持するファンドもあり、基準価額の目減りが著しいものもあります。単純に分配金を比較するのではなく、基準価額の動きも見たうえでファンドの購入判断をしていただきたいと思います。

投信は、長期保有タイプと短期保有タイプの2種類の大きな区分けができてきたような気がします。


欧州危機の収束はまだ見られず、米国景気の先行き不安、新興国経済の停滞懸念など海外資産の積極的な購入材料は見当たらず、国内株式も低迷となると、投資先は国債になるのでしょうか。

米国の話になりますが、年金基金はヘッジファンドに資産の一部の運用をお願いしているようです。ヘッジファンドの資産の過半数が年金基金などの機関投資家によるものです。


来月のセミナーは12月17日(土)18時から、行います。
詳細は近日中にホームページで公開しますので、ふるってご参加ください。

今年最後のセミナーになりますので、今年一年の経済の動きなどまとめてご報告したいと思います。

こぐま経済研究所

NY株続落236ドル安 日経平均、一時8200円割れ

2011-11-24 22:27:18 | 日記
23日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均が大幅に3日続落し、10月7日以来1カ月半ぶりの安値を付けた。ドイツの10年物国債入札が不調に終わり、欧州の債務危機が一段と深刻になるとの懸念が広がった。ダウ平均の下落率は直近の3営業日で5%近くに達する。中国の景気指標の悪化なども追い打ちをかけ、投資家心理が急速に冷え込んでいる。

ダウ平均の終値は前日に比べ236ドル17セント(2.1%)安の1万1257ドル55セント。独国債は欧州市場でマネーの逃避先となってきたが、23日の入札は調達予定額に届かない異例の「札割れ」になった。「欧州危機に歯止めがかからない」(米中堅証券)として、24日の感謝祭休日を前に米市場でも株売りが膨らんだ。

この日は、世界景気の減速懸念も売りに拍車をかけた。HSBCが発表した中国の11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が2009年3月以来の水準まで低下。米市場でも非鉄のアルコアや化学のデュポンといった景気敏感株の下げが大きくなった。

一方、米長期金利は低下した。指標となる米10年物国債利回りは前日比0.03%低い(価格は高い)1.88%で終えた。米財務省が午後に発表した7年債入札が好調で、米国債の買い安心感を誘った。株式などリスク資産から逃避したマネーが米国債に流れ込んだ。

日経 24日夕刊
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欧州金融不安は独国債入札で「札割れ」を引き起こしました。フランス国債の格下げ懸念に加えてEUを牽引するドイツでも欧州ということでマネーが逃げ出していることになります。その代わりに、最高格付けから落とされた米国債に資金が集まるという形になっています。今は、国債の格付けよりも地域で購入対象を決めているような形です。そんな中、日本はやはりマネーの逃避先の一つになっているようです。下振れリスクはあるものの、国内景気は「緩やかに持ち直している」と本日景気判断が発表されています。景気回復でマネーをよび、円高を進行させ、輸出企業の業績悪化では身も蓋もありません。為替差損と本来の業績を区分して、本業プラスの業績を上げた企業には、差損に対する補てんを行うなど、企業努力を認めてあげるべきだと思います。