こぐま経済研究所ブログ

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人民元「安定は重要目標」中国商務省切り上げ反対強調

2010-02-28 10:01:14 | 日記
中国商務省の姚報道官は25日の記者会見で、米国などが人民元相場を切り上げるよう圧力を強めていることに関連して「国内の企業や雇用の状況からみて、為替政策の安定を保持することは重要な経済政策の目標だ」と語った。元相場の切り上げに反対する姿勢を改めて鮮明にした。

中国の輸出は2009年12月から2カ月連続で前年同月比プラスとなり、回復傾向が表れている。しかし姚報道官は、「多くの企業は依然、生き残りをかけて金融危機に対応している段階だ」と強調。元相場の安定を通じて輸出企業の経営を支える必要があるとの認識を示した。

米国が貿易不均衡の是正策として元相場の切り上げを主張していることについては、1月の貿易黒字前年同月日64%減った点を挙げ「元相場と貿易不均衡は無関係」との立場を繰り返した。

日経 26日夕刊
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元の切り上げについては、主要な経済指標の発表や預金準備率の引き上げなどの際に、常に取り上げられる関心事ですが、当局は今の時期に元を切り上げること(元高)には慎重な姿勢を取っています。当然のことながら、元高になれば、中国の輸出企業は影響を受け、売上高の減少は余儀なくされます。高度成長期の日本が輸出産業によってGDP世界2位まで上り詰めたのと同じ過程を踏むのであれば、元の切り上げは時期尚早かもしれません。

日本は変動為替制に移行してから、段階を踏んで円を切り上げてきましたが、85年のプラザ合意で急速な円高局面を迎えます。短期的には企業収益に大きな影響を与えましたが、その後の企業努力で円高に耐え、利益をあげられる体質に変わりました。

正直なところ、今の中国輸出企業には、元高時の生産性向上などによる収益改善への体力は、日本企業のそれと比較して大きく不足しているものと考えます。元高時に、倒産の可能性の高い企業も結構あるのではないでしょうか。

結果として、GDPが8%を下回るようなことは絶対に避けたいという当局の思惑もありそうです。

日本財政の将来、欧米が懸念

2010-02-27 11:15:54 | 日記
欧米で日本の財政への懸念が強まっている。長期的には危機に陥っているギリシャより悪化が見込まれるからだ。放置すると日本経済への信任が揺らぐ恐れがある。「財政の持続可能性への関心が世界的に高まっている。」日銀の白川総裁は18日の記者会見で警鐘を鳴らした。昨秋以降、国債市場でギリシャのデフォルト(債務不履行)の可能性が取りざたされていた。簿外で抱える巨額負債が発覚したためだ。第二のギリシャはどこか。市場が注目する財政破綻候補にポルトガル、アイルランド、イタリア、スペインなどと並んで、日本が名を連ねる。

日経 26日夕刊
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公的債務の対GDP比率が200%の日本。そのまま推移すれば、さらに拡大の傾向にある。財政改善のためには、税収を増やすしかないが、高度経済成長時期のような労働人口は高齢化社会への移行で、所得税・法人税ともに大幅な増額は見込めそうもないですね。さらには、高齢化による社会保障費の増加は、間違いなく増えてきます。仮に消費税の増額だけでカバーしようとすると、税率35%程度にしないと達成できないという試算もあるようです。また、日本の場合は、ギリシャと違って、国債の9割を日本が購入しているので、あまり緊迫感がないのも事実です。

財政は、国の骨格です。財政悪化(債務超過)などで企業が倒産に追い込まれるのと同じように、財政が揺らいでいては、何もできません。私は、そのための税制改革は必要だと思いますし、歳出についてももう一歩踏み込んだ見直しが必要ではないかと思っています。

預金準備率 ブラジルが引き上げ

2010-02-26 07:39:39 | 日記
ブラジルが預金準備率を引き上げました。中国、インドに次いで今度はブラジルです。
2008年秋の金融危機を踏まえ、経済政策として量的緩和を行いましたが、そろそろ役目も終わったようですね。

準備率の引き上げで株価の動きも少し気になりますが、引き下げても経済成長に影響がないと判断されたわけですから、大きな下げはないと期待しています。今後は、本来の成長路線で株価を維持してください。

それにしても、昨年危機後に売れた『通貨選択型ファンド』は、これら新興国通貨を利用したファンドが多い。準備率の引き上げで、成長懸念が出てくると、安全資産の債券が買われ価格上昇(利回り低下)。先進国との金利差を使った為替プレミアムで収益を上げるタイプは金利差が縮まり、プレミアムも減少ということにならなければいいのですが。

ETF市場 日本出遅れ

2010-02-25 07:33:36 | 日記
新興国の株式指数に連動する上場投資信託(ETF)が24日、東京証券取引所に上場する。国内に上場するETFはこれで83本となる。ETFの商品数は過去2年間で約4倍に増えたが、純資産は4割減った。規制緩和などを受けた品ぞろえの拡充が取引の拡大につながらず、日本の市場だけが出遅れている。新規上場のETFで挽回できるかどうかが試される。
24日に上場する「MSCIエマージング」や1月末に上場した「MSCIコクサイ」。米指数大手ブランド名「MSCI」を冠したETFの登場について、個人投資家は「ようやく本命が出てきた」と歓迎する。「エマージング」は、中国やインドなど新興国22カ国、「コクサイ」は米国や英国など先進国22カ国の株価指数。これらの指数に連動するETFに投資すれば、1本で複数の国に投資する効果が得られる。

日経 24日朝刊
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なぜ、日本市場ではETFの残高が減少しているのだろうか?商品数も増え、それなりに魅力ある商品も出てきたと思う。世界のETF市場は着実に拡大し、2009年末には1兆億ドルを突破している。規模や流動性の問題から、国内ETFよりも海外ETFに投資する投資家が多いようだ。

ETFも上場投資信託として、マーケットで売買されるが、投資信託の一種。
日本の場合は、金融機関販売分の純資産が約5割を占めるが、このETFは金融機関では購入できない。
証券会社でしか購入できない点も、日本の市場で普及しない理由の一つではないだろうか。時価を追いかけ、顧客の注文に対応して発注するシステムを銀行が導入するとは、とても思えない。提携の証券会社へ注文をつなぐだけでは、積極的な販売には向かわない。自分たちの取り扱い商品の斡旋が中心になってしまう。

ETFの特殊性を考慮した販売体制の拡充と、投資家への商品説明に力を入れていくべきだと思う。

私の友人でETFを知っている人は業界関係者以外、皆無であった。

上海株 春節開け~全人代控え模様眺め

2010-02-24 07:22:07 | 日記
22日の上海株式市場は小幅に下落し、主要指数の上海総合指数は前営業日の12日に比べて0.5%安の3003.398で取引を終えた。春節(旧正月)の大型連休明けで薄商いのなか、3月上旬に開催される全国人民代表大会(全人代)を控えて模様眺めの展開になった。

中略

12日の預金準備率の引き上げについては大きな反応はなかったが、金融引き締めへの警戒から大手銀行や不動産株はさえなかった。同じく大型連休明けで22日から取引の始まった台湾市場では、台湾加権指数が1.6%上昇した。

日経 23日朝刊
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春節が終わり、マーケットが動き出した中国ですが、出だしは少しの下落で終了しました。預金準備率の引き上げの影響が、前月ほど大きくはなかったようです。先日の報道では、25日から準備率が引き上げられますので、木曜日以降も中国市場の株価の動きを見てみたいですね。全人代がマーケットに与える影響は、どの程度なのだろう。日本の市場に直接的な影響はあるのでしょうか。金融引き締め、設備投資、公共事業の計画など中国経済に影響を与える事項の方向性によっては、日本を含め世界的に影響が出てくるかもしれません。