こぐま経済研究所ブログ

やさしく金融情報をお伝えします

年末株価29年ぶり安値 日経平均8455円 円の年平均79円台

2011-12-31 21:44:42 | 日記
2011年最後の取引となった30日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比56円46銭高の8455円35銭で終了した。年末としては1982年以来29年ぶりの安値となる。円相場の年間平均は1ドル=79円70銭前後と初めて80円を突破。30日にはユーロが対円で急落し、一時1ユーロ=100円を割った。欧州危機が深刻化するなか、投資家は円などの安全資産に資金を移すリスクオフと呼ばれる動きを強めており、円高・株安基調が続くとの見方も多い。

日経 31日朝刊

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今年の大納会の取引で、日経平均株価は29年ぶりの安値を付けました。金融危機で急落した2008年の年末でさえ、8859円56銭でしたので、今年の年末はさらに落ち込んだ年になったわけです。日本にとってみれば、今年は年初から回復基調だったことろへ東日本大震災、原発事故が発生し、一旦、急落。その後の復興推進で国内景気に明るさが見えてきたところに、欧米の金融不安が発生。円高の進行と世界的な株価低迷に悩まされ続けました。秋口には、タイの洪水も発生。またもやサプライチェーンの崩壊に悩まされました。

米国では、夏場にかけて、政府と議会との間で債務上限問題が解決せずに、米国債のデフォルト懸念が台頭。期限直前で上限引き上げが承認されましたが、S&Pが米国債の格付けをトリプルAから引き下げ。

8月下旬からは、ギリシャ財政問題が欧州全体に伝播し、ギリシャ国債を多く抱える銀行の含み損が顕在化。ギリシャの他、南欧諸国及びイタリアでも財政破綻の可能性が指摘され、イタリア国債は利回り7%超、ベルルスコーニ首相は退陣に追い込まれました。

その他、新興国でも景気減速の兆候が現れ、ブラジルでは8月末に利下げを決定。中国でも預金準備率の引き下げに舵を切りました。インフレ抑制よりも成長優先です。ブラジル株、債券、通貨レアルへ投資するファンドからは資金が流出。国内設定の投資信託の純流入額は9月以降、マイナス(純流出)状態です。

このような状況から、来年、投資家資金はどこへ向かうのか。新聞では安全資産シフトが続くと書かれていますが、今が割安となったリスク資産の買い時であることも事実。市場が悲観的になっているときには、あえて楽観的に銘柄を買い進めるのも来年の課題ではないかと思っています。


来年もよろしくお願いいたします。
みなさま良いお年をお迎え下さい。

こぐま経済研究所

消費増税へ「つなぎ予算」

2011-12-24 18:40:20 | 日記
一般会計90兆円 復興日含め最大 年金・歳出改革先送り

政府は24日午前の臨時国会で2012年度予算案を決定した。歳出への切り込みは甘く、震災復興経費を別枠で管理する特別会計を含めると予算規模は過去最大。一方、歳入面では消費増税を当て込んで基礎年金の財源確保を事実上先送りするなど増税への「つなぎ予算」としての性格が強まった。参院で与党が過半数を割り込む逆転国会は変わらず、消費増税論議も絡んで予算関連法案の成立にはハードルが待ち構える。

来年度案閣議決定 関連法案成立は多難

一般会計の総額は11年度当初比で2.2%減の90兆3339億円。6年ぶりにに前年度を下回ったのは、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に維持する財源(約2.6兆円)を、当面は歳出に計上する必要のない年金交付国債(仮称)で賄うためだ。

通常の国債発行が避けられるため、12年度の新規国債発行額は11年度当初比で0.1%減の44兆2440億円と、政府が中期財政計画で定めた「11年度当初水準を上回らない」という基準を堅持した。

ただ12年度予算案では、東日本大震災からの復興経費を管理する3兆7754億円の特別会計を新設。被災地向けの公共事業だけでなく、学校施設の耐震化など全国の防災対策費は復興特別会計に組み入れており、予算規模は実質的には約94兆円と過去最大になる。

復興財源を賄う復興債(国債)を通常の国債とは別枠で発行するため、中期財政計画の国債発行枠も実態では突破する。

一般会計の税収は11年度当初比で3.5%増の42兆3460億円景気回復の持続による税収増を見込むが、税収が新規国債発行額を下回る異例の状況は当初予算ベースで3年連続となる。歳入に占める国債の割合を示す国債依存度は49%と、11年度の48%を更新。歳入の半分を借金に頼る予算となる。

(後略)

日経 24日夕刊
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国債依存度49%。税金と借金の半々で賄う、2012年度、日本国の予算です。東日本大震災の復興経費計上はある程度は仕方ありません。国を挙げての早期復興が望まれます。ただ、本当に予算の無駄を省けたのでしょうか。最後までごたごたした八ツ場ダムの再開問題。結局は工事再開となりました。一転して、価値ある工事と判断されたようです。首相が変わると同じ政権内でも対応が異なるようです。いずれにしても、日本はこのままでは借金漬けのまま、破たんが目に見えています。思い切った歳出削減、増税策を投入し、借金の割合を少しでも減らすべきです。

こぐま経済研究所12月セミナーを開催しました

2011-12-18 17:34:11 | 日記
12月17日(土)18時30分から約1時間30分、茅ヶ崎勤労市民会館で、こぐま経済研究所の金融セミナーを開催しました。参加いただいたみなさま、ご清聴ありがとうございました。

今回は、「ブラジル投信の凋落」というタイトルで、夏まで人気を集めていたブラジル投信(ブラジルの通貨レアル、株式、債券に投資する投信)の資金流出について説明させていただきました。

ブラジル経済の減速懸念、ブラジル中央銀行の利下げ、欧州金融危機の新興国への及ぼす影響など背景として、レアル安が急速に進み、今までレアル高・円安と金利高を狙って運用してきたブラジル投信のほとんどは、運用成績が悪化しました。その結果、分配金を減額する投信も出てきていて、分配金目当てに購入した投資家は、資金の運用先を変更するため解約に動いているようです。

ブラジルの他、中国でも景気減速が懸念されていて、預金準備率の引き下げなど金融緩和方向に動き出しています。

このような背景から、10月、11月と投資信託の資金流入は解約・償還額が設定額を上回る、純流出状態が続いています。今までは、成績不振な投信から、好成績の投信に乗り換える動きが見られたのですが、今回、投資家の資金は投信などのリスク資産そのものから離れているようです。

今年1年、無事セミナーを開催させていただきました。

来年も引き続き、よろしくお願いいたします。

新年最初のセミナーは、1月28日(土)18時30分から。
場所は、茅ヶ崎勤労市民会館を予定しています。

詳細はホームページで後日公開いたします。

欧州中銀 連続利下げ 0.25%最低の1.0%に 債務危機対応

2011-12-12 22:49:19 | 日記
欧州中央銀行(ECB)は8日、定例理事会を開き、単一通貨ユーロを採用する17カ国の政策金利を0.25%引き下げて年1.0%にすると決めた。債務危機に伴う景気悪化に備える狙いで、銀行への3年物の資金供給策も設ける。一方、域内国の国債購入の増額や国際通貨基金(IMF)への融資には否定的な態度を鮮明にした。

国債購入拡大は否定 総裁

ユーロ圏の政策金利引き上げは14日から実施する。利下げは2カ月連続で、金利水準はユーロ導入後の最低に並ぶ。8日夕からは債務危機への対応策を協議する欧州連合(EU)首脳会議が始まる。ECBの利下げに続き、欧州当局の危機対応力が試される。

ECBのドラギ総裁は記者会見で、利下げの理由について「金融市場の緊張の高まりが引き続き経済活動の減速を招いているため」と説明した。ドラギ総裁は12月時点の経済・物価に関する内部予測を公表。2012年の実質経済成長率(予測の中心値)は0.3%と9月時点の1.3%から大幅に下方修正した。利下げで企業や個人が投資や消費のための資金を借りやすくして、景気のテコ入れを狙う。

ECBはリーマン・ショック後の09年5月から2年近く政策金利を市場最低の年1.0%に据え置いたが、資源だかによる物価上昇を受けて今年4月と7月に0.25%ずつ利上げを実施。債務危機の拡大で政策転換を迫られた。

(中略)

市場参加者の関心の焦点だった財政悪化国の国債の買い入れ強化について、ドラギ総裁は「物価安定の使命を外れたことはできない」と慎重な姿勢をにじませた。EU首脳会議で財政規律の強化策に合意すれば、ECBとして積極的に国債を買い入れるといった観測についても「答えはノーだ」と言いきり、理事会で議論しなかったと明言した。

(後略)

日経 9日朝刊
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欧州中銀の危機対策として決まったことは0.25%の利下げです。国債の買い入れなどは議論すらされなかったようです。そのため、為替市場ではユーロは急落しました。危機から脱却する具体的な施策が見えず、欧州株式市場の主要指数も値を下げました。

ブラジル投信 急ブレーキ

2011-12-07 00:12:35 | 日記
個人投資家ンの人気を集めてきたブラジル関連の投資新tなくの販売に急ブレーキがかかっている。欧州債務危機に端を発する円高やブラジル経済の減速懸念が投信の成績悪化を招き、個人の投資意欲が低下。11月末のブラジル関連投信の純資産残高は13カ月ぶりの低水準になった。金融庁は5日、ブラジルレアルなど高金利通貨で運用する投信の販売規制を発表し、証券会社や銀行による販売の「自粛ムード」も広がりそうだ。

金融庁、販売規制を発表

ブラジルの株や債券、通貨で運用する投信は、高い経済成長率を背景とした高金利・通貨高への期待から個人投資家の購入が活発だった。今夏以降に販売が急減し、9月と11月は解約額が販売額を上回る資金流出を記録。11月末残高は約6兆3600億円と7月末のピーク時比2割減った。

販売減の理由は運用成績の悪化。ブラジルでは欧州危機が国内景気の減速や投資マネーの引き上げにつながるとの見方が浮上し同国中央銀行は9月以降利下げに動いた。通貨レアルの相場は対円で急落。ブラジル投信の基準価格の平均月間下落率は9月に15%、11月も7%に達した。個人の間で「なぜここまでレアル相場が急落したのか」といった不安の声が高まり、解約売りや買い控えが広がった。

規制当局も動きだした。金融庁は5日、外国債券など本来の投資対象とは別に運用通貨を選べる「通貨選択型」を中心とした高リスク投信の販売規制案を発表した。主な対象は販売会社の証券会社や銀行。初めて購入する顧客には運用する債券や株式の値下がりリスクの他、為替差損などのリスクを理解しているかどうか書面で確認するように求める。安全志向の強い顧客に販売する場合について、管理職の承認制とするなどの慎重な対応も要請している。

(後略)

6日 日経朝刊
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もう少し早く手を打てばよかったのでは?2009年前半に登場した「通貨選択型」7月までは毎月のように数多くのファンドが設定されました。当時からハイリスクはわかっていたはず。ここに来て、レアル急落による影響があまりにも大きく、当局も対策に乗り出した感じです。とにかく、この通貨選択型は中身が複雑なので、理解を求めるだけでも大変だと思います。いままでの店頭販売のための資料説明だけでもかなりの時間を要していたのに、さらなる追加説明・確認で、お客様がそこまで真剣に聞いてくれるのか疑問です。インターネットバンキングへシフトして、説明責任を顧客判断に任せることにしたいのが販売会社の本音かもしれません。