内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

主体概念を問い直す手がかりとなる近現代のテキスト(8)― 主体なき天地有情の世界に憩う

2022-07-30 16:44:31 | 哲学

 主体概念再考のために読む八番目のテキストは「大御所」の文章である(本人はこういう言い方をひどく嫌ったであろうとは思うが)。大森荘蔵の最後の文章「自分と出会う」である。大森荘蔵が生前に公表したこの最後の文章については、拙ブログですでに数回取り上げている。特に2013年12月17日の記事2014年1月21日の記事を参照されたい。
 これまで取り上げてきたテキストとは違い、「主体」という言葉が出てくるわけではない。しかし、心の在り処を問うことで主体概念が根本的に問い直されているから、この文章も取り上げることにした。短い文章だから全文を授業中に読むことができることも選択理由の一つである。
 この文章は『大森荘蔵セレクション』(平凡社ライブラリー748、2015年)に収録されている。