内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

ミッション遂行、不思議な縁、楽しく懐かしい再会、動き始めた研究企画 ― ストラスブールへ帰るTGVの車中から

2019-11-22 21:28:22 | 哲学

 9時からのシンポジウムを午後5時半頃に無事に終え、その後、発表者・参加者のうち残った十数人の人たちとパリ市内までRERで移動し、オペラ座界隈のカフェで夕食まで残る9人の人たちと一服してから、日本料理レストランで会食となった。20時25分の最終列車でストラスブールに帰る私は中座せざるなかったのが、ちょっと残念。
 シンポジウムそのものは、全体としてほぼ予定通りに進行した。昨年のシンポジウムでは、一発表につき一時間あったので、ディスカッションの時間もたっぷり取れたが、今回は、各発表者の持ち時間40分で、その分、時間的にはタイトであった。
 他の七人の発表者のそれぞれの方の発表には、それぞれに学ぶところがあり、勉強になった。
 私自身の発表はといえば、発表自体で38分になったところで、第四部については一言触れただけで打ち切った。これは想定内であった。それまでの三部でちょっと余談を入れた結果だが、そもそも全体として詰め込みすぎていたところがあり、その合間の一息というつもりでそうしたので、まったくの無駄というわけでもなかった(と信じたい)。
 発表後の司会役の教授とのやりとりの中で、発表では話せなかったことを少し補えたのは幸いだった。聴手の方々に何がどこまで伝わったかは、正直、よくわからない。自己評価としては、西谷啓治の空の思想を仏教思想史・哲学思想史の中に位置づける一方、その思想の現代性を強調することによって、今回課されたミッションをそこそこ果たすことはできたと思っている。
 今日のシンポジウムのためにわざわざストラスブールから来てくれた哲学科の学生からは、シンポジウムの後、発表で使ったスライドを送ってくれるかと聞かれたので、二つ返事で、スライドと原稿そのものを送ると約束した。これから彼の日本留学まで面倒を見ることになるだろう。もちろん喜んで。
 昼食時には、私がこの夏から温めはじめている日本の哲学者たちの仏訳アンソロジーの企画について若手研究者たちに話したところ、予想以上に強い関心を示してくれた。年明けから企画の具体化に向けて動こうと思う。
 それに、このシンポジウムとはまったく関係ない別の繋がりで、聴きに来てくださった日本人女性の方があり、ご本人から自己紹介を受け、共通の知り合いの名前を聞いて本当に驚いた。その共通の知り合いとは、私が高校生のときからいろいろ大変お世話になっている方で、その日本人の女性の方も、私とは大きく時期がずれるが、中学生の時から母親と共々しばらくその方にお世話になっていたという。今は、フランス人のご主人と、パリ・ナンテール大学からさほど遠くはない街で暮らしているという。そのご主人が勤めている企業は私の前任校のすぐ近くにある。休憩時間には、共通の知り合いについてしばらく歓談しつつ、この不思議な縁に感じ入っていた。
 そんなこんなで、上記のサプライズも含めて、全体として、楽しくかつ有意義な二日間だった。たまにはこういうこともなくっちゃね。
 明日土曜日からは再び学科長の仕事モードに切り替わる。